朱色の研究

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048730785

感想・レビュー・書評

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  • 続きが気になって、とかハラハラの連続で、とかいう理由で一気に読んでしまう本はいくらでもあるけど、これは夕焼けの魔力に引き込まれるかのようにスーッと読めてしまった。余韻に浸っている私の瞼の裏には痛いくらいの朱色。最初毒々しかったその空は、最後には優しい郷愁の色へと変化して朱美の心を少しづつ癒してくれているようだった。

    幽霊マンションでの違和感の正体に、気付けたはずなのに気付けなかった。806号室と906号室の入れ替えトリックは嫌に手が混んでいるのに、ベッタベッタと出てくる指紋を片付けない爪の甘さが不快で仕方なかった。アリスは六人部が自分と似ているところがあると言ったけど、同意し兼ねる。自己承認欲求が高い、見守ることで朱美の苦しみを自分も理解した気になっている浅はかな男、そんな印象しかない。

    火村先生が悪夢から解放される時は来るのだろうか。
    その夢から解き放たれた時こそ、火村先生が向こう側に行ってしまうのではないかと、怖くなる。
    無神論者にとっての火村先生の救いは、一体何なのだろう。いつか先生がアリスに救いを求める日が来ることを願ってやまない。

  • 第4版を読んだけど、ちゃんと校正しているのかな?と思う誤字などがとても目につき、その度に読み進めるリズムが止まってしまった。
    とはいえ、内容は相変わらず楽しいものでした。

  • 『朱色の研究』は素敵でした。もう読むのは3、4回目。
    有栖川有栖のなかでは一番好きな小説です。

    六人部がとても面白いキャラクターでした。
    朱美のことを好きだといいつつ、彼の言動からは朱美への想いが伝わってきません。
    「朱美ちゃんは僕にとって遠い空で輝く太陽みたいだった」
    この言葉から分かるように六人部のなかの朱美はどこか理想化されているというか、
    どうしても生々しい現実の人間という印象が感じられない。
    ずっと六人部自体自分が朱美を好きだときちんと言っていないし。
    そうしてしまったのは彼が叔父の死を厭わなかったことから始まったのか、
    大野を殺してしまったことから始まったのか分からないけれど。
    最後に、朱美に対して
    「守るどころか、君を傷つけたね。どうか、僕がこの世にいたことを忘れて欲しい」
    と言う場面が最初の六人部の純粋な気持ちだったんじゃないかなと思います。

  • '16年のドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』でもエピソード化されたが、事件の真相を説明するシーンで、室内から事件現場に家具ごと移動している演出は、『SHERLOCK』の真似だろう、と思った記憶がある。
    序盤のエレベーターのトリックは、エレベーター移動で、自分が降りる階じゃなくても、最初に止まった所で降りそうになる度、思い出します。

  • 火村先生とアリスのシリーズ。これもドラマになってたやつだ。2週にわたってやっただけあって長編だった。他の有栖川有栖をあんまり読んだことないから、このシリーズ独自のものなのかもしれないけど、トリックとか謎解きよりもそれ以外のところに重きが置かれている感じ。推理小説の意義とか、太陽信仰の話とか、火村の悪夢の話とか。でもそういうところがシリーズものには大事だもんな。完全にドラマの2人をイメージして読んでいる。

  • ドラマで筋は知っていたから違いを楽しんだ。

  • ドラマ化の話題で読んでみた。
    少し前にはまっていた推理小説だ。
    残念!あの頃なら、ずんずん読んで、シリーズを楽しみにできたのに~。

  • 【再読】中古本。 前に(ハードで)読んでからそう時間は経ってないので、トリックとか犯人とか覚えてる状態での再読。ただヒムアリのやりとりが見たかっただけ。この二人はしばらく見てないと恋しくなるw 初めて読んだ時も思ったけど、オレンジ(朱)色が本当に見事。脳内スクリーンでは、夕日(太陽)のオレンジや海の青のコントラストが鮮やかだった。 そして何より、ヒムアリが仲良くディスカッションしてるシーン(酔ってる火村含む)が印象的。キャラ読みしてしまう側としては大変美味しい二人でした。

  • 軽トラックって、そんなに大きくないと思う。
    情景が浮かんで、余韻が残る。

  • ぐるりぐるりと周囲を探りながら、徐々に見えてくる真犯人。じわじわと迫るその様子が、登場人物のひょうひょうとした言動と相反していて面白い。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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