青の炎

  • 2000人登録
  • 3.85評価
    • (280)
    • (310)
    • (336)
    • (39)
    • (4)
  • 266レビュー
著者 : 貴志祐介
  • 角川書店 (1999年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731959

青の炎の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 母と妹と平穏に暮らす高校生・秀一が、家族を守るために完全犯罪を目論む。一般的なミステリと違い、犯人の視点で物語が進むのが面白い。
    母子家庭で育った主人公が、唯一の男として自分が家族を守らなくてはと思い詰めていく姿が痛々しい。一貫して重い話だけど、クラスメイトとのやり取りや同級生への恋心など、高校生らしい一面に救われる。
    いわゆる倒叙ものなので、犯人の心の葛藤やじわじわと追い詰められていくところが醍醐味だし、ハッピーエンドはあり得ないのは分かっていたけれど、ラストはやっぱり切ない。

  • どんなにつらくても人を殺しちゃだめだ。第二の殺人はあってはならなかった。何か曽根から逃げる方法は無かったんだろうか。
    ただ、友子が毅然とした態度をとらなかったのが悪い。これではあまりに秀一が可哀想だ。

    後味が悪かった。私も秀一をかばう周りのひとたちのように、捕まらないでくれって思っていたかも。

    虐待を受ける子どもを大人が守らなかったのが、そもそもの始まりだ。秀一も遥香も友子と曽根の被害者だ。

  • 現在の日本において、人を殺すことは許されていない。

    自分のためじゃない。家族を守るための殺人。
    家に転がり込んできて妹と母に苦痛を与える、かつての父親には電気ショックで罰を。
    殺人を知り、強請ってきた、かつての友人には狂言強盗を持ちかけ、ナイフで刺し殺す。

    完全犯罪で家族を守ろうとした高校2年生。

    -----------------------------------------------------

    たとえばここが日本じゃなくて、ミサイルや爆弾が飛び交う戦争状態の地域だとする。そしてそこにいる彼らは家族や友だちや大切なひとを守るために戦っているとする。
    誰かを傷つけたり排除する行為が、別の誰かのための愛だったりする。

    戦争反対なんてことは皆思ってる。殺す相手にも大切なひとがいることも想像できる。できるなら殺したくない。
    だけど、自分の大切なひとを守ろうとするとき、心に青い炎を灯し、危害を加える相手を排除する行為。これが愛じゃない、なんて誰が言えるのか。

    難しい。
    何が良くて、何が悪いのか。その道徳心は正しいのか。
    すごく揺さぶられるけど、答えは出ない。


    家に転がり込んできた元父親が余命わずかだったこと。
    秀一をかばおうとした友人たち。
    妹と母を想いトラックに飛び込んでいく秀一の気持ち。
    そのトラック運転手にも家族がいるんだろうな、とか、何度も何度も揺さぶりをかけてくる話だった。

    家族のために2人殺し、警察に追及された秀一の出した答えはトラックに飛び込むことだった。

    正解だとは思えないけど、答えが何だかもわからない。
    とても救われない話だった。名作。

  • 貴志祐介お得意の倒叙推理小説。

    ただ守りたかっただけなのに…

    切ない。

    後からじわじわ来ます。

  • 全編にわたって主人公・秀一の視点で描かれており、
    秀一の些細な感情の変化、心情まで感じ取れた。
    思わず秀一に感情移入する・・というより、あたかも秀一の周りにいる人物のひとりであるような気持ちになり、
    なんとか秀一の犯行をとめようとしている自分がいた。

    高校生らしい部分も持ちつつ、頭がよすぎた秀一。
    何も、すべてを一人で背負う必要はなかったのではと感じた。

    事を起こしてしまった後に気づく周囲の優しさ。
    家族を守ろうと思うあまりに犯してしまった罪がとても悔やまれる。

    とても読みやすく、かつ、心揺さぶられる一冊であった。

  • なんとも、息が苦しくなるような話でした。
    高校生の秀一の身の回りで起こることが主なので、狭くて窮屈な感じがして。
    秀一は家族を守ろうとしただけなのになあ、でも証拠をあんなとこに埋めちゃったのはやっぱり痛恨のミスだよなあ。
    最後は悲しいけど、これが最良の道だと思った秀一の気持ちはわかる。

  • 凄まじい。とにかく凄まじい。
    ぼくの貧しいボキャブラリーではこれくらいしか言えませんが、本当に読後動けなくなりました。

    主人公の秀一は頭脳明晰で行動力もあり、何より家族思い。
    そんな彼が取らざるを得なかった選択が悲しい。
    彼を失って、残された家族は紀子はどうなるのだろうか。
    それは世間の好奇の目に晒されることよりもよかったのか。
    秀一は何が何でも生きて、幸せになれば、計画は最終的には成功だったんじゃないか。
    しかしそれは、電流を流したあの瞬間から、罪を感じてしまったその瞬間から、そもそも無理だったんだろう。

    やりきれない。もはや辛いくらいですが、この小説と出会えて良かったと思います。ああ、秀一…。

  •  作品解説:こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。 秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者がいた。警察も法律も及ばず話し合いも成立しない相手に秀一は自らの手で殺害することを決意する。

     倒叙ミステリー(犯人の視点から描くミステリーのこと)の大傑作! はっきり言うと、映画はつまらない! というのも、主人公・秀一が家族を守るために殺人を計画・実行して行く過程の心情があの演技からは伝わらないからだ。
     逆に言うと小説からは、念入りな完全犯罪へ思い至る、衝動を抑えきれない若さゆえの心情が痛いほど伝わってくる。

  • ※暴力、流血及び性描写を含む作品です。

    【印象】
    強い怒りが、激情がその身まで焼きつくす。
    完全犯罪の殺人を企てる高校生男子のうら。義憤の行方。
    ぐいぐいと引きこむ強さを感じる作品ですので没頭したい人にお薦めします。

    【類別】
    小説。
    ミステリ。そして作中で触れられてもいますが、倒叙。また、青春。

    【脚本構成】
    まっすぐ王道的に展開する、しかし効果的な間をもって情報が出される話の回し方に安心します。
    中島『山月記』、夏目『こころ』を作中で扱っていますのでその点ご承知おきください。ドストエフスキーは……そうでもないです。

    【表現】
    文体は平易。

  • 大橋先生にすすめられて

    犯罪者心理を山月記で表現

    読み進めて心が追い詰められていく

全266件中 1 - 10件を表示

貴志祐介の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

青の炎に関連する談話室の質問

青の炎を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

青の炎の作品紹介

光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために-。氷のように冷たい殺意を抱いて。人間の尊厳とは何か。愛とは、正義とは、家族の絆とは-。熱き感動を呼ぶ現代日本の『罪と罰』。日本ミステリー史上、燦然と輝く永遠の名作、ここに誕生。

青の炎のAudible版

青の炎の文庫

青の炎のKindle版

ツイートする