青の炎

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著者 : 貴志祐介
  • 角川書店 (1999年10月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048731959

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青の炎の感想・レビュー・書評

  • 母と妹と平穏に暮らす高校生・秀一が、家族を守るために完全犯罪を目論む。一般的なミステリと違い、犯人の視点で物語が進むのが面白い。
    母子家庭で育った主人公が、唯一の男として自分が家族を守らなくてはと思い詰めていく姿が痛々しい。一貫して重い話だけど、クラスメイトとのやり取りや同級生への恋心など、高校生らしい一面に救われる。
    いわゆる倒叙ものなので、犯人の心の葛藤やじわじわと追い詰められていくところが醍醐味だし、ハッピーエンドはあり得ないのは分かっていたけれど、ラストはやっぱり切ない。

  • どんなにつらくても人を殺しちゃだめだ。第二の殺人はあってはならなかった。何か曽根から逃げる方法は無かったんだろうか。
    ただ、友子が毅然とした態度をとらなかったのが悪い。これではあまりに秀一が可哀想だ。

    後味が悪かった。私も秀一をかばう周りのひとたちのように、捕まらないでくれって思っていたかも。

    虐待を受ける子どもを大人が守らなかったのが、そもそもの始まりだ。秀一も遥香も友子と曽根の被害者だ。

  • 現在の日本において、人を殺すことは許されていない。

    自分のためじゃない。家族を守るための殺人。
    家に転がり込んできて妹と母に苦痛を与える、かつての父親には電気ショックで罰を。
    殺人を知り、強請ってきた、かつての友人には狂言強盗を持ちかけ、ナイフで刺し殺す。

    完全犯罪で家族を守ろうとした高校2年生。

    -----------------------------------------------------

    たとえばここが日本じゃなくて、ミサイルや爆弾が飛び交う戦争状態の地域だとする。そしてそこにいる彼らは家族や友だちや大切なひとを守るために戦っているとする。
    誰かを傷つけたり排除する行為が、別の誰かのための愛だったりする。

    戦争反対なんてことは皆思ってる。殺す相手にも大切なひとがいることも想像できる。できるなら殺したくない。
    だけど、自分の大切なひとを守ろうとするとき、心に青い炎を灯し、危害を加える相手を排除する行為。これが愛じゃない、なんて誰が言えるのか。

    難しい。
    何が良くて、何が悪いのか。その道徳心は正しいのか。
    すごく揺さぶられるけど、答えは出ない。


    家に転がり込んできた元父親が余命わずかだったこと。
    秀一をかばおうとした友人たち。
    妹と母を想いトラックに飛び込んでいく秀一の気持ち。
    そのトラック運転手にも家族がいるんだろうな、とか、何度も何度も揺さぶりをかけてくる話だった。

    家族のために2人殺し、警察に追及された秀一の出した答えはトラックに飛び込むことだった。

    正解だとは思えないけど、答えが何だかもわからない。
    とても救われない話だった。名作。

  • 貴志祐介お得意の倒叙推理小説。

    ただ守りたかっただけなのに…

    切ない。

    後からじわじわ来ます。

  • 全編にわたって主人公・秀一の視点で描かれており、
    秀一の些細な感情の変化、心情まで感じ取れた。
    思わず秀一に感情移入する・・というより、あたかも秀一の周りにいる人物のひとりであるような気持ちになり、
    なんとか秀一の犯行をとめようとしている自分がいた。

    高校生らしい部分も持ちつつ、頭がよすぎた秀一。
    何も、すべてを一人で背負う必要はなかったのではと感じた。

    事を起こしてしまった後に気づく周囲の優しさ。
    家族を守ろうと思うあまりに犯してしまった罪がとても悔やまれる。

    とても読みやすく、かつ、心揺さぶられる一冊であった。

  • なんとも、息が苦しくなるような話でした。
    高校生の秀一の身の回りで起こることが主なので、狭くて窮屈な感じがして。
    秀一は家族を守ろうとしただけなのになあ、でも証拠をあんなとこに埋めちゃったのはやっぱり痛恨のミスだよなあ。
    最後は悲しいけど、これが最良の道だと思った秀一の気持ちはわかる。

  • 凄まじい。とにかく凄まじい。
    ぼくの貧しいボキャブラリーではこれくらいしか言えませんが、本当に読後動けなくなりました。

    主人公の秀一は頭脳明晰で行動力もあり、何より家族思い。
    そんな彼が取らざるを得なかった選択が悲しい。
    彼を失って、残された家族は紀子はどうなるのだろうか。
    それは世間の好奇の目に晒されることよりもよかったのか。
    秀一は何が何でも生きて、幸せになれば、計画は最終的には成功だったんじゃないか。
    しかしそれは、電流を流したあの瞬間から、罪を感じてしまったその瞬間から、そもそも無理だったんだろう。

    やりきれない。もはや辛いくらいですが、この小説と出会えて良かったと思います。ああ、秀一…。

  •  作品解説:こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。 秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者がいた。警察も法律も及ばず話し合いも成立しない相手に秀一は自らの手で殺害することを決意する。

     倒叙ミステリー(犯人の視点から描くミステリーのこと)の大傑作! はっきり言うと、映画はつまらない! というのも、主人公・秀一が家族を守るために殺人を計画・実行して行く過程の心情があの演技からは伝わらないからだ。
     逆に言うと小説からは、念入りな完全犯罪へ思い至る、衝動を抑えきれない若さゆえの心情が痛いほど伝わってくる。

  • ※暴力、流血及び性描写を含む作品です。

    【印象】
    強い怒りが、激情がその身まで焼きつくす。
    完全犯罪の殺人を企てる高校生男子のうら。義憤の行方。
    ぐいぐいと引きこむ強さを感じる作品ですので没頭したい人にお薦めします。

    【類別】
    小説。
    ミステリ。そして作中で触れられてもいますが、倒叙。また、青春。

    【脚本構成】
    まっすぐ王道的に展開する、しかし効果的な間をもって情報が出される話の回し方に安心します。
    中島『山月記』、夏目『こころ』を作中で扱っていますのでその点ご承知おきください。ドストエフスキーは……そうでもないです。

    【表現】
    文体は平易。

  • 大橋先生にすすめられて

    犯罪者心理を山月記で表現

    読み進めて心が追い詰められていく

  • 集中した意識がプツンと途切れる瞬間、胸が張り裂けるように切なくて心地いい。

  • 母と妹を守るため、母の元夫を殺害する。いったんは完全犯罪が成立したかと思いきや、同級生に知られ結局その同級生も殺すことに…。殺人の一線を越える前、後の心理描写が息もつけない緊迫感を生み出している。

  • 計画は立ててもいい
    だけど実行には移さないで・・・
    と、どれだけ思ったか

  • 最後の最後に衝撃が走った。まだ映画のほうは見たことがないけど、見てみたくなった。家族の形というのはいろいろあって複雑だなと思った。だけどどんなに完璧な殺人計画で誰にも気づかれないと思っていても最終的には誰かに気づかれてしまうものなんだと改めて感じた。

  • 読んでいて現場を想像すると心臓が痛くなりました。それほど、リアルに感じました。ガレージの様子など、描写が細かいから驚いた。主人公の心理は単純だったか、人なんてそんなもんやろとおもうとリアル…哲学的思考なんてしないでしょ普通の人なら。最初は完全犯罪をどうやるのか、次に完全犯罪は成功するのかとつづきがきになって、いっきに読んでしまった。気持ち的には、本当の事件のテレビ再現を見てるのとおなじ気持ちになった。後味は悪いけど、気になってしまう感じでした。科学的なことがら、自転車、法医学、ナイフいろんなことが詳しく書いてあってすごい、作者が博識で感心します。やっぱりミステリーものがすきやなー

  • 作品内に出てくるように罪と罰に酷似している。罪と罰から哲学的側面を軽減させ、科学的アプローチに傾倒させた感じ。しかし、科学的な描写は仔細で、高校生の教科書レベルでたどり着ける(かのように書いてある)トリックはやっぱりどこか乱暴なんだけど、嘆息してしまうような、よくそんなん思いつくなと感心してしまう。ミステリー作家って博学だなぁとしみじみ思う。でも貴志祐介にはもっとおどろおどろしい、真っ黒い作品を期待してしまうなー。あっさり塩味。

  • 1人で全てを抱え込む秀一の姿がとても切なくて、孤独で、殺人を犯しているのに、秀一が捕まらないでほしいと思ってしまいました。
    続きが気になって、ドキドキしながらページをめくる手が止まりませんでした。




    櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。(BOOKデータベース)

  • とてもおもしろかった。が悲しくやりきれない。

  • 【あらすじ】
    櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

    【感想】
    大切なものを守りたかった主人公が、ひとりきりで、幸せを壊そうとする人を、殺めてしまう。それを隠すために必死になるが、事実は次々に明るみに出る。こんな辛い状況に陥ったら、私はどうするだろうと考えさせられた物語だった。

  • 映画の評判がいいので、そちらを見る前に読む

    そしたら読んでいて力が入り
    なんか、すごく疲れる

    高校生がたくらむ完全犯罪
    1と2の間が、ちょっと無いかな?
    という気はするが、それぞれの犯罪は納得がいく

    犯行後の心情の推移がねっちこく語られる

    「李陵」「こころ」の引用
    あと「罪と罰」にも言及あり

  • 完全犯罪をもくろみ、科学的、法医学的見地から科学的に計画を立ててゆく反面、高校生の日常戸のギャップ! 湘南の風景もあいまって意外と面白い作品でした。

  • ぐいぐい引き込まれる作品。
    家族を守るためにたった一人で悩み苦しむ一人の青年の悲しい物語。少し難しい箇所もあるけど、あっという間に読み終えてしまう。若い年代の方にオススメしたい一冊です。

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青の炎の作品紹介

光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。愛する妹と母のために-。氷のように冷たい殺意を抱いて。人間の尊厳とは何か。愛とは、正義とは、家族の絆とは-。熱き感動を呼ぶ現代日本の『罪と罰』。日本ミステリー史上、燦然と輝く永遠の名作、ここに誕生。

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