パイロットフィッシュ

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 548
感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733281

感想・レビュー・書評

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  • なにこれ、めちゃめちゃ純愛じゃないですか!
    だけどありがちな恋愛ストーリーなんかじゃない。優しくて、透明感があって、だけど核心は突いてくる。生きるという事、人生の話。

    「これまでに出会ってきた多くの人たちから影響を受け続け、そしてそんな人たちと過ごした時間の記憶の集合体のようになって今の僕があるのかもしれない」
    とても共感できました。過去を無かった事になんて出来ないし、切り離す事もできません。ずーっと続いていくものですよね。

    これは涙なしでは読めません、後半は泣いた泣いた…。

    「この愛が本当に本物ならば、二人はこの世界のどこかで必ず再び巡り合うはずです」由希子のこの言葉が最後に頭に浮かんできました。
    ラスト、山崎くんは電車を乗り過ごしたのかなぁ…?

    久しぶりにこれぞ純文学って感じの素敵な作品に出会えました。暫く余韻に浸りそうです。

    • フーミンさん
      >mattun08さん
      読みましたよっ!めちゃツボにはまった感じ。
      ほんと、切なさが胸に突き刺さった~。
      言葉足らず、その気持ちは良く...
      >mattun08さん
      読みましたよっ!めちゃツボにはまった感じ。
      ほんと、切なさが胸に突き刺さった~。
      言葉足らず、その気持ちは良く分かる。何かすごく感動してテンションは上がってるんだけど、うまく言葉にできないというか…。
      会わなくなってもずっと続いていく人との繋がりが上手く描かれているよね。
      手元に置いておきたい作品のひとつになったよ。
      2014/12/22
  • 友人に「絶対気に入ると思うから」と勧められた作品。
    『孤独か、それに等しいもの』もそうだけど、文をゆっくり咀嚼しながら読もうと思わせるのは、筆者の力量か。

    全体に装丁にあるブルーのような、寂しさ?かなしさ?が漂っている気がした。
    その中で起こる様々な出来事。
    雨が似合いそうな本だと思った。

  • バーのマスター、渡辺の「何でもいいからとにかく自分を信じろ。思い通りに生きろ。自分の能力だけを信じて思い通りに好き勝手に」という言葉を思い出し、今までやれていなかったことをやろう、と決意する山崎がかっこいい。
    40歳になっても、「やれないことと同じくらい、やれることはあるはず」と言い切る姿に勇気づけられた。


  • なんとなくノルウェイの森に似てる感じがした。

    後半、ちょっと展開に無理がある気がする。

    しかし、素敵だなと思ったフレーズも多かった。
    『飲食店の良し悪しはいかにおいしく水を飲ませるかやと、わしは思っとる。ただの水を、きれいなグラスとちょうどいい冷たさで出す。水さえおいしく飲めれば料理だって酒だって何だっておいしく感じる(中略)ただで出すもんやからこそ大切なんや。』

  • 恋愛小説。
    ストーリーは、村上春樹の作品に似てるな、と思った。
    ただ、先が読めるので展開に驚く事もないし、例え話もいまいちピンとこない。
    そして、主人公にあまり魅力を感じなかった。
    しかし、表紙のデザインの美しさ、ストーリー自体の面白さは良かったと思う。
    何かに影響されている感じは薄々感じるが、トータルでみると星3つ。

  • 村上春樹の影響を受けた作家で検索して出てきた本。
    面白かったぁ。一気に読み終わった。
    人には、2度の別れはない。「一度出会った人間は、二度と別れることはできない。」男女の別れ、死別…。出会えば別れもつきもので、生きていると辛い別れはあるもの…。

    別れても、思い出は残り、過ごした時に感じた事も、残り続ける。普段は、思い出さないエピソードも、ふとした瞬間に思い出したり、思い出さなくても影響を受け続けている。
    過ごした時間の記憶がある限り、その記憶の相手から影響を受け続けることになる。「そんな人たちと過ごした時間の記憶の集合体」

    今の自分は、そんな蓄積された記憶の集合体。出会った人たちから影響を受け続ける記憶の集合体。

    辛い別れを昇華させることができる本。

    辛い別れをひきづってる人におススメの本です。

  • 「僕は君とは別れてはいない。それが人と人が出会うということなんじゃないかな。一度出会った人間は二度と別れることはできない。[...] 忘れるということは表層的なことで、それは忘れているだけで消滅しているわけではないんだ。」(230 ページ)

    さまざまな人と出会い、別れても、
    一度出会った人間と、
    二度と別れることができないことに気づく主人公。

    出会ってきた人たちから影響を受け続け、
    そんな人たちと過した時間の記憶の集合体のように
    今の自分が形成される。

    私たちは、二度と別れることのない出会いを、
    毎日繰り返していることに気づかされる物語り。

  • 夫のジャケ借り。文章好きだった、透明で。それからちょっとした驚きもあって面白かった。

  • 一度出会った人間は二度と別れることができない、そうです。そうなのか。

    そんなに面白くない、普通かなと思っていたけれど、この本は雰囲気を楽しむ本なのかと気づき、なかなかよかったと思い始めました。

  • 人との出会いと別れ、死。
    山崎と由希子。渡辺さんと沢井さん。可奈と七海。そして伊都子。
    部屋の中の透明な水槽がこの文章の独特な世界観を作っている

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著者プロフィール

1957年、札幌市生まれ。大学卒業後、日本将棋連盟に入り、「将棋世界」編集長などを務める。2000年、『聖の青春』で新潮学芸賞、翌年、『将棋の子』で講談社ノンフィクション賞を受賞。さらには、初めての小説作品となる『パイロットフィッシュ』で吉川英治文学新人賞を受賞。

「2019年 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大崎善生の作品

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