桜姫

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733366

作品紹介・あらすじ

十五年前、大物歌舞伎役者の跡取りとして将来を嘱望されていた少年・市村音也が幼くして死亡した。それ以後、音也の妹・笙子は、自らの手で兄を絞め殺す生々しい夢に苦しめられるようになる。自分が兄を殺してしまったのではないだろうか-。誰にも言えない疑惑を抱えて成長した笙子の前に、かつて音也の親友だったという若手歌舞伎役者・市川銀京が現れた。音也の死の真相を探る銀京に、笙子は激しい恋心を抱くようになるが-。梨園を舞台に繰り広げられる痛切な愛憎劇。ミステリ界の最注目株・近藤史恵が満を持して放つ、書き下ろし歌舞伎ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 今泉文吾シリーズ 4
    先日、歌舞伎解説のYouTubeを見た。
    その人は「桜姫東文章」の桜姫を、魅力的に解説されていた。
    姫でありながら、恋しい男のために、乞食になり、刺青をし、その男に、女郎に売られて、それでも、傷つく事なく鮮やかな桜姫。

    この本を見たときに、ふと、その事を思い出して、読んでみる気になった。

    大物歌舞伎役者の跡取りとして、将来を嘱望されていた、市村音也が、幼くして亡くなった。
    妾腹の妹、笙子は、兄音也を自らの手で殺める夢を度々見て、自分が、兄を手にかけたと思い込む。

    題名だけで手に取ったが、今泉文吾シリーズだった。

  • ちょっとオチがずるい気がする~。
    2つのナゾ、どっちも「腑に落ち」感があんまりないなー、この終わり方だと。
    しかも、2つのナゾにとくに関連性がなかったので、なんかちょっとバラバラっとした印象。

    ただ、歌舞伎の裏側がちょっとわかったのは面白かった。海老蔵さんとかの後ろにいっぱいいる役者さんたちは、こういう方たちなんだなというのを初めて知って、それは役に立ったので、★1こ増やして2つ!

  • 梨園のお話かと思いきやある意味多様性社会の悲しい物語だったように思う。それが子供時代で大人よりも純真だからこそ苦しいのだろうと。最後まで一気読みでした

  • 歌舞伎要素もあるミステリー

    性未分化症
    男性への道選んだら将来は歌舞伎俳優
    だが、京介くんが好き
    という一言を尊重し女性としていきさせるために、女性への道を選んだ母親
    なるほどぉ〜と思った

    近藤史恵さんの本凄く好きだなーと改めて思った

  • これシリーズものだったんですね… しまった;

    きっかけは大部屋歌舞伎役者たちの勉強会の招待状。演目・桜姫の芝居の後、送り主の役者・銀京と、大物役者・市村朔次郎の娘・笙子は出会った。
    父親とは不仲で舞台と疎遠な笙子に銀京がコンタクトを取ってきた理由は子供の頃別荘で遊んだ笙子の兄・音也のこと。彼は10歳の夏に亡くなっているのだが、しかし、銀京にはその死亡日の後に彼と会った記憶があるのだ。
    ほとんど禁句となっていた音也の死に疑問を持ってくれた銀京に、笙子は勇気を振り絞って伝えた。
    兄を殺す夢を見るー…兄を殺したのはきっと私だー…と。
    ほぼ時を同じくして歌舞伎座で子役が死体で発見され、今泉探偵は調査の依頼を受けて調べ始める。
    歌舞伎世界を舞台の恋愛ミステリ。

    うーん…探偵・今泉の印象がいまひとつ…; 前作を読んでいないせいなんでしょうか。それともやっぱりあまり調査中の描写がないせい?
    そもそも、子役・景太郎くんの事件を絡める必要性がわからなくて…音也くんの件に接点持たせるためじゃないですよね?まさか; 強いて考えるとしたら共通項は「親の心」と「子の心」の擦れ違い、でしょうか…(そういえば銀京も母親とすれ違ってるし) 
    個人的には、笙子と銀京、そして音也くんのことのみで話を進めて欲しかったかなぁ。銀京の想いの描写ももっと欲しかったですし。登場人物たちも評しているけど、銀京さん本当に何考えてるのか分からない;
    2人の恋、あの水の膜に包まれたようなぼんやりと温い恋、少しの衝撃でパチンと弾けてしまうような繊細な恋。そんな雰囲気がとても良かっただけに、なんとなく残念です。

  • 歌舞伎役者の家に生まれた
    長男の音也と笙子の運命

    「梨園」という
    男たちが傾く世界でも

    男も女も
    人を思い
    恋する気持は
    シンプルで真っ直ぐ

    ずっと会いたいと
    思っていた人のために
    出会うためには

    壁のような
    扉を開けなければならない

  • 2002年4月17日読了。以下、過去の日記から抜粋。

    タイトルから、装丁から、何気なく醸し出される「和」の空気。
    「おや?」と思って手に取ってみると、やはり歌舞伎シリーズ。
    『ねむりねずみ』『散りしかたみに』ときて、最新作3作目。
    今回の話は、いいねぇ。非常にいい。面白い。
    ラストも珍しく救いがあって(一方ではやっぱり酷いんだけど)、
    ちょっとロマンチックでもあり、平たく言えば私の好みということだ。

    今作品で登場する題目は「桜姫東文章」「伽羅先代萩」
    「伽羅」は「きゃら」ではなく「めいぼく」と読むことを知ったのは昨年末。
    『仮名手本』の注釈をつけている時に初めて自分のミスに気づいた。
    人間一度失敗すると逆にすんなり頭に入るというイイ例である。

  • 歌舞伎があるから、というか、歌舞伎のちからでよませてもらったというか。

  • 物語は歌舞伎の世界の中で起こる。「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」桜姫の美しいお衣装など、情景を思い浮かべながら、登場人物である役者さんはこんな感じかなぁ…と想像しながら読むのも興味深い。
    歌舞伎の世界の中で起こる事件。真相は、想像していたものとは違って…静かだけれど、後から、後から、ずっしり重みを伴って悲しみや苦しみを連れてくるような感覚を味わいました。

  • ミステリーなので、結末を色々予想しながら読んだけど、ことごとく裏切られた。面白かった。
    しかし景太郎のくだりは必要だったんだろうか?

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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