金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048733625

感想・レビュー・書評

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  • ホームズ、金田一なんてタイトルがつくとつい手にとってしまう。そういえば、明智君はそういうの見かけない気がする。
    京極氏が!とコーフン気味に読んだのに、残念。
    なんとなく名前貸しただけ?って感じ。
    まあ、久々に関口さんのグダグダぶりを読めたのでいいけども。
    作者紹介に好きな横溝作品があるのもうれしい~!

    「無題」京極夏彦
    「キンダイチ先生の推理」有栖川有栖
    「愛の遠近法的倒錯」小川勝己
    「ナマ猫低事件」北森鴻
    「月光座」栗本薫
    「鳥辺野の午後」柴田よしき
    「雪花 散り花」菅浩江
    「松竹梅」服部まゆみ
    「闇夜にカラスが散歩する」赤川次郎

    ふふふ。いやだなあ、もう。とか言いつつ、しまい込んだ角川の横溝シリーズから「黒猫亭」「幽霊座」を引っ張りだしてる。読まないではいられない。
    北森鴻はおちゃらけてる感じで話自体はうーん、なんだけど散りばめられた金田一ワードにニヤニヤしてしまう。
    栗本薫はニクい!かつて読み込んだ伊集院大介にお役者捕物帖シリーズにも重なる。大サービスだわ。もちろん、キッチリ「幽霊座」の後日談。
    「幽霊座」を読んで、もう一度読んでみちゃった。
    すごい。横溝節違和感なし!
    伊集院大介ってやはり金田一っぽいんだなあ。好きだったんだよなあ。

    金田一って切り口で映画のイメージ世界から、成城の先生、そして孫!まで、楽しく読んだ。
    「じっちゃんの名にかけて!」はさすがに出なかったけども。
    もう一度、金田一シリーズを読み直したら新しい発見があるんだろうな。楽しかった。満喫!

  • 金田一耕助シリーズ(横溝正史)のパロディ作品を9人の作家(赤川次郎/有栖川有栖/小川勝巳/北森鴻/京極夏彦/栗本薫/柴田よしき/菅浩江/服部まゆみ)が著作したアンソロジー。京極先生だけ著書からの抜粋ですが、他の方々のは書き下ろしのようですヨ。

    暑さと神経症でふらふらになりながら出版社へ行く途中、関口巽は初老の紳士に助けられた。日陰で休みながら2人はとりとめない話をする。 ―――京極夏彦 『無題』
    「警察に尋問されたんですよ」推理小説ファンの僕(高校生だ)は近所に住む推理作家『キンダイチ』先生の部屋に入るなり、教えてあげた。生きてる被害者を(犯人以外で)最後にみたのは僕なのだ。―――有栖川有栖『キンダイチ先生の推理』
    岡崎の銀造のもとに立ち寄った金田一耕助は、銀造から事件の話を聞かされる。既に解決したというが、それは小松崎家と藤平家という2つの家筋の、怨嗟と愛に満ちた事件だった。―――小川勝巳『愛の遠近法的倒錯』
    民俗学の大学院生から名探偵に人生の軌道修正をした「近田一耕助」から某作家のもとへ、首のない死体トリックに関する資料が送られてきた。彼自身が解決した、ナマ猫真教の教祖の首なし死体が祭壇で発見された事件のことだ。―――北森鴻『ナマ猫邸事件』
    昭和初期に起きた陰惨な事件の後、閉められた「稲妻座」。その跡地にそっくり模した「月光座」が作られるという。開演初日、金田一耕助は知り合った青年から招待状を貰い、感慨にかられながら歌舞伎を観劇するのだが、演目に疑問を感じた。何故よりによって事件の舞台となった「鯉つかみ」が選ばれたのか?―――栗本薫『月光座』
    鳥辺野・・・六道の辻。そこは死者と生者のゆきかう地である。5月25日、元・探偵と推理小説家の女性との間で話されたのは、確かにその狭間であったといえる。自分を殺そうとした女が、どうやって確実に毒を飲ませたのかを推理してもらおうとしたのだから。―――柴田よしき『鳥辺野の午後』
    「金 田 一 探偵事務所」 京都の町屋に構えられたそこに初めての依頼人が舞い込んだのは、しんしんと雪の降る日だった。謎の絵の書かれた葉書、祇園の会員制クラブ、自殺したなじみの客。事務所の3人のうち推理小説ファンは嬉々とした。こういう事件に会いたくて、京都に事務所を開いたのだから!―――菅浩江『雪花 散り花』
    風邪の治療を受けた病院で、金田一耕助は院長室に招き入れられる。依頼をしたいようなのだがそこに義母・タケが凄い剣幕で現れる。うやむやのまま観劇の切符を貰ってしまった金田一は等々力元警部を誘ったのだが、そこにはタケとその双子の妹・マツ、看護婦の梅子も同席していた。そして気まずい雰囲気の中、梅子が・・・。―――服部まゆみ『松竹梅』
    出張帰りの列車の中、あまり乗り降りのない山中の駅でひとりの男が乗り込んできた。男は私の前の座席に座り「闇夜にカラス」と言葉を投げて立ち去る。また、今度は紳士が座り、私は会話の最中に先程の男の言葉をつい言ってしまった。すると紳士は「カラスの散歩」と返してきた。―――赤川次郎『闇夜にカラスが散歩する』
    どれもこれも、書く作家の個性がのぞける一品ぞろいです。

    金田一シリーズのパロディとはいっても、実際の著作のパロディはどうやら1作のみ(『ナマ猫邸事件』)なので、実は横溝作品を1作も読んでない私でもどれも楽しめましたv もちろんパロディ作もそれはそれで楽しいですよ。
    みなさん、金田一本人だったりニセモノだったりファンだったり・・・主人公をいろいろ設定していて、それぞれ異なるのが面白い。それだけ愛されてるキャラクターなのですね、金田一耕助という探偵は。
    私が一番のめりこめたのは、小川勝巳「愛の遠近法的倒錯」。短編ながら横溝作品のイメージに近く、かつ引き込まれました。菅浩江「雪花 散り花」も比較的現代に近い設定なのに、祇園という閉鎖社会の話だからか雰囲気出てて好きです。3人の「金田一」もなんだかかわいいですしね。少し続編を希望したい気分です。

    金田一耕助がお好きで、各作家に興味がある方はぜひとも読んでいただきたいです。栗本氏と北森氏の作品には、別作品のキャラの出演というオマケもありますよ♪

  • 090311貸出
    アンソロジーだったので、1冊の本としてはやはりばらばら。
    そんなんでいいのか、と思ったものも。

  • 良いメンバー揃ってますな。肝心の横溝作品まったく読んでないんですが(汗)。どれも面白かった。京極氏のは既出の作品の抜粋。読んだことあるなーと思いつつ読んでました。北森氏のナマ猫邸は好きだった。人死んでる割に笑わせてくれる。

  • 11月13日再読。時代錯誤と言われようと、金田一耕助は好きです。事件前に依頼されているのに、事件を防げない探偵ぶりには首をかしげる部分もありますが(苦笑)。あの独特の世界はたまりません。子供の頃に怖いけど続きが気になる・・・とビクビクしながらも時間を忘れて読んだことを思い出します。『犬神家』の映画公開もまもなくということで、アンソロを再読。面白いけど、やっぱり本家の方がいいな。本家も再読しよう。

  • 図書館で借りました。有名どこの方々9人が金田一耕助をモトに書くアンソロジー。金田一本人が出るものもあれば、名前だけ使ったものなど個人個人作風が違って楽しめます。

  •  タイトルどおり、金田一耕助にまつわるアンソロジー。
     「金田一耕助に捧ぐ」というより、「横溝正史に捧ぐ」の気もするけれど。
     パロディとかパスティーシュとか、いろいろです。時代も、横溝正史の当時もあれば、現代(この本の出版現在)もある。
     でも、そうであることを、この本のどこでも言ってないから、読んでて混乱する。みんなごちゃ混ぜに収録されてるから。
     だからかな、横溝正史は嫌いじゃないし、この本に収録されてるお話はどれも短いのに、なぜか読むのにすっごい時間掛かった。

     以下、それぞれのお話の個人的感想。

    ○無題(京極夏彦)【★ ★ ★ ☆ ☆】
     おもしろいんですけどね、『陰摩羅鬼の瑕』からの抜粋なので、肝心な部分に差し掛かっていないというか、謎解きがないわけですよ。
     謎解きがあると思って読むと、拍子抜けする。
     というか、百鬼夜行シリーズを知らないと、意味分かんないし、つまんないんじゃないかなぁ。

    ○キンダイチ先生の推理(有栖川有栖)【★ ★ ★ ★ ☆】
     パロディ…になるのかな?
     現代設定。
     謎解きはおもしろかったけれど、語り部である男子中学生に魅力がない。
     大嫌いになるほどの要素もないけれど、好きになる要素もないというか……何回聞いても顔と名前を覚えられない感じで、キャラが薄い。

    ○愛の遠近法的倒錯(小川勝己)【★ ★ ★ ★ ★】
     パスティーシュ。
     知らない作家さんでしたが、おもしろかったです。
     謎解きは簡単だったけれど、雰囲気も悪くなかったです。

    ○ナマ猫邸事件(北森鴻)【★ ☆ ☆ ☆ ☆】
     パロディとはいえ、悪ふざけが過ぎていて、最悪。
     読んでいて、気分が悪い。
     この人の別の作品を読んで、あんまり好きじゃないと思っていて、別の作品を読めば印象が変わるかな、と思っていたんだけれど、より嫌いになった…。

    ○月光座 ―金田一耕助へのオマージュ―(栗本薫)【★ ☆ ☆ ☆ ☆】
     何か……何だろう、全然意味が分からないし、全然頭に入って来なかった。
     最後のほうは飛ばし読み。

    ○鳥野辺の午後(柴田よしき)【★ ★ ★ ★ ☆】
     最後の最後、謎解きはおもしろかったけど、前置きが長いというか、最初が長くて飽きて来る。

    ○雪花 散り花(菅浩江)【★ ★ ★ ☆ ☆】
     3人の頭文字(?)をとって「金 田 一 探偵事務所」ていう設定はおもしろかったけど、短編で使うにはもったいないというか、ごちゃ付いた感じになっちゃってる。
     謎解きも、おもしろかったけど、駆け足すぎて、こじ付けがましく感じる。
     お話自体がもっと長くて、全体的にもっと丁寧に描写されてたら、分かりやすくてよかったんじゃないかと思う。

    ○松竹梅(服部まゆみ)【★ ★ ★ ★ ☆】
     昭和44年設定のパスティーシュ。
     謎解きは簡単だったけれど、オチでもう一展開あっておもしろかった。

    ○闇夜にカラスが散歩する(赤川次郎)【★ ★ ☆ ☆ ☆】
     もともと赤川さんのお話は、その描写と文章の構成が合わなくて、苦手だったんですけど、読まず嫌いばかりしてるのも何だし、短いお話なんで、がんばって読んでみました。
     北森 さんの「ナマ猫邸事件」ほど不愉快な気持ちにはならないけど、わけは分からない。

  • 「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」赤川次郎ほか◆とても横溝的なものからオリジナル色が強いものまで、9人の作家がそれぞれの形で金田一愛を放つ。北森鴻の「ナマ猫亭事件」では犯罪浪漫とミステリの王道が大好きな警部が登場、王道に対して茶々入れたくなることをいちいち代弁してくれて面白かった。

  • ハラハラドキドキ!驚愕の結末!大どんで返し!胸をえぐるような細密な描写!…とかは無く。全然無く。
    ですが、金田一耕助を知っていると笑えたり、感心できたりする小ネタがそれぞれの作品に散りばめられていました。
    とにともかくにも原作や映画を再度みたくなります。

  • 請求記号:Fキ
    資料番号:010591568

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著者プロフィール

1948年、福岡県生まれ。1976年「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。『東京零年』で第50回吉川英治文学賞受賞。「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ、「三毛猫ホームズ」シリーズなどミステリーの他、サスペンス、ホラー、恋愛小説まで幅広く活躍。

「2023年 『黒鍵は恋してる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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