管仲 下

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 158
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734486

作品紹介・あらすじ

不遇な日々を過ごす管仲に一筋の光明が射した。斉国の公子小白の傅となった鮑叔の推挙により、管仲は公子糾の家宰となる。ふたりはともに力を合わせて斉国を盛り立てていこうとするが、時は争いの絶えない春秋の世、朋友である管仲と鮑叔も、いつしか戦渦に巻き込まれていく…。壮絶な人生のなかで、管仲は一本の矢を放つ。それは、彼と中華の運命を一変する、新しい時代への嚆矢であった。

感想・レビュー・書評

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  • 2019/1/6
    史実をベースにしているノンフィクションのようなフィクション。史料が欠落しているところを作者の想像力が埋める。残ページが減っていくのが寂しく思えた。

  • ここまで淡々と進んできた物語だが、下巻に入ってからは雪玉のようにあっちに転がりこっちに転がりながらクライマックスを迎える。特に、ライバルかつ親友の鮑叔や敵国宰相との知恵比べのくだりは実に痛快。
    著者は『春秋左伝』などを下敷きにして肉付けしたらしいが、これが紀元前の話(♪殷周秦漢…の周と秦の間)なんだから恐れ入る。

  • 上巻の方が面白かった。

  • 斉の僖公の死後、その長男襄公の時代となるが、弟である公子糾、公子小白にそれぞれ仕えることとなった管仲と鮑叔。襄公に疎まれ、その施政を批判し亡命の道を選び後日に備える小白と鮑叔。そして糾と管仲は襄公に従い、道を分ける。その後、暴政を極めた襄公は殺され国が乱れる中で、糾と小白は斉の都・臨?へ急行する。先に着いた方が国を治める立場になるその競争は手に汗を握る迫力があります。小白を途中待ち伏せして弓を引く管仲。しかし小白は九死に一生を得て、臨?を抑える。丁度、無政府状態のイラクを誰が制圧するのか、という状況を思い出しますし、少人数の小白と鮑叔が大部隊の糾と管仲に勝る結果も八甲田山彷徨の2つの部隊にも似ています。上巻では文章に気品を感じながらも、短い文章にやや性急さを感じたのが、下巻ではテンポを感じました。読み終わって恒公とともに中国を制覇する管仲の優れた政治能力以上に、斉の恒公(小白)に弓を向けた管仲を推挙し、自らの身を引く鮑叔の爽やかさがこの小説の一番の魅力だと思います。管仲の晩年は明らかなのに比べ鮑叔の死亡の年も分からないという史実は象徴的な気がします。

  • 管鮑の交わり。言葉は知っていたが、生死をかけた激しい言葉だったとは。。。管仲もすばらしいが、鮑叔の行動にすごみを感じる。宮城谷氏は、作品の舞台は異なるが、司馬遼太郎の正統な後継。

  • 春秋時代の斉国の宰相。自分が矢を射た公子小白(後の斉の桓公)に仕えて、富国強兵策で桓公を覇者とした。名言「倉廩実ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る(そうりんみちてれいせつをしり、いしょくたりてえいじょくをしる)」は二千年以上前では先見性があったかもしれないが、今の日本人には当てはまらない気がする。

  • 辛苦を味わう管仲が中心の巻。知性が群を抜いている管仲の政治には舌を巻くが、運のない彼を助けた友の友情の厚さにも感動。

  • 公孫無知の横死から桓公の即位辺りまでは面白かったけれど桓公が管仲を召抱えて以降は事跡を追うような感じで淡々とし過ぎ、ややつまらなく感じた。

    管仲も偉才だろうけれど彼を認め、彼を押した鮑叔も凄いと思う。

  • 斉の桓公が立った後、もう少し鮑叔ネタをちりばめてくれればもっと評価が高い作品になったのに残念。

  • 2008/7 再読

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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