神は沈黙せず

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 416
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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734790

作品紹介・あらすじ

UFOも、怪奇現象も、超能力も、すべて「神」からのメッセージだった!現代人の「神」の概念を根底から覆す長編書き下ろしエンタテインメント一三〇〇枚。

感想・レビュー・書評

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  • 超常現象、オカルト、宗教などの実例を物語に絡めつつ、神とはいったい何者なのかを追求するSFストーリー。圧倒的な情報量!知識欲をこれでもかとくすぐられるので、うんちくが好きな方は大いにハマりそう。物語で解き明かされた神や世界の真実、SFの仕掛けもワクワクさせられた。発売は2003年で、その時から現在を予見しているような描写もたくさんあってそれも面白かった。

    「神とは何なのか」という問いとともに、「人はどういうものを信じようとするのか」というテーマも深掘りされていて興味深かった。読み終わった後で序盤の校長先生の言葉を思い返すと感慨深い。

    「嘘は強い。ひとたび成功した嘘、多くの支持者を獲得した嘘は、真実が暴露されたぐらいで揺らぐものではない。何年、何十年でもはびこり続けるのです。それに対して、真実はなんとも弱く、はかない。」
    「ですから、もし本当に子供たちに社会の中で成功するすべを身につけさせようと思うなら、学校は嘘の大切さを教えるべきなのです。嘘がいかに強いものなのかを、嘘をどのように使えばいいかを教えるべきなのです。嘘を武器に使う者の方が勝てるのですから」
    「しかし、そんなことはしません。学校ではそんなことを教えません。私たちはあなたたちに真実を教えようとしています。真実を守ることを教えようとしています。たとえそれが不利と分かっていてもです」
    これは優歌が最後に手に入れたあの思いにも通じるように感じる。

    登場人物では大和田さんがお気に入り。加古沢が純粋に突き進む邪悪なら、大和田は悩み歩く善人という印象。彼の言葉はどれも学びがあって好き。

    「超常現象というのは、まず人間の信念が先行する。現象があるから信じるんじゃなく、みんなが信じるから現象が起きるんです。」
    「その迷いを忘れてはいけませんよ。確信を抱くのがいちばん危ない。常に『自分は間違ってるんじゃないか』『論理ではなく盲信で動いてるんじゃないか』と問いかけることです。自分が間違ってる可能性を探すこと。それが道を誤らないための唯一の方法です」

    自分の正しさを疑わない人ほど、無自覚に他人や自分を傷つけてしまっている気がする。信念を訴える前に事実を検証して考えることの大切さを知ることができた。

  • まずこれ以上あり得ないほど面白い。
    理系の人読んでみ。射精すっから。

  • お兄さんのショックっぷりが理解できなかった。読み込みが足りないのかな

  • VR仮説が正しかったという話、超常現象の話が長く実話か作者の創造か区別つかないが、不思議と読めてしまう。
    神は存在するが信仰に価しない。
    遺伝的アルゴリズムによって知能のあるプログラムができる。神は自身の知能と同レベルのAIを作ろうと地球を使ってシミュレーションしていた。人間は遺伝子やミームに過ぎない、サールの悪魔だった。全ては作り物だった。
    神は人間を理解しないし気にもかけない、神を理解することも不可抗力。

  • 小説

  • 神は沈黙せず

  • 南京大虐殺に触れている部分は勉強不足で良く分からなかったが、右寄りの人を論破していく体をとる
    うーん、自分の知っていることと違うが判断できない

  • 非キリスト教徒がクリスチャニティにおける絶対者を描くと、やっぱりそれは「考え方が完全に異なるだけの人間」にしかならんのだなぁとか。
     福田恆存のいふ「絶対者」は、イノベーションを保障するが、こっちの神様も進化を促すなんぞなのだが、でもなんか、うーん。
     作中登場する、「へんな歌が謎周期でヒットする可能性」について、そこそこ面白いと思ってゐたが、後その周期みたいなものの誤差の範囲の辺に、『おしりかじり虫』といふ歌が空前のヒットをした。あーうー。

  • 序盤。宗教に対して常日頃感じている疑問をしっかりと言語化してくれて気持ち良い。新興宗教の事件のくだりなども細部までリアリティを感じた。
    一方で微妙に超常現象らしきことも起きており先が気になる。神の実在について救いの無い結論が導き出されるのだろうと期待できる。

    中盤、超常現象事例を大量に並べ立てている箇所があるが、これの長さは半分以下でいい。何ページもずっと続くのでうっとおしすぎるし、主人公が延々と自説補強しつづける面倒な人間に見えてくる。
    あと、遺伝的アルゴリズムはそんなに万能ではない。実際の生物進化と遺伝的アルゴリズムとは別のもの。ラストはもう少しねっとり書いても良かったのでは。ちょっとあっさりすぎてご都合主義ではないが近い印象を受けてしまった。

  • 特徴的なのが超心理学やらUFOやら超常現象やらいわゆるオカルト事案のすさまじい列挙。
    個人的にネタでそちらの方面に興味があったのでその内容は面白く読んだがときとして枚挙が多すぎて退屈だった。
    巻末の参考文献リストはありがたく後日参考にさせていただこうと思う。
    違う生物である以上その心理は互いに理解し得ない、同じ生物同士であってもクオリアを伝え合えない以上分かり合えたとは言えないのではないかと常々考えていた自分にとって、兄の気付いた世界の真理は予想を越えない結論だったし、この世界は神のシミュレーションなのではないかというシミュレーション仮説も既に知っていたので新鮮には感じなかった。
    けれど作中にも出てきたように、導き出した論理や判明した事実の我々にとっての意義は何だろうかという考えの部分が、
    和久兄妹と葉月、加古沢、大和田etcの軌跡が、人類はどうあるのが善く生きるということなのか示唆に富む物語は大いに楽しかった。

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著者プロフィール

元神戸大学教授

「2023年 『民事訴訟法〔第4版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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