- Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048734790
感想・レビュー・書評
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超常現象、オカルト、宗教などの実例を物語に絡めつつ、神とはいったい何者なのかを追求するSFストーリー。圧倒的な情報量!知識欲をこれでもかとくすぐられるので、うんちくが好きな方は大いにハマりそう。物語で解き明かされた神や世界の真実、SFの仕掛けもワクワクさせられた。発売は2003年で、その時から現在を予見しているような描写もたくさんあってそれも面白かった。
「神とは何なのか」という問いとともに、「人はどういうものを信じようとするのか」というテーマも深掘りされていて興味深かった。読み終わった後で序盤の校長先生の言葉を思い返すと感慨深い。
「嘘は強い。ひとたび成功した嘘、多くの支持者を獲得した嘘は、真実が暴露されたぐらいで揺らぐものではない。何年、何十年でもはびこり続けるのです。それに対して、真実はなんとも弱く、はかない。」
「ですから、もし本当に子供たちに社会の中で成功するすべを身につけさせようと思うなら、学校は嘘の大切さを教えるべきなのです。嘘がいかに強いものなのかを、嘘をどのように使えばいいかを教えるべきなのです。嘘を武器に使う者の方が勝てるのですから」
「しかし、そんなことはしません。学校ではそんなことを教えません。私たちはあなたたちに真実を教えようとしています。真実を守ることを教えようとしています。たとえそれが不利と分かっていてもです」
これは優歌が最後に手に入れたあの思いにも通じるように感じる。
登場人物では大和田さんがお気に入り。加古沢が純粋に突き進む邪悪なら、大和田は悩み歩く善人という印象。彼の言葉はどれも学びがあって好き。
「超常現象というのは、まず人間の信念が先行する。現象があるから信じるんじゃなく、みんなが信じるから現象が起きるんです。」
「その迷いを忘れてはいけませんよ。確信を抱くのがいちばん危ない。常に『自分は間違ってるんじゃないか』『論理ではなく盲信で動いてるんじゃないか』と問いかけることです。自分が間違ってる可能性を探すこと。それが道を誤らないための唯一の方法です」
自分の正しさを疑わない人ほど、無自覚に他人や自分を傷つけてしまっている気がする。信念を訴える前に事実を検証して考えることの大切さを知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まずこれ以上あり得ないほど面白い。
理系の人読んでみ。射精すっから。
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面白い!歴代SFベスト10に入る!
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自分にとって、初めての長編小説。
SFに対する先入観、知識がほとんどなかったのもあって、
膨大な情報量とそれを利用した超展開に、
読後はしばらく頭がボーっとしてたのを思い出します。
SFの面白さを存分に味わえた作品。
この作品が無かったら、今の自分は存在し得なかったと思う。 -
神さまはいない。いたとしても決して誰かの個人的な願いなどかなえてはくれないだろう。その上でもし神さまが本当にいたとしたら? 神さまはいったい何を考えているのだろう。山田正紀『神狩り』を超える反逆劇!
(宮崎大学 学部生) -
すごい話だった。
おもしろかった。
この本に書かれてることがそのまま宗教として成立しそう。
私たちがどこから来てどこへ行くのか、
始まりはなんだったのか、世の中はわからないことだらけ。
理不尽なこともたくさんあるし、間違っているとわかっているのに
間違った方向へ取り返しようがないくらいどんどんと進んでしまう。
誰も望んでいなのに、戦争は起こり、
善人が死に、悪人がのさばることがある。
これはなんなんだ!?と思うときに、
この世界は巨大なシミュレーション
私たちは所詮サールの悪魔
…なんてことを思ってしまいそう。 -
最高!もう自分のいる世界が信じられなくなるくらいのリアリティ。
新潟でカエルが降ったりするとこの話を思い出してしまう。
もう一度読みたい。 -
宇宙人はいるのか?
超能力は存在するのか?
超常現象は本当にあるのか?
新興宗教にはまるのは愚かしい。本当に?
「神」はこの世界に本当に存在するのか。
存在するのなら、なぜ人と人との争いを、過去幾度にもわたってきた虐殺の歴史を容認するのか?
善人も悪人もなぜ惨めに死んでいかなくてはならないのか?
「神」が本当に存在するとするのなら。。。
「神」の、
「神」の目的は?
……と、いうことで、「SF作家」さんというよりは「と学会会長」と言った方がピンとくる人も多いかもしれない山本弘さんの『神は沈黙せず』です。
かなり長い、多種多様の話題を盛り込んだハードなSFではありますが一気に読めましたね。
この小説、現代からはじまる一種のIF歴史ものなのですが、本筋である「神」の正体云々より、一概に絵空事と笑い飛ばせない危うい近未来像の方が面白かったかもしれません。(進化論否定による宗教的対立から内戦におちいるアメリカ、紙屑と化す日本円、マスコミ不信によりネット社会へと急速に傾き淘汰されていく新聞、テレビ局‥‥)
たとえ、現実世界においても小説内にある様々な「現象」が目の前で起きた時、果たして幾人の人が正気でいられるのか?
誰もが一度は思ったことのある「神様って本当にいるんだろうか?」という素朴な疑問から紡ぎあげられる超弩級のエンターテイメント。間違いなくおすすめです。
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幼い頃に理不尽な災害で両親を失って以来、家族で信仰していた神に不信感を抱くようになった和久優歌。やがてフリーライターとして活動を始めた彼女はUFOカルトへ潜入取材中、空からボルトの雨が降るという超常現象に遭遇する。しかしこれは、「神」の意図をめぐる世界的混乱の序章に過ぎなかった―――――空想科学本。この本を読んで真に受ける人はいないと思う。自分も真には受けていません。でも、じゃあこの本のどこまでが実でどこからが虚なのかと聞かれたら困っちゃいます。。。無知で恥ずかしい。。。読んでるときはへえ〜と言いながらペラペラめくって読んでました(ダブル読み)。