殺人の門

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 213
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  • Amazon.co.jp ・本 (442ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048734875

作品紹介・あらすじ

あいつを殺したい。でも、私には殺せない。人間の心の闇に潜む殺人衝動。その深層をえぐり出す、衝撃の問題作。

感想・レビュー・書評

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  • ・大きな事件はなにも起きない。常に1人称自分語り。ただただ自分の辛い人生を語る。それだけなのに面白い。なんで?っていうのが正直な感想です。東野圭吾すごい
    ・倉持は主人公の中で、常に悪者であり憎むべき対象だった。ただ一方で、客観的にみるとどうしても彼が悪人に見えない部分もある。
    ・1人称の物語は常に、語り手のバイアスがかかる。誰かの視点から物事を見る難しさを感じる場面である。ある意味、噂話などもこのようなバイアスで道がそれて行くのだろう

  • その『門』は
    どうやら人の心を見抜いている様だ。

    ほんの少しでも
    迷いがあったり
    理性や良心の欠片が残っている者の意志には
    決して従わない。

    でも
    人が人じゃなくなる瞬間、
    何か
    境界線の様な細い紐が
    ぷちん、と切れた時。

    あるいは
    (生き延びねば)という本能に従って
    他者の喉を噛み切る動物と同様の境地に立たされた、

    その瞬間

    『門』は不気味にキキ…と、開く。

    他者の存在を消滅させねば
    自分が生きられぬ。

    その拳が血で真っ赤に染まるほど
    叩き続けた『殺人の門』がいよいよ開いた、としても

    その先に
    彼が平穏に生きられる地は本当にあるのだろうか。

  • 田島は歯科医の家に生まれ、裕福だった。
    しかし悪い噂が立ち、一家は離散。田島は苦しみの少年時代を過ごす。やっとの思いで就職をしても少年時代の友人である倉持の誘いに乗ってしまい、何をやってもうまくいかない。結婚すら倉持の思惑に乗せられ、田島の人生はめちゃくちゃになる。
    田島は倉持を恨み、殺したいと思っていた。
    彼は殺人を行うには重大な決心、殺人者の門をくぐらなければならないと考え、倉持への殺意を溜め込む。
    倉持が動けなくなってから知ったのは、倉持の田島に対する感情。嫉妬に似た感情。
    そして田島は倉持を殺す。

    ---------------

    たしかに田島は倉持に陥れられてきた。でも、田島自身の落ち度も多くあるし、彼の家族も同様に落ち度だらけだった。また、周囲にも悪意を持っている人間が多くいた。
    でも、やはり一番の悪は倉持だ。もっと早く殺せば、たくさんのひとが嫌な思いをしないで済んだと思う。不快な感情をビンビンに読者に持たせながら物語は進んでいく。
    市橋達也被告もこの作品を読んでいたらしいけど、どんなふうに思ったのかな。彼の家もお医者さんだったと思う。

    数少ない友人や好意の感情を向けてくれた女の子に応えられなかった、田島だって悪だ。

  • 暗い・・・。
    働き始めるまでは、もう転落しっぱなし。
    生きる気力なんかも削がれることだろう。
    もう読むのが辛いのなんのって。
    数ヶ月のインターバル置きましたから。

    その後は、ちょっと平穏、転落、転落。
    小康状態、転落、転落。
    少しブレイクタイムがあるので「面白い」と思えたけど。

  • 結末が気になり、1日で読了。
    なんでもかんでも倉持のせいにする田島に、疑問も抱く。けど、倉持は倉持で確かに嫌なヤツ。魅力的なキャラクターがなかなか出てこず。でも、人間ってそんなもんかぁ。この話ほどではないけど、親友だと思っていた人に、さりげない小さな裏切りをされたり。そんな過去って誰にでもあるような、、。終盤でトミさんが出てきたの、なんか笑えた。

  • いやこれ、このタイトルちゃうやん。
    「お人好し田島と詐欺師 倉持の奇妙な関係」
    これやん。

    おどろおどろしいタイトルで
    いつどんな凄い事件が起きるのかと
    ワクワクしながら読んだけど・・・

    なんていうか、途中から
    「これってひょっとしたらコメディ?」
    って思えてきた 笑

    何回も倉持にそそのかされて
    そのたびに人生の歯車が狂う田島。
    途中からその騙され具合がツボに。

    ミステリーとコメディは紙一重かも。
    そんな感想を初めて持った
    ある意味貴重な作品でした。

  • 少しイライラしてしまう小説でした。主人公の和幸がどんなにひどい目にあっても、結局言いくるめられて、殺人に踏み切れないんですから。でも、考えてみると、現実には、普通、殺人なんてしないですけどね。

  • 倉持みたいな、ずる賢くて要領のいい人って世の中結構いるんだろうな。
    こんな人が自分の人生に入ってきたら、と思うとぞっとする。

    容赦のない残酷さがいかにも東野圭吾だった。

  • 逃れられない宿命的な相手に翻弄され続けた男の話。推理小説ではなく、本格的な社会派小説である。

  • 「殺意のトリセツ」みたいなブラックユーモア短編があったけど、そのシリアス版でしょうか。個人的にはかなりハマりました。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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