失はれる物語

著者 :
  • KADOKAWA
3.71
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本棚登録 : 4336
感想 : 615
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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048735001

作品紹介・あらすじ

きみの音楽が独房にいる私の唯一の窓、透きとおった水のような6篇の物語。ブロードバンド映画「手を握る泥棒の物語」原作、書き下ろし短篇「マリアの指」同時収録。

感想・レビュー・書評

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  • 失はれる、…別れなどがテーマになっている短編集。
    とっても良かったです!!
    乙一さんが、書く主人公は人付き合いが苦手な孤独で内向的な人が多くて…、その描写もとても上手いと凄く感じた。切ない辛いお話が多いのだが、それだけではなくて人に対する優しさも感じられて終わるところが凄く好きだなぁと思った。

    『Calling you』
    女子高生の妄想の携帯電話がつながるという…ちょっと時間SF的な…お話。切なさと優しさを感じられる作品。
    作中に出てくる携帯電話の着信メロディが、映画『バクダット·カフェ』のテーマ曲『Calling you』。聴いてみたらズーンと心に沁みて素敵な曲だった。一度聴いたら忘れられない曲だと感じた。

    『失なはれる物語』表題作
    主人公の男性が交通事故にあい、植物状態となってしまう。意志の疎通が出来るのは右腕だけの皮膚感覚と、人差し指を少し動かすだけ。そんな夫を献身的に支える妻との切ない愛の物語。これも、ラストが苦しく悲しく辛い……。そしてとても深い内容だと感じた。

    『しあわせは子猫のかたち』
    自分の住んでる家の前の住人の○○○○も、一緒に過ごしていることを受け入れて……。ある謎を解いていく…という不思議な作品。以前に読んだ『暗いところで待ち合わせ』という作品を思い出させるような世界観は、やはり好み。

    『傷』
    負った傷や痣などに手を触れるとその傷は自分に移るという特殊能力を持つ小学生のアサト。その友達である主人公のオレとの友情物語。身体だけではない心の傷を負う二人の友情に感動した。

    『ウソカノ』
    ついつい彼女がいるとウソをついてしまったことから始まる……お話

    『手を握る泥棒の物語』
    泥棒に入り姿を見せずに、手だけを掴まれてしまった女性とのやり取りがコミカルで可愛いと思った。  

    『マリアの指』
    不気味な、怖さもあるちょっと後味の悪い作品だと思った。でも主人公の僕の優しさを感じて救われるように感じて読んだ。

    『ボクの賢いパンツくん』
    同じタイトルでこちらは長崎訓子さんの絵本でも出ている。イラストも素敵でそちらもオススメ!(笑)

    ずっと読もうと思っていた積読本の一冊でした。ちょうど、乙一バトンのレビューも目にしたのでこの機会に読めて良かったです!!
    あゆみりんさん、バトンの皆様 
    ありがとうございました。
    この乙一バトンが、また、どなたかに渡りますように………

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      なおなおさん~、(*´▽`*)
      バトンは受け取った方は…白バトンです!!( ・`д・´)

      (( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
      よ...
      なおなおさん~、(*´▽`*)
      バトンは受け取った方は…白バトンです!!( ・`д・´)

      (( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
      よろしくお願いいたします (笑)
      2023/03/05
    • あゆみりんさん
      チーニャさん、おはようございます(ˊ˘ˋ*)♡
      出遅れちゃったけど、コメント失礼します。
      ウソカノとパンツも読んだんですね、いいなぁ羨ましい...
      チーニャさん、おはようございます(ˊ˘ˋ*)♡
      出遅れちゃったけど、コメント失礼します。
      ウソカノとパンツも読んだんですね、いいなぁ羨ましいです。
      とても良い1冊でしたよね(っ´ω`c)
      2023/03/06
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      あゆみりんさん…おはようございます~(^^)ありがとうございます!!

      すぐにレビューしたこと、コメントしませんでしたからね……
      こちらこそ...
      あゆみりんさん…おはようございます~(^^)ありがとうございます!!

      すぐにレビューしたこと、コメントしませんでしたからね……
      こちらこそ… m(._.)m スミマセン。

      私は文庫本持っていたので八編入っていましたね。どちらも凄く短い作品なんですよ。すぐに読めてしまいますよー(^^)
      あゆみりんさん、『Calling you』私も聴きましたよ。心を掴まれました♪私はこの曲のテーマになった映画は、観てないので、あゆみりんさんが羨ましいです!!
      良い一冊でしたね~(*´▽`*)
      2023/03/06
  • 短編を六話、もう、すごく良かった。
    順番を付けるのは難しいけど、とくに好きだったのは、
    『calling you』
    『失はれる物語』
    『しあわせは小猫のかたち』かなぁ(*´꒳`*)
    もう毎日聴いています、映画「バグダッド・カフェ」の主題歌「calling you」色々な方のカバーバージョンまで。
    映画を観てから随分と経っていますが、風景の色が綺麗だったのと、タンクが大きかったのが印象的でした。(そんなことで、ごめんなさい)

    どのお話も、普通に読めば不気味な設定のはずなのに、乙一さんの文章を読んでいるととても切なく、そして純粋な愛に溢れていました。
    誰かを想い道を選ぶ、そして前に進む…
    ほとんどの登場人物が素敵でした。
    こんなに短い短編で、一見不気味なのにクセになる不思議な世界観、強く切ない愛に読後感はとても良く、乙一さんをまた読みたい(*´∇`*)

    たくさんの方々、乙一バトンありがとうございました、私は少し感動しています。
    この乙一バトンが、また誰かに渡りますように…

    • なおなおさん
      あゆみりんさん、GOTHは真っ黒です(-_-;)
      ( っ'-' )╮»--→グサッ=͟͟͞͞(꒪ỏ꒪)
      しつこくてすみません^^;
      あゆみりんさん、GOTHは真っ黒です(-_-;)
      ( っ'-' )╮»--→グサッ=͟͟͞͞(꒪ỏ꒪)
      しつこくてすみません^^;
      2023/03/05
    • あゆみりんさん
      いいな、なおなおさん顔文字いつもかわいくて
      _:(´ཀ`」 ∠):
      いいな、なおなおさん顔文字いつもかわいくて
      _:(´ཀ`」 ∠):
      2023/03/05
    • 1Q84O1さん
      黒なおなおさん、黒あゆみりんさん
      お二人共顔文字がホラーです…
      ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
      黒なおなおさん、黒あゆみりんさん
      お二人共顔文字がホラーです…
      ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
      2023/03/05
  • 手にとってみて思いました
    綺麗な本だなと…
    表紙に譜面が並んでいて、表紙を開くと銀色のページが現る

    まだ、乙一作品は数冊しか読んでいませんが、今まで読んだホラー系とは違い切ないストーリーが多いなぁと感じました
    これがいわゆる「白乙一」作品なのかな…?
    「白乙一」ものすごくいい感じです

    本書は6篇収録されていてベタですが表題作の『失はれる物語』が一番よかったです!
    (もちろん他の作品も良い!)

    ある日、突然事故に遭い目覚めたのは暗闇と無音の世界
    感じる、動かすことができるのは人差し指のみ
    そんな私を懸命支えてくれるのは、事故に遭う前に喧嘩をしてしまった妻
    しかし、妻の幸せを願うために私がとった行動は…
    ハッピーエンドで終わらない切ないストーリーがまたいいですね(/_;)
    そして、この物語とジャケットが合うんです!


    土瓶さん、素敵な本をおすすめしてくれてありがとうございます!
    師匠がおすすめしてくれた乙一作品(というか課題図書?w)残り9/10冊です  To be continued.

    • なおなおさん
      1Qさん、コロナ禍で電子書籍サービスを始めた自治体の図書館が増えています。
      1Qさんのところはどうかな?あるといいな。
      それから本書の電子書...
      1Qさん、コロナ禍で電子書籍サービスを始めた自治体の図書館が増えています。
      1Qさんのところはどうかな?あるといいな。
      それから本書の電子書籍には、「ウソカノ」も「マリアの指」も入っております(^^)v
      2023/02/18
    • mihiroさん
      1Q84O1さ〜ん、こんばんは(*^^*)
      ★5だ〜〜!
      私これまだ読んでないんです。
      白乙一さんな感じなんですね!
      とっても読んでみたくな...
      1Q84O1さ〜ん、こんばんは(*^^*)
      ★5だ〜〜!
      私これまだ読んでないんです。
      白乙一さんな感じなんですね!
      とっても読んでみたくなりました\♡︎/
      近いうちに読んでみたいと思います٩(°̀ᗝ°́)و
      2023/02/18
    • 1Q84O1さん
      なおなおさん
      電子書籍は「ウソカノ」「マリアの指」両方入っていてお得ですね(^^)

      mihiroさん
      こんばんは♪
      本作は短編がいくつかあ...
      なおなおさん
      電子書籍は「ウソカノ」「マリアの指」両方入っていてお得ですね(^^)

      mihiroさん
      こんばんは♪
      本作は短編がいくつかあり、「失はれる物語」「しあわせは子猫のかたち」「Calling You」の三編だったら☆5以上かも!
      ぜひ、読んでみてください(^^)
      2023/02/18
  • 短編集。
    表題作が結構有名で高評価だが、「しあわせは子猫のかたち」が心に沁みた。
    やっぱりこの作家さんは良い!

  • 積読の中から今日はこれを。
    以前、装丁の綺麗な本でおすすめしていただき、文庫よりも是非単行本でとの事だったので購入した。
    私の好きな装丁の綺麗な本Best3に入るくらい本当に綺麗で気に入っている。表紙は水に濡れたようになっていて、雫は立体的に浮き出ている。この表紙の紙がトレーシングペーパーの少し厚いような素材だが、表紙を外して裏を見ると楽譜が印刷されており、表から見るとその楽譜が透けて見えるといった感じ。栞紐の鮮やかなブルーも素敵だ。私の拙い説明よりも、是非本屋さんで手に取ってみてください。

    前置きが長くなったが、内容は少し切ない話の詰まった短編集。元々はライトノベルとして書かれた物だそうで、軽く読め一編一編が単発ドラマを見ているような感じ。また、少しの時間ができた時にさらっと読みたくなるだろう。

  • 初めて著者の作品を読んだ。一気に引き込まれた。
    文章に無駄が無いので、「これは大事な伏線だな」ということがわかるので心して読むのだが、その伏線が「そう来たか!?」という使われ方。
    うまい作家ってすごい。よくこんなこと考え付いて書けるなあ…。

    よくレビューで、思わず笑ってしまったり涙したりしてしまうから電車の中で読まない方がいいと言われている本をみかけるが、私の場合、この中の「Calling You」は電車で読んでいて最後の方、危なかった。

  • とにかく表題作『失はれる物語』は読んでいる最中ずっと胸を打たれる切なさがあった…盲目となった主人公が段々と後悔を募らせたり、家族に感謝している流れは悲惨なんだけれども美しかった
    これの読了後は放心してました
    他にも『calling you』は話の構成と主人公の成長譚的ラストが良かった
    書き下ろしの『マリアの指』は短編ミステリだった
    簡潔かつコンパクトに物語が展開されていたが「人は変われる」「成長」などの主題性が感じれる作品だった
    とにかく表題作と本の装丁が素晴らしく、読み終わったあとにカバー裏の楽譜を調べたら感動した…(ネタバレの為読後に調べる事推奨)

  • 短編集。
    「Calling you」はケータイをもたない女の子が妄想の中でケータイをもちはじめる話。
    初めは触ったり眺めたりするだけで満足していたが、ある日そのケータイに着信が!この話はほのぼのしていて好きだった。

    同じ乙一作品で「GOTH」というのをちらっと読んだことがあったけど、そっちの方はグロい描写が多くて途中で読むのをやめてしまった。私はほのぼのちょっぴりハラハラ系が好きだと実感。

  • 陰鬱とした事件や人間の心情描写とそのなかでも輝く愛や肉親とのひとときの心地よさなどが際立って表現されていた。

  • 銀色の紙と凸凹した表紙に惹かれて読みました。乙一さんの作品は初めて。

    表題作が圧倒的に良かった。「Calling You」「傷」も好き。

    「Calling You」の設定を思い付く才能を見て、天才なんだと感じた。一時間遅れの設定と、最期の時間のおしゃべりなんて天才すぎる。とっても切ない設定。

    表現はあまり好きじゃない。「耳から腕時計がこぼれそうなほど」とか、あんまり綺麗だと思えない表現だったから残念。シナリオがすごく面白いから、映画監督の方が納得できる。映像作品の台本とかの方が合いそうな表現だと感じたかも……。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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