サウス・バウンド

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著者 : 奥田英朗
  • 角川書店 (2005年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (535ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736114

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サウス・バウンドの感想・レビュー・書評

  • 奥田作品の中では一番好きな作品。私が沖縄に憧れるきっかけをくれた本です。
    元過激派でとにかくエキセントリックで頭のぶっとんだ親父にうんざりする息子の視点で描かれたドタバタヒューマンストーリー。こんな親父いるわけないと思うでしょう?いるから。私の父は元過激派でこそありませんが、この親父に性格がどことなく似ていて、父に振り回されて辟易する気持ちがすごく分かってします。(お父さんがこのレビュー読んでませんように)
    でも憎めないから不思議なんです。
    文章のテンポが良くワクワクして一気に読めてしまいます。特に沖縄に移住してからの家族や地域の方々との交流はとても楽しそうで心が暖かくなります。本当、奥田さにヒューマンドラマを書かせたら無敵ですね。どんな最低な人間でも好きになれそうな気がする。

  • ああ、何で今まで読んでなかったんだろ。面白かったー。良かったー。「夏の100冊」のおかげです。

    思えば、「家族小説」っていうのを毛嫌いしてた頃があって、とにかくそのテの惹句がついてるとパスしてたのだった。大震災以降あからさまに連呼されているけれど、家族のつながりとか絆とか、そういう言葉が無反省に使われていると、拒否反応が起こるんである。

    ずいぶん前だが、田辺聖子先生が「大家族の良さとか、したり顔で口にするおっさんを見ると、とびかかって首を絞めてやりたくなる」と書かれていて、そうそう!と拍手したことがある。幼い頃や、カモカのおっちゃんと結婚してからの、慈愛に満ちた大家族の暮らしを心から愛おしんで書いている田辺先生にして、この発言。家族は(とりわけ大家族は)大なり小なり、誰かが我慢を強いられている上に成り立つものだと思う。そこをちゃんと見ないで、家族を描くのは欺瞞だ。

    この小説で、語り手の小学生二郎の父親は、かなり極端に「自分を犠牲にしない人」だ。第一部では、いくらなんでも…とウンザリしてくるくらいに。二郎もウンザリしているのだが、父を怖がってはいない。父親が、自分の意に染まない二郎の行動にも、最後には「見て見ぬふりをして」認めてくれることを知っているからだ。子どもに対して、自分の考え方を貫くことも、また、最終的にグレーゾーンで歩み寄ることも、どっちもなかなか難しいものだけど。

    この二郎がしばしば、自分が子どもで無力であることを悔しく思う場面があるが、これはかつて子どもだった人はみんな身につまされるのではないだろうか。子どもってほんとに「自由」がない。誰かにご飯を作って(あるいは買って)もらわなくちゃならないし、夜になったら家に帰らなくちゃいけない。家出したって、外を普通に歩けるのは午後三時から八時くらいまでの間だ。ああ、もう早く大人になりたい!と思ったことのない人っているんだろうか。(イマドキの子どものことはわからないけど)

    でもね、二郎君、あなたが先生たちを見てて気づいたように、大人だって大して自由じゃない(あなたのお父さんは除く)。そして何より、その不自由さの中に「自由」の芽は大事に育まれている。そう言ってあげたくなる。二郎君はとっくに知っているだろうけど。

  • 凄まじい生き様を見せてくれる父親と、共に生きる母親。
    振り回される子どもたちと周囲。
    息つく暇もない展開にドキドキ、ハラハラ、そしてほんのりとしながら読み終えたものです。
    生きるとはなにか。
    自由とはなにか、、、、、
    信じるもののために闘うとはなにか。
    そして、
    信じ抜くとはなにか、、、、、
    と、考えさせられる小説でした。

  • とにかく面白い。
    主人公は小学6年生の二郎。
    舞台は前半は中野区中野、後半は西表島。
    父は元革命家、税金払う必要なし、義務教育不要
    って感じで常識でははかれない意識の持ち主。
    それゆえ、主人公の周囲にはさまざまなトラブルが。
    でもひとつひとつ乗り越えて立派に成長していく。
    前半は主人公が中学生の悪に苦しめられつつ
    それに対峙していく物語で、後半は西表島に
    移住してからの家族の生活の物語。
    すごく面白い。私は後半の方が好きだったけど、
    とにかくさっぱりすっきり爽快な読後感。
    また忘れた頃に読みたい。

  • 想像の斜め上をゆく展開に驚き。お父さんサイコー。善し悪しはともかく、自分を曲げないってのはすごいな。二郎くんらも成長しつつも、この先どうなるんだとも思うが、そこはやはりナンクルナイサーなんだろうなぁ。勢いのある一冊でした。

  • 学生運動だとか、右翼左翼革命もろもろ…そういうことに関しては勉強不足だから何だかんだ言えないけれど。
    国家にも権力にも属さないし屈しない、破天荒でいかした父親(そして母親もまた…)を持つ小学生・二郎くんと家族の物語。

    どこにも属さない自由な人間のつもりでいても、誰もが国家に、都道府県に、市に、町に属していて、住む家さえも誰かの所有物だったりして、それに対して納めるものを納めないと普通に暮らすことさえ出来ない。
    よくよく考えてみると不思議なシステムだし、正直おかしいと思うシステムもけっこうある。
    そのシステムがあるからお金が循環してうまいこと回る、とか言われてしまえばそれまでだけど。
    だからそういう団体や権力に一切屈しない二郎くん父・一郎に少し憧れるのかもしれないと思う。自分はそうは生きられないことをどこかでわかっているから。

    所属するかしないかを自分で選べるものもあるけれど、ほとんど強制的に、産まれた時点で所属することが決まってるものもある。家族だってそう。
    選べないから迎合するのか、努力するのか、それともあくまで逆らうのか。それを選択するのは自分次第ってことなのか。

    東京編での暮らしは楽しいこともありつつどこか鬱屈しているけれど、沖縄編に移った途端それが一気に解放される。
    どこにも属そうとしない二郎くんの父は、果たしてどこへ向かうのか。
    一部が東京編、二部が沖縄編、500頁超の厚い本だけど、長さを感じず一気に読めておもしろかった。

  • 「卑怯な大人にだけはなるな。立場で生きるような大人にはなるな」「これは違うと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。人と違っていてもいい。孤独を恐れるな。理解者は必ずいる」
    この作品をYAに分類してしまって良いかどうか迷うところだが、難しい内容かもしれないが中高生にこそ心に響く言葉があり、こんな人がいたら良いと思える大人や子どもたちが登場する。読んでもらいたい。

  • 2013年秋?
    後半南方に引っ越してからが面白いと人には言われたが、そこまでたどり着けず挫折。

  • 家族との繋がりとか二郎の成長とか要素を詰め込みすぎて全部が中途半端に感じました。個人的には過激派一本に絞って良かったと思います。沖縄に逃げるんじゃなくて、東京へ。やっぱり正義は負ける。社会は厳しいっていうのは今回は遠慮してガンガン責める方が面白いと思うな。どちらにしても最後は消化不良に感じました。政府を倒すみたいな話は出版できないのかな?

  • 本質すぎると破天荒、みたいな。
    「ガール」然りこの人の人物描写は凄い。
    おとんそん、おもそろかったです。

  • 奥田さんは、日常の非日常を日常にするのが上手い。
    こんなこと、ありそうでなさそうだけど、きっとあるんだろう。
    こんな人、いそうでいないけど、いるかもしれない。と思わせる。

    東京編と沖縄編。
    それぞれの特色がでていて面白いが、やっぱり記憶に残るのは沖縄編だ。

    父と母の変わりようも、すんなりと受け入れられる。
    ベニーさんのカタコトの日本語や、駐在さんの淡い恋にクスリとさせられる。
    そして、家族の絆にほろりとさせられる。

    これからこの家族はどうなるのだろう。
    家族全員、幸せに暮らしていてほしい。

  • 上原一郎。変わり者で偏固。周囲は無視あるいは忌避。突出したキャラが強烈に屹立。息子の二郎は常に翻弄され災厄に振り回される。ぐうたらで厄介者としか言いようのない一郎。最果ての自然の楽園では思いもかけない新生面を披露する。現代社会の喧騒の中で埋もれてしまっていた正しさ、勇気、そしてアイデンティティ。事なかれ主義に終始し、無批判な迎合を繰り返す己に激しい羞恥を禁じ得なかった。素敵な家族愛が清しい。家族皆この父一郎が大好きだったのだ。

  • 元左翼過激派だった父と母を持つ、小学六年生の二郎。
    この作品は二郎が、家族・友人・教師など自分を取り巻く人々との関係をどう築いていくかという問題を通して、人間と社会の関係について掘り下げるドラマです。

    内容は東京編と沖縄編という2部構成の形をとっています。
    東京編では、小学生同士のあどけない日常を描きながらも、都会の歪ん子供社会を浮き彫りにしています。
    歪んだ少年社会をきちんと描くことで、個としての小学生がいかに無力かということを如実に再現しています。また、大人の正論がが子供社会では、何の意味も持たないということについても寓話的に再現。
    このあたりの閉塞感や、絶望感に対する苛立ちが非情にリアルに伝わってきます。
    子どもの視点というフィルターを通すことで、社会の不条理をより明確化させることに成功しているといえるでしょう。

    ただ、陰惨なシーンばかりではなく、子ども社会によくある間抜けすぎて笑えるシーンというのもあるし、小学生同士の切ない恋話と友情話なんかもジーンときたりします。

    そのへんのお約束的な展開が上手かったりして、はまります!

    沖縄編では、東京編との対極として、都市生活が失っている近所同士のボーダレスな関係や、助け合い社会を描いています。
    この対比が非情にうまいと思いました。
    で、沖縄編を読むとこの日本の消費社会について、非情に考えさせられるシーンがいくつか散りばめられています。
    これが、元左翼過激派だった父親の台詞である、「国家や経済なんか必要ない」という乱暴な理論に説得力を持たせる効果がある。

    上手い!

    奥田さんは決して文章の上手な方ではないと思いますが、ジワジワと登場人物を追いつめたり、登場人物の台詞をジワジワと読者に納得させる技に長けていると思います。

    結構長い本でしたが、社会派エンターテイメントとして完成度の高い作品であるので、非情にいい読書時間を過ごしました。

    ただ、最後の家族の生活スタイルは否。
    主人公の父親の人物像に矛盾を感じるな〜。
    それ意外は、非情にオススメです。

  • すんごいハチャメチャなお騒がせ父さんやけど
    こういう“自分”っていうのがしっかりある人ってかっこいいわ。
    最後の決戦の前に、二郎に父が自分の腹の虫について話すところは
    思わずホロッときてしまった。
    実はこの話の中で一番重要な人物は21歳のお姉ちゃんやったのかも。
    年齢的には大人やけど時には子ども側やったり、大人の世界と子どもの世界を繋ぐ存在やったんちゃうかな。
    お姉ちゃんの「食べさせてあげる」のひと言。かっこいいなぁ~。

  • 正直に言えば中程までは『なんだかなぁ。自分勝手だよ、人間一人で生きられるわけないし…』なんて色々思いつつ読んでたけど第二部に入ってから読み進めるうちにすっかり入り込んじゃった。
    あらら、家族まで巻き込んで子ども達は『普通に』暮らしたがってるのにお気の毒~なんて感想まで持ったのに(笑)

    息子『二郎』の目を通して進む話しなので子ども間の問題も盛りだくさん(笑)
    一昔前ならば『腕白でもいい、たくましく育ってほしい』ですむだろう話しも今の世の中も変わったなぁとしみじみしてみたり(笑)


    さてチト辛口感想

    自分には無理だろうと思う。
    ただ世の中のシステムに文句を言うだけで何かをしているかと言えば何もしてないねぇ…
    ご大層なことだけをのべる政治家様よりは一郎の行動のほうが好感はもてる。ただみんなが同じ行動をとれば国はどうなるのかちょっと怖い気もするけど(笑)
    何が正しいのか分からないけれど裏金がどうとか、年金問題、高齢者医療費とか適当を許しているこの世界は正しくはないんじゃないかと思ったね。

    ん~でも何もない所で自分の力からだけでどうぞと言われてもそれも困るんだけど。
    行動出来ない自分も情けない…



    ラスト当たりで一郎は二郎に言うセリフはこの本を読んできたからこそ胸に響いてくるんだと思う。

    『おまえはおとうさんを見習わなくていい。お前の考えで生きていけばいい。おとうさんの中にはな、自分ではどうしようもない腹の虫がいるんだ~』

    『~おとうさんを見習うな。~けれど卑怯な大人にだけはなるな。立場だけでで生きるような大人にはなるな。』

    『~違うと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。~理解者は必ずいる。』

    最初に言ったセリフなら『なにその理想論、子どもに偉そうなことを言わないで欲しい』なんて反感を持ったかも知れないけれど二郎と一緒に成長してきた読者にはこの気持ちが理解出来るんじゃないかな。
    同じような行動を取れるかは別として。

    方法は問題あれど自分の信念を曲げず一人ででもやりとげ、貫ける一郎には拍手を送りたい。
    今の大人に欠けている物を持ってるからこそこの本を読んだ人たちは一郎に惹かれていくんじゃないかな?

    これから読む方、途中で飽きてきてる方がいればぜひぜひ第一部の一郎だけでこの本を破断しないでと言いたい(笑)
    重量感ある本だけどあっという間に読めると思うよ。

  • 同じく、秋の連休に借りた本。
    こちらは面白かった!
    映画になった、と聞いたが、おそらく原作ファンは不満だったのでは?
    だってこの物語を2時間弱にはまとめられないでしょうよ。
    南の島へ移住してからだけの話、ではこの物語のほんとうの流れを無視してるわけだし。
    いったいどういう映画だったのか、ちょっと興味が沸いた。

  • 勢いのある物語。
    このお父さん、すごいな…というのが感想かも。
    そして何気に上手をいくのがお母さん。
    お母さんのたくましさに私はとてもひかれました。
    それにしても奥田英朗さん、すごい作家さんだなぁ…としみじみ。

  • あえて児童文学としたけれど。映画は豊川悦司、天海祐希、北川景子、田辺修斗、松本梨菜。

  • ハラハラする場面と、ほのぼのしている場面と、物語に緩急があり、楽しく読める。

    父親をはじめとする、キャラクタの個性が強いおかげかと思われる。
    身近にはなかなかいない、豪快な父親が物語を盛り上げている。

    父親の言動には賛否両論あると思うが、そこは小説の中という事で、おおめに見てもらうのが良いと思う。

    この物語のような、生活も楽しそうだなぁと思ってしまう一冊。
    忙しく働くビジネスマンが、少し落ち着いて考えるためにも良い本である

  • 小学生である主人公が、家族、両親の過去を通してともに成長していく物語。

  • この著者、ストーリー展開が巧みで読みやすいし好きです
    ちょっと前の本ですが友人にもらいました
    映画も面白かったでしょうね
    西表島の風景見てみたかったな
    息子の視点で元活動家の破天荒な父とその家族が描かれています
    その一員になれと言われるとちょっとご遠慮ですが、面白いなあ
    特にお母さんが素敵
    表紙はイマイチだな、シーサーは分かるけど

    ≪ 海のせい? 時間の流れ 違いすぎ ≫

  • こんな親は自分だったら嫌だなぁ。と思いながらダラダラ読み進めてましたが、こういう生き方があってもいいのではないかと思う。家族は大変かもしれないけど。
    「人間は欲張りじゃなければ、法律も武器もいらない」という主人公の言葉が響きました。

  • 小学生が感じる世界の広さと、大人が感じる世界の広さには、大きな差があると思う。
    自分が子供の時に感じていた、その途方もない世界を、二郎のように広く体験出来ていたら、今とは違う自分がここにいる気がする。

    次の日にいきなり西表島で住むぞ言われても信じられなかったと思うし、きっと大人になって良い経験だったと振り返ることもできると思う。

    ひとつの場所に定住している自分にとっては『移住』という夢を思い描けた。

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