ニート

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  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (169ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048736435

感想・レビュー・書評

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  • 小説家になった「私」とニートになったキミとの繋がりを描いた話や、東京から新幹線に乗って大阪の女に会いに行く話などの短編集。

    一番最後の『愛なんかいらねー』はスカトロの話だった。唐突なスカトロセックス。人間関係のなかでのやるせない感情を描く人なのかなと勝手に思っていたから、もはや性行為なのかもわからない排便の描写には驚かされた。

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    (かんたんなあらすじ)
    大学で働く女性の前に現れたのは、十年くらい前に消息を経った男子学生だった(現在は32歳で、女性は10歳年上)。刑務所帰りだという彼と寝ることにしたが、彼が求めたのはスカトロセックスで、好きな音楽はスチャダラパーだった。
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    わけもわからないまま、圧倒的な勢いにただただ驚いた。不意打ちのスカトロはトラウマになりそう。

  • 表題を含む短編5つ。ラストに収められた「愛なんていらねー」と他の作品との飛躍がすごいなと思った。自分は「愛なんていらねー」の狂気と金属を触ってるようなヒヤッとした読み心地が一番好き。現代的な、映像を喚起させる作品だと思う。乞う映像化。

  • 何が好きとか嫌いとかなく、すいすいと気持ちよく読んだ。短編5編。もっと読みたい。この人の文体が好きなのかな。

  • 「ニート」が良い。心を指でこづかれるような表現が多々。文章のテンポが好き。

    しかし読了直後は「愛なんかいらねー」の衝撃でぼーっとする。下腹部がむずむずする。
    テレビで中東に行ってきたという人が「日本は綺麗すぎる、見て見ぬフリをする」って言っていたのを何故か思いだしました。

  • 楽しく読ませてもらいました。

  • 絲山!ニート!良い❗️愛なんかいらね!凄い!

  • "駆け出しの作家としてようやく本が出せるようになった女性作家とニートの青年との、友情とも恋愛とも言いがたい微妙な関係を描く表題作の「ニート」”、とその続編「2+1」。
    友人の引っ越しを手伝う「ベル・エポック」。
    "他人を傷つけることを避けようとするばかりに優柔不断に陥り、かえって人を傷つけてしまうホテルマンの主人公と、育ての親である叔母、遠距離恋愛中の女医との距離とその揺らぎを描いた「へたれ」"
    女性大学教員の家に転がり込んでくる、学生だった乾との生活、「愛なんかいらねー」。

    「ベル・エポック」と「へたれ」がよかった。

  • 抜群におもしろい。まず文体が好き。俗に、透明感のある文章とでも言うのでしょうか。どの作品も実は男女の恋?物語なんですね。批判が相次いでいる最後の「愛なんていらねー」ですが、「何が正しいかに興味がなくなったらおわり」と諭す先生。いわば、「常識」の側の代表者。刑務所あがりの乾はスカ*ロ嗜好で「非常識」、いわば向こう側の代表。しかし、先生もそれを受け入れ、絶頂で叫んだのは、「世の中消えちまえ」。まあ、これが主題ではないのかもしれませんが。

  • 短編集。うち2作は連作。
    「へたれ」が一番面白かった。
    「愛なんかいらねー」は、はっきり言って気持ち悪い。

  • 絲山 秋子さんは、「海の仙人」がよかったよ、と教えてもらって
    図書館に行ったのだけれど、残念ながら貸し出し中で、代わり「ニート」を読んでみた。

    これがなかなかどうして、ちょっと興味深い書き方でおもしろく感じてしまった。

    淡々としてなんのオチもなく、普通の生活の中で感じるいろんなことをただ書き連ねたようにも思えるのだけれど、なんだか、考えさせられる内容で、

    もし、「ニート」の彼を援助しようとしたら、どうしたらいいのか?

    という、答えの見つからない問題を悶々と考えるようで。

    借金癖のある人を援助しようと思ったらどうしたらいいのか?
    同じくそんな日常に起こりえる問題の当事者(援助する側)の気持ちで読み進めると、本当に考えてしまうそんな内容だった。

    ヘルプじゃなくてサポートを、というきれいごとをいっても、これまた難しい問題でその人とどこまで関わって責任を持てるのか?

    という人間的な問題にまで発展するのだな、ニートは。

    以前は、体が健全だったから顕在化しなかった問題も、体が健全ではない(自然に反している)生活を続けるうちに脳も不健全になってしまうのだろうか?

    病気のはじまりは、そんな都市の生活も関係あるのだろうか?
    養老氏の「いちばん大事なこと」を読んだあとだったからか、そんな風に考えてしまった自分がいる。

著者プロフィール

1966年東京都生まれ。「イッツ・オンリー・トーク」で文學界新人賞を受賞しデビュー。「袋小路の男」で川端賞、『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、「沖で待つ」で芥川賞、『薄情』で谷崎賞を受賞。

「2023年 『ばかもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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