ラスト・イニング

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737579

作品紹介・あらすじ

「バッテリー」屈指の人気キャラクター瑞垣の目を通して語られる、彼らのその後の物語-。

感想・レビュー・書評

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  • あさのさんの『バッテリー』という小説がとても、ほんとうにとても、心の底から好きでいつまでも何度も何度も取り出して眺めている。真剣に生きるっていうことは大人も子供も関係ないし、孤独の深さと生まれ持った才能の与える運命の重さも何も関係がない、苦しみの深さもまるで。いっそ幼いからこそそれはひどく鮮やかでごまかしようがない。

    『バッテリー』の、その後の物語がこの本になる。天才の目映さに目を細め心乱されて屈服し自分の生き方に苦悶した少年たちの、才能にひれ伏して覚悟を固めた側の少年たちの話だ。出会ってしまってもう目を背けられないということはこんなにも苦しく絶望的で逃げ出したくて息も出来ないということ(なのにそれを選ぶということ/選ばないということ)を読めてひどく胸が痛くてしあわせだった。側にいるということも才能だし、才能をひとりで受け止めきれるような人間はあそこにはいない。

    「ずっと思うてた。おまえが負けたら、誰かに完璧にやられたら、さぞかし胸が晴れるやろうなって……」

    群を抜いて大人びて斜に構えていた瑞垣の葛藤が、門脇の真摯さが心からいとしい。巧と豪とまた違う、才能のありかたとどうやって(一緒に)生きていくかについて。頼ること頼られること、離ればなれにもなれるから別々の人間だから『おれ』は『おまえ』にはなれないから。ああ、そうだね、野球って人間がしているんだわ。

  • 実はバッテリーの時から一番共感してたのが"お瑞"。本気になることに対する怖さって…あるよなぁ。考えすぎなだけなのかもしれない。ひねくれ者は苦労多いと思う。なーんか他人と思えない、それが"お瑞"。

  • 同人誌だな〜。(そりゃ言っちゃダメだ!!)
    バッテリー本編でもそうだけど、作者は書いてる内に愛が新田から横手に移ったのかな。て感じがすごくする。なんと言っても巧と豪の物語はバッテリーで決着がついてしまったので、揺るがない人たちの話しは話になりにくいもんな。
    しかし、しみじみとこの作品、(ホモ)同人誌っぽいよ(笑)
    エンタメとブンガク(含むホモ同人誌)の違いって、ストーリーに重点を置いてるか、キャラの感情に重点を置いてるか、の違いだと思うんだけど。基本的にエンタメ系小説は、ストーリーがさくさくと山あり〜谷あり〜といろいろ起こって、サービス精神に溢れてる。
    その点ブンガクとか同人誌は(同人誌をブンガクと同列に扱う私)基本的に、その時そのキャラがどう思ったのか、が肝心要で何らかの話が展開するにしても、その展開に対してキャラがどう反応するのかを書きたいが為だけに事件が起こる、という感じ。
    バッテリーは徹頭徹尾話の展開で読者を引っ張ってくんじゃなく、作者が、この時の巧の感情!豪の絶望と脱皮!瑞垣の鬱屈を描きたい!!とか、そういう情熱のままに書かれてるので、非常に同人誌っぽいな〜と思うわけです。
    あと文体もなんか、同人誌っぽいよね(笑)結構小難しい単語が使ってみてるとこがオタ心をくすぐるというのか・・・。

  • 巧の速球と出会い、人生が変わってゆく門脇、瑞垣、豪。三者三様の日々を過ごすも、彼らの心に巣食うのは巧の白球の重み。生き方すらをも変えられてしまうほどのナニカに出会えるということは、本当はとても幸せなことなのだが、若すぎる彼らはまだそのことに気づけない。でもそんな己に起きている変化を敏感に体が感じて、もがき、悩み、苦しむ。しかし、全身で苦しみ、抗った後の豪や門脇の、なんと凛々しいことか!悩んでいる若者は美しい。存分に悩め、若者よ。

  • 瑞垣君、相変わらずめんどくさい奴。でも、まあこういう形で後日談を書いてくれたので、その試合がどんな風だったのかを知ることが出来て、私は満足。なるほど、そういう試合にしたかったんだね。今さら、さらに後日談はないだろうな。でも、読んでみたいものだ

  • 『バッテリー』のその後の物語。

    『バッテリー』では主人公コンビのライバル校の先輩であった瑞垣を中心に、野球(と野球仲間)に対して愛憎にも似た気持ちで向き合う高校生たちの心情を描く。
    たかが野球、されど野球、というか。
    大人の視線で見れば、「もっと上手な生き方もできるだろう」と思ってしまう、聡い子どもたちが、それでも叶えたい欲望があると、不器用な道を選んでいく様に、もどかしさと羨ましさを感じる。
    そんなにも焦がれる野球という存在、そして、原田巧というピッチャーと出会ってしまったことは、果たして彼らにとって幸福なのか、不幸なのか。
    ただ「天藍」の空のように、青く美しいことは確かなのだろう。

  • おみず〜〜〜好きだ〜〜〜〜〜〜!!!

  • バッテリーの番外編。

    瑞垣が好きなキャラではないので、本編ほど入り込めなかった。本編では描かれなかった試合の結末が分かってスッキリしたような、分からない方が良かったような。

    本編を読んでいる時から思っていたことだが、難しい言葉が多用されていて、自分の無知にガッカリしました。一方で、中高生の心情を表現するには難しすぎて違和感があり、それが余計に「こんなに大人な中高生はいない」と感じさせたような気がします。

    本をたくさん読むことで語彙力が増え、それによって自分の言いたいことを多彩に表現できるようになる、とは「読書のススメ」的な本にはよく書かれていて、作者の中ではそれらの言葉がピンポイントで状況や気持ちを表現できる言葉だったのかと思います。語彙力があるってすごいことだなぁ。日本語でも英語でも色んな言葉を使いこなせたらカッコいいけど、今から覚えらる気がしないし、覚えられても使いこなせさそうです。


  • 「バッテリー」屈指の人気キャラクター瑞垣の目を通して語られる、彼らのその後の物語―。
    (アマゾンより引用)

    私、この主人公キライ。
    あまりにも子供すぎる。
    読んでてイライラするくらい

  • バッテリーのスピンオフ
    瑞垣のその後、横手2中、永倉、原田のバッテリー、横手2中の新バッテリー
    その後を知りたいのは私だけか?

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著者プロフィール

岡山県生まれ。1997年、『バッテリー』(教育画劇)で第35回野間児童文芸賞、2005年、『バッテリー』全6巻で第54回小学館児童出版文化賞を受賞。著書に『テレパシー少女「蘭」事件ノート』シリーズ、『THE MANZAI』シリーズ、『白兎』シリーズなど多数。児童小説から時代劇まで意欲的な執筆活動で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『NO.6〔ナンバーシックス〕(8)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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