魔物〈上〉

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著者 : 大沢在昌
  • 角川書店 (2007年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (361ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048737678

魔物〈上〉の感想・レビュー・書評

  • 先に書いた『氷の森』を読んですぐに読み始めたせいか、その差に驚きます。(『氷の森』はデビュー直後の作品)

    差とは例えば、当たり前ですが文章が格段にこなれてきていることとか、ストーリーの持っていきかたがうまくなっているとか、そういうプラス面もある一方で、やはりマイナス面もあり。
    最近の大沢作品に共通していえるのだけれど、うまいのだけどもうひとつ突き抜けた面白さがなくなってきているというか、テーマ探しに迷いが感じられるという感が、文章の端々から感じられてしまう。
    今作のテーマは恐らく「神」「信仰心」というあたりだと思う。


    それをロシアマフィアの現状や北海道経済との絡みを交えて、ここまできっちり「物語」をかけるというのはさすが。
    けれど、タイトルとなった「魔物」の扱いがどうにも陳腐。ラストバトルの決着のつき方には、「そりゃないだろ」と笑ってしまった。
    「神」という言葉を使って解決するには、なんとも簡単すぎるというか。

    ハードボイルドやミステリーは、どうしても「定番」「お決まり」のパターンというのが存在し、それに沿った話の展開になりがちでもある。
    けれどそれを補うだけの何かが、今までの大沢作品にはあり、それがわたしは好きだったのだけれど、最近の大沢作品はそれが見当たらない。
    もう一歩、はじけて欲しいなあと、大沢信者としては思うばかりだ。
    あ、でもそこらの小説なんかよりは、格段に面白いですよ。

  • 麻薬取締官が主役。
    今回はちょっとファンタジーが入ってますが、そこがいまいちかもw

  • ロシアンマフィアにイコンの取り合わせだけで気になる!初大沢さん読みだけど、読みやすそうで良し。

  • 大沢在昌さんの作品はこれで2冊目です。


    舞台は北海道。ロシアマフィアと日本のヤクザとの「薬」の裏取引を取り締まる厚生労働省の麻薬取締官が主人公。


    東方正教会の聖人、「カシアン」が描かれた「イコン」を巡って、事件が起こる。次々と犯罪者に乗り移る目に見えない「カシアン」を追跡し、色んな謎を持たせながら上巻は関東に向かうところで話が終わる。


    本の中で、神を信じるか、信じないかの議論をされている。

    自分もそうだけど、日本人の自分からすれば、神様なんて、「神様、仏様。なんちゃらかんちゃら」とか、正月の初詣くらいしか存在を求めない。(仏様も同様)
    日常の中の苦しい時であっても、宗教とかに向かないからピンとこないわけ。だけど浄土真宗だと悪人正機(「悪人」であればあるほど、仏のに救い求める)という考えもあるから、ピンチの時に人は
    神様とかの存在を信じるのかも。
    しかし作品の中で、主人公の言葉で印象に残っているのが、

    「神様を求めていた時に、オレは神様に出会えなかった」

    過去を憂い出るわけだけど、自己の中から何もしてくれなかった神の存在をかたくなに否定している姿勢が強く感じる。


    ただ、宗教の伝説を現代世界の事件にそわしながら、オカルトチックに物語が進むのは、上巻までにしといてもらいたい。これで下巻も謎を伝説とかの逸話で片付けてしまったら、ファンタジー小説を読んだことになって、期待はずれになってしまう。下巻ではいろんな「謎」が解決する方向で、もっと現実的な世界観の話になっていってほしい。

  • 少なくとも上巻は面白い。
    何この展開!とビックラこいた。

    ファンタジーとハードボイルドの融合?
    しかも上手いんだ、展開が。
    乗り移るって……乗り移るってどんなん@@
    面白い。非常~に面白い。

    下巻に失速しないことを祈る。

  • 一気に読んでしまった♪

  • 面白かったです。ハラハラドキドキです。
    しかし、なんといっても一番嬉しかったのは
    P52の「新宿署の刑事と組み」と言うくだり。
    主人公の上司、塔下の説明なんだけど・・・
    塔下?新宿署の刑事??
    ネットで検索すると案の定、d(*⌒▽⌒*)b ニコ
    なんか嬉しいつながりでした^^

  • 図書館よりレンタル。2010.01.22読了。
    久々、大沢氏のハードボイルド、胸がざわつきますわぁ。
    ヴィクトゥル司祭のカシアンという怪物の物語・・・今回はロシアマフィア登場ですね。麻薬Gメン、薬物、やくざ、宗教、、警察、etc.・・・
    これから下巻借りてきて読んでみます。

  • とりあえず上巻のみ

  • こういう路線のホラーとしては、シンプルな話なんですけど。この「魔物」が取り憑く人間の条件と、現在の社会を考え合わせると……たしかに魔物如きどうってことないんじゃ、と思えてしまいますね。「魔物」が単なる悪の存在でなく、もともとあるものを増幅させる存在である、というのが怖いところ。

  • ○2009/11/21 
    宗教色の強い海外ミステリかと思ったら国内麻取ファンタジーと(笑)びっくりした。
    北海道の組織物だからかちょっと熱めだけどニヒルな性格なせいか直接的に名前に大が入ってるからか、大塚さんのビジュアルが脳内で完全に大森さんだった。笑う警察読んでないんだけど。
    宗教だと思ってた頭の部分はなんか思わせぶりで進みが遅かったんだけど、中盤になるとおもしろかった。完全にファンタジーと分かった時はあれだったけど…。
    事実だけを求める現実主義のはずの公務員がファンタジーめいたことを追求してくってのがいいのかな。
    どう収集が付いてしまうのか怖いような楽しみなような。不気味顔男のまつげがばっさばさ、ってのだけ、イメージはなんとかできたがビジュアル的な納得がなかなかできなかった(笑)
    頭の入りと今後の結末のことを考えると、下巻に手が伸びるのはちょっと後のほうになるかもしれない。ううむ。

  • イコンに描かれていたのは聖人“カシアン”。だが、カシアンは聖人に列せられながらも、心に強い憎しみを秘める人間に取り憑き、その者の欲望を満たす力を与える魔物だと信じられているという。その伝説ゆえ、長きにわたって封じられていたのだ。超人的な逃走を続けるロシア人との奇妙な符合に不安を覚えながら、ついに犯人を追い詰める大塚だが、同僚を殺され、自らも重傷を負ってしまう。犯人は一体、何者なのか?大塚は、命をかけて真実を突き止める決意を固め、心の奥底に澱んでいた過去の傷と向き合いながら、行方を追う。

  • 札幌の麻薬Gメン、大塚。ロシアマフィアの取り引きの情報を得る為にクラブ、コルバトールに通う。ジャンナから客の情報を聞き出す。
    ロシア人といるのは大森。情報屋の国井から電話。小樽にロックマンという殺し屋が2Kgのシャブと運ぶ。相手は地元ヤクザの北領組。
    殺し屋ロックマンを小樽港で発見。災いをもたらすカシアンに取り付かれたロックマン。イコンを大事そうにかかえている。クルーザーに乗船。
    若頭の西田はクラブハウスで待っている。クルーザーが戻ってこない。西田は囮だった。他の港にクルーザーを発見。麻取はシャブ確保。
    手柄争いをする道警がやくざ事務所に入る。ロックマンが突然現れ、素手で警官を殺害し逃走。
    シャブ取り引きの情報を流したパキスタン人がロックマンに殺害。もう一人のパキスタン人を逃がしに行くがロックマンが風と共に現れ目の前で殺害。
    麻取の同僚も目の前で殺害。拳銃で撃たれても死なない。頭を狙う。頬に穴があくが倒れない。同僚の死体を投げられて気絶。ロックマンの血痕なし。
    コルバトールに西田とロックマンが現れ銃撃戦。西田は陽亜組の大森を殺しに。シャブを奪ったマフィアのボス、ボリスとは拳銃の弾が当たって倒れない。東京出身ヤクザ大森を見つめた後、突然倒れた。検死で拳銃を撃たれても止血しているのがわかる。
    クラブで働くロシア女性がネット掲示板で教会司祭から情報を得る。イコンを海に沈めるように頼んだのは自分。
    幼馴染のマフィアが日本に行くのを知る。閏年の2月29日に災いをもたらす聖人カシアンを閉じ込めたイコン(厚さ5cmの板)を海に沈めるのを依頼。
    幼馴染はロックマンに殺害。悪人にしか取り付かないカシアンはロックマンに取り付く。目を真っ赤になるのを隠す為、睫毛が長い。
    カシアンはロックマンからヤクザに乗り移った。乗り撃つた人間の憎しみを増長される。東京にいる若頭を殺しに行く。荒唐無稽な話しを上司が理解。
    東京出張。すでに若頭は襲われていた。ヤクザは東京出身。昔の縄張りにイコンを隠す。家族と情報をもらった舎弟が殺される。
    若頭の雇った殺し屋の仕業。若頭の住居を直接訪ねる。突然、強風。逃げろ。玄関を開けるヤクザが立っていた。睫毛が長い。銃撃戦。倒れない。
    カシアンと呼ぶと振り向く。若頭を素手で殺す。ベランダから飛び降りる。誰かが車から降りて近づき立ち去った。乗り移った。車のナンバーを記憶
    その車がヤクザの家族の住んでいたマンションに来ていたことがわかる。運転していた男の顔が映る。飯田。大塚が好きだった女と交際。
    女を先輩と輪姦し殺害。主犯だが嘘をつき先輩に言われ殺したと答え軽い罪になる。
    出所後、実家は放火。先輩の片方は交通事故で死んでいた。もう片方は行方不明。火災保険で得た金でゲーム喫茶。その時に若頭と知り合う。
    「壊れている」「人を殺すのが快感」のを見抜かれる。
    飯田の標的は自分だと判明。深い憎しみを持った自分にカシアンが乗り移る。
    東京ヤクザ、新村が自分に面会を求める。事情をすべて説明。カシアンを捕まえたので受け取りにいく。閉じ込めた倉庫から返事がない。
    扉が開かないが突然開錠。ガムテープでぐるぐる巻きにしたが解いていた。見張りの若いのが鉄格子の窓に頭部を突っ込まれいた。新村がやられた。
    飯田と一対一。「咲子は、大塚君わたしに気があるんだよと言ってた。お前もやりたかっただろう」
    カシアンに気に入られる。乗り移った瞬間に頭を打ち抜くかまえをした。首をつかまれ、意識を失う。
    咲子が殺されたモーテルの後はマンション。そのマンションにイコンを隠している。ヴィクトル司祭、ジャンナとイコンを発見。飯田が登場。
    7発打ち込むとカシアンが乗り移ってきた。銃を顎にあて引き金を引く。カシアンが出て行く。銃は不発。かろうして生き残る... 続きを読む

  • キーワードは、魔物・イコン・麻薬捜査官・キリスト教
    結構面白かったですvv

  • 感想は下巻を読んでから
    2008.5.22

  • 大沢作品にしては珍しいスーパーナチュラル物です。といっても普段の悪人が非人間になっただけで、そういう意味では大沢ファンも安心して読めるんじゃないかと思います。登場人物のパターンも今までと一緒。悪く言えば「あぁ、あたか」って所なんですが、どういうオチを付けるのか、下巻が楽しみです。

  • 購入日:未
    購入者:310

    読みたいな。

  • 読み始めには「また荒唐無稽な……」と、流し読みをしていたのだが、そのあり得ないような話から人間誰しもが持つ「絶望と憎しみの行方」について考えさせられ、徐々に引きこまれていく。

    上下巻もののお約束だが、興味をそそるところで終わるのですぐ下巻を読みたくなる。


    作成日時 2008年01月11日 06:22

  •  中世ロシアの宗教伝説を題材にした、まさに「魔物」の物語。大沢作品では『天使の牙』などに類する、超常現象をテーマとした作品。 しかし、物語は北海道の麻薬取締官を主人公とし、麻薬密輸組織のロシアンマフィアを追うという、大沢作品永遠のテーマ「俺は麻薬犯罪を絶対に許さないゼ」もキッチリと織り込まれているのだ。 ロシア東方正教の崇拝画「イコン」に描かれた「魔物」の絵。この魔物「ラシアン」が100年間の封印から解き放たれてしまう。ラシアンは邪心をもった人間に取り付き現世に現れ、次々と殺人を犯す。 ラシアンに取り付かれた者は弾丸を受けても死なない。まるでゾンビのような存在。さらに恐ろしいのは、取り付いた人間の肉体が壊れてしまう時には、次の邪心をもった人間へと乗り移り、過去乗り移った者の記憶や能力を引き継ぎながらどんどん成長していく、ということ。 だがここに物語解決の糸口も隠されている様子で、新しい人間に乗り移るためには前の人間の肉体が壊れるその時に、次に乗り移る人間も目の前に居なければならないということ。 邪心をもった人間、ということが条件であるから。その時にそのような人間がそばに居なければラシアンはもとのイコン画に戻るしか無いことになり、もしもそのときイコン画が存在しなければラシアンは永遠に消滅してしまう、というもの。 さて物語は、このラシアンに乗っ取られたロシアンマフィア「ロックマン」が北海道小樽港へ侵入するところから始まる。麻薬の取引にからんだ二つの地元暴力団を巻き込んだ殺人事件が次々と発生。ロックマンを支配していた魔物ラシアンはこの上巻の最後で、邪心を持った別の日本人に乗り移ってしまい、どうやら東京へ向かった様子。 以下結末の感想は「下巻」の読了をしばし待たれよ。

  • この本のレビューは、本音書きたくない・・・
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    大沢在昌大ファンの私としては、この本のレビューだけは書きたくない。
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    でも、書かないと・・・。
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    この本、“私的には”大沢在昌の駄作ランキング堂々トップ3入りしてしまう。
    <br><br>
    何が面白くないかは、もう読んでいただくしかないわけだし、読んだら実はこれを読んでいるあなたは、すごく面白いと感じるかもしれない・・・。
    <br><br>
    ただ、私は駄目だ・・・。
    <br>
    中途半端なミステリー設定、中途半端なホラー設定、中途半端な歴史モノ・・・。
    <br>
    なんとも、全てが中途半端な作品になっている。
    <br><br>
    それが上下巻の本になっていると本当に読むのが辛かった・・・。

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