- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048737920
感想・レビュー・書評
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夜眠る前にひとつずつ。
「再試合」が、印象的。
おそろしいような、果てしないような、切ないようで。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
小川洋子が描く不思議な9つの世界。
割合として不気味・ちょっぴり怖い話が多いように感じられた。
個人的なお気に入りは『イービーのかなわぬ望み』、発想に感服したのが『お探しの物件』
のちに執筆された『猫を抱いて象と泳ぐ』を思わせる作品もちらほらと。
<収録作品>
曲芸と野球/教授宅の留守番/イービーのかなわぬ望み/お探しの物件/涙売り/パラソルチョコレート/ラ・ヴェール嬢/銀山の狩猟小屋/再試合 -
残酷なまでに美しい小川洋子のナイン・ストーリーズ。「お探しの物件」はもっともっと続きが読みたくなる話だった。「パラソルチョコレート」も好き。薄い本だけれども内容は夜明け前の空のように暗く深い。2011/320
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図書館にて。
現実の中に溶け込んでいるようなパラレルワールドを描く小説は数多くあれど、この作者もこの人にしか描けない世界を持っていると思う。
それぞれが独立した短編の短編集だったが、1作目の「曲芸と野球」が好きだった。いつも自分を見守ってくれる人が心の中にいる安心感。美しい風景が見えてくるようだった。 -
短篇集ではあるが小川洋子ワールド全開で、現実と夢の世界の境目を縫って歩くような感覚を堪能できる。
中でも儚さ、健気、悲哀が交錯する「曲芸と野球」「イービーの叶わぬ望み」「涙売り」などが好きだが、老婆の人生の深みを感じさせる「ラ・ヴェール嬢」も何とも言えぬ読後感を味わえる。
これからもどんな作品が登場するのか、小川洋子さんのたくさんの引き出しの中を覗いてみたいという衝動に駆られた。 -
小川洋子を堪能できる一冊だった。
不気味でグロテスクな表現、繊細で童話のような透明感、切なくて甘い憧憬、奇妙で不思議な観察力。
ころころと語り口は変わるのに、一貫として揺るがない品の良い文章。
個人的には「パラソルチョコレート」がお気に入り。 -
何気ない日常の不思議な短編集?と軽い気持ちで読み始めたら、いつの間にか少しずれた世界をぐるぐるさ迷う感覚に。ありえない設定の話はさておき、普通の日常風景かと思いきや、気付けばずれた世界に足を踏み入れている感じはなぜか心地よく、あっという間に読み進んでしまいました。もっと世界に浸りたくなった一冊です。
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不思議で奇妙な9つの短編集。
シュールであり、恐怖であり、リアリティから非日常へ突き落される。
予想できない世界へ連れていかれる感じがしました。
夜明けの縁というタイトルがピッタリ。なんとなく”ギリギリ”の部分を歩いているような印象をうける話ばかりでした。
想像力を掻きたてられる、そんな感じでしたが、、、どの話がよかったというのもなく、ストーリーに惹き込まれるというわけでもなかったです。 -
小川洋子さんの短編集。
「涙売り」は作者が多くの小説でモチーフにする「無償の愛」と「身体の喪失」がテーマになっている。
自分が無くなってしまっても残る愛。自分を捧げる愛。
読んでいると、切なくて痛くて、満ち足りる。
でもやっぱり怖いな。