七月のクリスマスカード

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
3.41
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本棚登録 : 157
感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (468ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048738538

感想・レビュー・書評

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  • これはミステリーだったのか。
    と読み終えて思う。
    良い意味で裏切られた1冊。

    扱うテーマや
    登場人物の抱える問題は重い。
    でも不思議な程に読み終えたあとは
    雨の後の虹のような
    そんな読後感。

  • 前半は、心が塞ぎ込んでしまうくらいのダークな話の成行きなのに
    先が気になって一気に読み干してしまった。
    読み進むにつれて、登場人物の輪郭が確かとなるにつれて、
    切なく遣る瀬無いのだけれど優しくって、最後は暖かさが残るミステリーでした。

    主人公【杉原美緒】、弟【充】、乳児期に死亡した弟【穣】、アルコール中毒の母【由佳里】、その従妹【薫】、
    もう一人の主人公【永瀬丈太郎】、妻【初恵】、誘拐された愛娘【瑠璃】、・・・

    『過去を引きずり続けることは何も生産しないばかりでなく、
    新たな悲劇を次々に産み続ける。』
    真にその通りであるなぁと、私もこころに刻み付けて置こう。

  • 検事の娘は、さらわれ行方不明になった。その後から妻とは別居が始まり、事件は解決しないまま、元検事となった。
    その後知り合いの知り合い、さらに知人などの人が都合よく出て来すぎる感じが違和感を覚える。

    アルコール中毒の母親を持つ美緒。この母親と父親の元に産まれた3人の子どもがいちばん不憫かもしれない。

  • 2020.10.25

    めちゃくちゃ長かったけれど、夢中で2日で読み終えた。おかげで寝不足。
    直前に読んだ『最後の証人』も息子を交通事故で失った夫婦の復讐がテーマの内容だったからケンジ氏の境遇と若干カブるところがありちょっと混乱した。
    伊岡さんの作品は、イヤな女を描くのが上手くて、イヤミスだな、本当にイヤな話だなっていうのが多いけれどこの作品は悲しいけれど、暖かさがあって読後感はよかった。

    初恵さんは瑠璃誘拐の全てを知っていて、竹本に近づいたのだろうか(この辺も『最後の証人』とカブる)。それならなぜ竹本に問い質さなかったんだろう。竹本に惹かれていたんだろうか。

    美緒の父親が小宮関連の誰かなのか、ケンジと何かしら血の繋がりがあるのではと思ってたけれど、予想は外れた。

    死んだと思ってた不憫な充が生きていて良かった。
    最後に両親を赦して良かったと思った。美緒も救われてほしい。なにも悪くないのに。

    そして薫さんは美緒の母の従姉妹というだけで面倒くさい妹弟を献身的に明るく、自分の子供のように面倒を見ていてすごい。薫さんはなぜ美緒親子にこんなに親切なんだろう?生きている瑠璃見た最後の目撃者という負い目?がずっとあって、美緒たちへ優しくすることで自分の傷を癒していたのだろうか。


  • 両親の離婚後、母と弟の3人で暮らす小学6年の杉原美緒。
    無理をしてきた母はアルコールに依存し、入退院を繰り返すようになってしまった。
    弟とともに母の従妹の薫に引き取られた美緒は、ますます内にこもっていく。
    そんな折、薫が経営する喫茶店の常連で元検事という初老の男と知り合いになる。
    美緒は徐々に心を開いていくのだが、彼は過去に娘を誘拐され、その事件は未だ解決されていないことを知る。
    数年後、成長した美緒は何かに背中を押されたかのように未解決の誘拐事件を探りはじめ、その裏に複雑な人間関係と驚愕の事実が隠されていたことを突き止める―。
    (アマゾンより引用)

    ケンジさんの娘の誘拐事件の真相は何かちょっとわけ分からんやったけど、話は面白かった。
    ケンジさんがめっちゃステキな人で、泣けてくる

  • 薫さんがいい人で良かった。

  • 伊岡さんの本だからと、最後まで構えて読んでいたのだが、ラスト近くには思わず涙が…。
    そうだったのか、と思わず唸ってしまった。
    心を揺さぶられる作品。大好きな一冊となった。素晴らしい!

  • 罪と罰、そして償い
    アルコール依存の母を持つ少女と弟と伯母、と、元検事の出会いと少しずつ深まっていく心の交流。
    未解決の、元検事の娘の誘拐事件。
    そして成長した少女が解きほぐしていく誘拐事件の真相。
    心に傷を持つ者たちへの安直なやさしさはここにはない。それぞれがきちんと己の傷と向き合うこと、そしてそれを自らの手でうめていくことの困難さと厳しさを突き付けられる。
    ラストに満ちる、乗り越えていく者たちへの作者のエールを受け取った。

  • いつも読みやすい文体

  • 図書館で、何の前情報もなく、帯や折り返しのあらすじもなく、ただただ立ち読みでぱらぱらとめくって、相性が良さそうに感じたので借りてきた本。ジャンルも何も分からず読んでいたので、最初はミステリだと思わなかった。こういうのは久しぶりの経験かもしれない。内容は、テーマは重い。でも、文章の透明感というか、柔らかさが救いになって、読ませる。三部立てになっていて、一部の話から二部の話に入るとき、少々戸惑ったけれど、二部を読み終えてからは早く結末を知りたくなった。読後も悪くない、ややきれいにまとめてあるけれど、登場人物の色々な思いを否定せず包み込まれていたことに安堵した。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』(『約束』を改題)で、第25回「横溝正史ミステリ大賞」と「テレビ東京賞」をW受賞し、作家デビュー。16年『代償』で「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、50万部超えのベストセラーとなった。19年『悪寒』で、またも「啓文堂書店文庫大賞」を受賞し、30万部超えのベストセラーとなる。その他著書に、『奔流の海』『仮面』『朽ちゆく庭』『白い闇の獣』『残像』等がある。

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