悪党

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739740

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、本当に上手い作家さんだと思う。
    読んでいるこちらの魂が疲弊する。

    読みながらと読み終わってからと、どんなに考えても、「私なら赦せない」の一言だけをキッパリと思う。

    (初版本…単行本化する時の加筆修正に失敗していると思われるところが1箇所ある。「アパート」であるべきところが「病院」のままになっている)

  • 婦女暴行などの許し難い罪を犯した犯人に対する被害者家族、そして加害者家族の辛さや苦しみが切々と伝わってくる。
    当然許すことは出来ない。たとえ、更生をしていても。
    ましてや、何ら反省のない人生を送っている様であればなおさら。
    しかし、苦しみを抱きかかえて生きていかねばならない一生は辛い。
    そんな事を考えながら、最後までずーんと引き込まれて読んだ一冊。

  • 未成年者の犯罪をどう考えるべきかを描いた「天使のナイフ」の作者・薬丸岳、待望の新作。
    彼の描く作品は、誰でも、いつでも「犯罪被害者」になり得ると言うことを身近に感じさせてくれる。
    今回は15歳のときに、姉を性的犯罪で殺害された少年の15年後を描いた、連作中編集。
    主人公・佐伯は15歳の誕生日に、姉・ゆかりを殺害される。
    犯人グループはすぐ逮捕されるが、未成年者の犯罪と言うことで、姓名も発表されなければ、量刑も軽い。
    彼はその後の犯人たちの動きを気にかけながらも、探偵となり、犯罪被害者の依頼を日々こなしていく。
    今回は、ひとつの事件だけではなく、いくつかの事件の被害者家族と、その加害者との関係が緻密に描かれる。
    子供を殺された老夫婦、子供時代に母親に置き去りにされ、弟を失った少年・・・
    それぞれの犯罪被害者の、それぞれの復讐がある。
    そして、佐伯本人の復讐とは・・・?
    今までの作品でも、かなり考えさせられるものがあったが、この作品でも中編とは思えないくらい、しっかり作者の思いが書き込まれている。
    今年度一番のオススメ!

  • 探偵ものの連作短編集なのですが、向き合っているテーマは難しいものです
    「犯罪被害者遺族は、何を持って罪を許すことができるのか」、言葉にすると何か簡単ですが、答えのない問いかけそのものですね

    登場人物が、皆同じような境遇というのはどうなのかな?
    救いのある終わりとはなっていますが、その過程は苦しいものでした

  • WOWOW放送に備えて読む。この著者の犯罪者や犯罪被害者の小説は数作読んでいるが、犯罪関係者同士の邂逅が多すぎると思う。関係図のプロットを立てていくうちに偶然すぎるということを忘れているのじゃないだろうか。さて本作も犯罪被害者の家族である主人公が復讐を遂げる過程の話であるが、仇討ちを防ぐ目的で作られたはずの刑法が余りにも軽すぎることを批判した小説でもある。確かに殺人の償いは犯人の死でしか家族には償えないように思うが、簡単に死というのも罪過としては軽すぎると思う終身重労働刑というのが死刑反対論者でも受け入れられる刑ではないだろうか。

  • 犯罪被害者とその家族がその後をどう生きて行くのか。。

    許せないだろうし、許す必要ない気もするけど、生きていく上でどこかで割り切っていかないといけないのかもしれないけど、やるせない。正しい答えなんて多分、誰も分からないと思うし、難しいね。

  • 犯罪被害者家族に焦点を当てた話。
    加害者がどうなっていれば更正したと言えるのか。
    加害者が何をすれば被害者家族は「赦す」ことができるのか。

    毎回毎回、重たいテーマを描く作家さんだけど、
    どの作品も読んだ後は、いろいろ考えずにはいられない。

  • 姉を性犯罪被害で亡くした佐伯。警察官になるもののとある事件で退官し、伝手で元警察官の木暮の元で探偵として細々と生きていた。ある日舞い込んだ依頼は、かつて自分たちの息子を殺した男の消息を調べて欲しいという犯罪被害者家族からの訴えだった。

    被害者家族、加害者家族、そして本人たち。何をもって許せるのか、そもそも許す必要があるのか。それぞれの立場からの答えが書かれているわけだけど、非常に難しい。私なら許そうとは思えないけれどずっとそれを抱えて生きていくのは確かに辛い。悪党たちはどこまでいっても悪党で、そこに悲しみも見えるような書き方をしているけど不快感しかなかった。すっきりはしないけど考えさせられる本ではあった。

  • 最近読みまくっている薬丸岳。犯罪被害者&その家族がその後をどう生きて行くのか…というのはこの人の一つのテーマなんだろうな…重いけど、どうであれば赦せるのか…って考えさせられる。

  • 「天使のナイフ」に続いて読んでしまったので、
    また犯罪被害者の遺族の話で、気持ちがきつかった。
    でも、それだけこの作者には引き込むものがあるのだと思う。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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