或るろくでなしの死

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著者 : 平山夢明
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年12月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739870

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或るろくでなしの死の感想・レビュー・書評

  • 珍しくあとがきがあり、作者さんの人間性を垣間見れたのがうれしい。
    『はぐれものの死』は、ある意味期待通りというか、救いのないはなし。だからこそ意味があるとおもえるはなし。
    『ろくでなしの死』は、一番好き。あとがきでは紆余曲折してこの展開に落ち着いたようなこと書いてありましたが、覚悟した以上に救いのある結末にほっとしました。えげつなさもありつつ、珍しく後味の良い作品。
    あと心に残るのは、『嫌われものの死』かな。日本人という記号を物語にしたものが他の短編集にもありましたが、風刺的で殺伐として、人間らしさが物悲しい。

  • 図書館より
    物理的な死や感情、世界の死を描いた短編集。

    印象的なのは『或る嫌われ者の死』日本人がほとんど死滅した世界で、列車に下半身を挟まれてしまった日本人男性の救助に当たる救急隊員の目線の話。
    ラストの落とし方が淡々としていながらも、ほんとに一編の救いもなく何とも不可思議な読後感でした。

    『或るからっぽの死』は特殊な能力を持った男が主人公。
    これも印象的なのはラスト。思わず「ああ……」とつぶやいてしまいました。アイディアとしてもとっても巧いし、語りかけるような語り口も話を際立たせています。

    平山さんは以前アンソロジーを読んで(ある意味)すごい話を書くなあ、と思っていて、レビューでも作品のグロさについて言及しているものが多く、覚悟を決めて読んだのですが、この短編集は思ったほどグロさはなく、どれも文学的な雰囲気が漂っていました。

    正直読み終えた後も具体的にどこが良かったのか、説明するのが難しいです。でも全ての短編に不思議と引き付けられるのはこの話に出てくる、ろくでなしたちがどこかで自分の何かと似ているように感じるからかもしれません。

  • 平山先生の作品は『メルキオールの惨劇』以来でした。表題作「或るろくでなしの死」と「或るからっぽの死」は個人的には好きです。7通りの人間の壊れ方。或る者は肉体的に死、或る者は精神的に死…。読了後、軽い毒を盛られて、内臓の一部が機能不全になったような感覚。気持ちイイんだか…?悪いんだか…?コレが平山ワールド!嫌いじゃない。

  • あぁぁ...やはり平山さんの小説だなぁと痛感。
    7編の短編で構成された「死」を死として
    のみでなく尊厳の破壊、存在の消失...様々な
    「死」をあくまでも平山氏独特の温度感で
    容赦なく書かれています。字面上ではかなり
    エグさとグロさのある表現ですが、個人的には
    この温度感が独特故、嫌悪感をさほど抱かないという
    希有な作家さんのような気がします。

    タイトル作で書き下ろしの「〜ろくでなしの死」は
    ド名作DINERに似た空気感漂う傑作で、この核で
    一作の長編にもなりそうな濃密な面白さ。
    こういった殺し屋書かせたらピカイチですね。
    心折れんばかりになった「〜ごくつぶしの死」の
    心地悪さと恐怖。
    「〜愛情の死」で描かれる常軌を逸したラストシーン。
    そして、今作を締める「〜からっぽの死」における
    何故か切なく、苦しくなるラブストーリー。

    こういった短編では一人勝ち、独壇場ですね。
    色んなバランス感覚が絶妙過ぎます。
    言葉にして言い難いですが...いい作品です。

  • あらゆる「死」にまつわる短編集だが、短編集としては前作となる『他人事』のいくつかの話にも漂っていた純文学的な要素を継承したような物語が目立った。
    ホームレスの見つけた路上の“付着物”にまつわる『或るはぐれ者の死』、日本人が希少種となった近未来設定の『或る嫌われ者の死』、ひとりの人でなしが誕生するまでを綴った『或るごくつぶしの死』、ぼんくら一代記『或る英雄の死』などの淡々とした物語にその匂いが濃厚。

    で、個人的には、家族の再生を歪に且つ決然と謳った『或る愛情の死』、殺し屋と少女の交流を描いたノワール譚『或るろくでなしの死』、特殊な視覚を持つ男が世界からフェードアウトしてく様を描いた『或るからっぽの死』など、比較的エッジの立った作品に惹かれた。

    全体的に静かな作品が多い印象だが、傑作『DINER』にも通じる、『或るろくでなしの死』のような世界観がまた読めたのは嬉しかった。この路線、続けて欲しいものである。

  • 目を背けたくなる程残酷だったり、
    胸が詰まる程哀しかったり、
    何も必要でない程虚しかったり、
    唖然としてしまう程突飛だったり、

    いろんな意味ですごかった。

    子どもを扱った話は親としてとても辛くて、辛くて辛くて読むのが苦痛であったりしたけど、
    でもこの不思議な空間で巻き起こる様々な死の瞬間。
    そう、たぶん、この現代であったり近未来であったり、
    日本であったり日本っぽいけどそうであるか不明な地名であったり、
    それがよりこの“死”を際立たせる。

    壮絶で、圧巻。

    不気味なのにもっと読みたい。

    胸糞が悪いのに惹かれてしまう。

    そんな一冊。

    初めて読んだ平山さんは本当いろんな意味ですごかった。

  • なんだこのやり切れなさ…。
    読んでる間中ボディブロウを喰らい続けているようで、表題作まで読み終えたところで流石にえずいた。おえっ。

  • 「或るろくでなしの死」
    震えながら、戦きながら、そうとは知らずに。七人の人間たちが迎えた決定的な死の瞬間。


    やっちまった。調子に乗って読んでしまった。惹きつけるものはあるけど、自分に向いてるか否かだったら向いてないなと。「ダイナー」は、疾走感がある分後半は読み切れたけど、これは死を扱ってる+いつものグロテスクさがありありで疲れました。


    とはいえ、印象深い短編集ではあります。表題の死は、殺し屋の「俺」が、仕事の現場を小学生のサキに目撃されることから始まります。一見イカれたサキの話かと思いきや(だってハムスターを可愛がって殺すって...)、正当化できる訳ではないが、サキには辛いことが降りかかっていて、それによって殺し屋が変わる?ような話でなんというかどーんとくる。


    「或る嫌われ者の死」も印象深いです。日本人がマイノリティになっている世界の話で、凄い差別が出て来てとても悲しい。最後なんか悲し過ぎる。この短編は、グロテスクではないが、差別の残酷性が出ている。辛い。


    平山夢明の世界としては普通なのだろうが、こたえる人にはこたえました。ちょっと暫くは笑える小説に浸りたい。

  • 今月は再読月間。コレも再読で、登録のみで、レビューを書いていなかったので、この機会に……。なお、再読なので、年間のカウントには、含めません。

    様々な形、意味の「死」にまつわる短編が7編。

    今回もそれぞれのあらすじは省略させていただきます。

    個人的には、平山流ハードボイルド風クライム小説の香りプンプンの〈或るろくでなしの死〉が一番好み。続いては、歪みまくった恋愛小説〈或るからっぽの死〉。他も、SF的なモノあり、お得意の不条理モノありでヴァリエーションに富んでいます。また、鬼畜度、グロ度はまだまだミドル級。なので、平山夢明、入門編には、コレか、(やや、不条理系多めの)『他人事』をオススメします。

    そして、2016年から新設の再読月は平山夢明に始まり、平山夢明に終わるのでした。

  • 色んな死にかたを集めた短編集。
    日本はわりと治安がいいのであまり死に対してリアルな感覚が薄いんだけど、確実に死は誰にでも訪れるのだなぁというのが解る。
    例えば自動車事後の描写など。

    平山ワールド全開です。
    グロの泥沼の中に文学という透明な硝子珠を見つけたときのヤッタネ感とそれを口に含んで「冷たいなぁ」と思う感覚が味わえる。

  • 不愉快さ不条理さがハマる人にはハマる、それが平山夢明だと思う。
    とにかく一気読みするには体力が要るので、一話ずつ分けて漸く読了。
    何か言葉にしがたい気持ち悪さが胸に残る。初読はだいたい2年前だったのだが、今の今まで本について考えるときは必ずこの平山流の気持ち悪さが思い浮かぶ。ある種心に残る作品と言えるかもしれない。
    なんだか解らないけど、好きという言葉は合っている気がしないのだけれど、印象に残る一冊です。

  • エログロや暴力のアイデアや場面設定はよいのだけれど、そこで書かれる言葉の深みというか奥行というか重みというのが物足りない、怖いのだがまあこの程度か、となるのはそれが原因で、どうしても言葉の安易さ軽さが目についてしまう。小説というよりは映画のシナリオを読む気分だし、言葉のチョイスが安易でジャンクフードを食べている気分。それでも、ラストの2作「或る英雄の死」「或るからっぽの死」はよかった。あっ、ちゃんと力量のある作家なんだ、ということが分かってほっとした。着想はどの掌編も本当にいいんだけどね、小説の出来不出来はやはり語りと描写力であることを改めて考えさせられた。もちろん、ジャンクにはジャンクの旨さがあると言われれば、返す言葉もないわけで…。

  • 前作『ダイナー』を読んだとき奇才だなあとおもい、この作品にも期待したが、さすがに練りに練ったえぐいストーリーはインパクト十分だが、あまりにえぐすぎて読み進むのが少しつらくあった。多作ではなさそうなのでまた次回作までには時間がかかりそうだが次作に期待したい。

  • 不愉快になる感じがいい

  • 轢き潰された人間が判らなくなるということがありえるのか

  • これぞ短編小説の傑作! かけ値なしの絶望と論理をも飲み込む狂気のオンパレード! 偽善者どもめ、死にさらせ。
    様々な死を描いた本作は、間違いなく傑作中の傑作。序盤からぶっ飛ばしてきやがる。道路の真ん中にあって、日の熱さにドロドロに溶けちゃっててタイヤに轢かれまくったせいで地面とほぼ一体化している物体を、くっさいホームレスの主人公が救済しようと努力するが……。
    二本目は、二本目だけに日本人だ。なんかヤベェウイルスを蔓延させちまった日本人が忌み嫌われている世界が舞台。日本人が電車に挟まって瀕死にあるんだが、そいつを救おうとするレスキュー隊たちとの小さな物語。なんでこんなちっぽけな話なのに世界観や人物のディテールが施せるんだろうか? ほんと凄い。
    三本目は、浪人生とそのセフレの間に過失的に生まれた赤ん坊の死。或いは、精神的に死んだセフレを描くもの。どうしようもねえ浪人生のクズっぷりと、それに流される頭からっぽ女の描写がやっぱり上手い。この短編集の中で最も生々しく且つ現実的。ラストが美しくもある。
    四本目は、息子を見殺しにした夫を責める妻と、その家族の崩壊を見事に絶望感スーパーフルマックスで書かれる一作。百聞は一見に如かず、これに限っては是非読むべし。
    五本目は表題作、或るろくでなしの死。ハムスターを石で撲殺しまくる少女と、少女に仕事現場を見られた殺し屋の関係を描く。少女のちょっとキ印入ってる苦悩と殺し屋の妙な人間らしさが不思議で心地よい。ラストは最もエグいのでご注意。
    六本目は、クソ野郎になっちまった旧友と主人公の話だが、微エロ・グロてんこ盛りの平山さんらしい短編。猫に奉仕してもらった挙句それをブチ殺す男や、表情ひとつ変えずに指関節をズタボロにしたり眼球を埋めちゃう筋肉兄弟などが登場。個人的にはこの短編集で一番好き。
    ラストは、SFじゃないけど奇妙な病気に罹った男と、汚れ仕事をしてきた娘の恋愛物語。恋愛とかいってるけどそこは平山さん。絶望ふりかけをたっぷり掛けてある。とはいったものの、この短編集の中では異質な存在であることに疑いはなく、何故か読後感も爽やかというか切なさというか……マイルドに読了させてしまう一作なのだ。ひとつ前の話がエグかったので、これでちょっとは飽和されるんじゃないかな。

    平山さんの作品の特徴は無国籍だと思う。名前はカタカナや英語が多いし、舞台も一概に日本に限定することはできまい。
    彼は無国籍で、無関心で、理解不能な、底無しの恐怖を現代人にリアルに見せてくれる。なんて逞しい作家なんだろう。

  • うーん。

    どこかでお勧めと見て、読んだのですが、自分で手に取っていたら絶対に読まなかっただろうと思う本です。

    読み切ってしまったので、それなりに文章力があって内容もおもしろかったのだとは思いますが、グロテスクな表現が苦手なので・・・。

    この作家さんの本はもう読まないですね、たぶん。

  • 私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    2013.8.13読了

    あまり面白くはないですが、個人的に好きです。

    話自体は、グロテスクで救いがなくて、物語としてもそれほど面白くないというか、どちらかと言えば、うーんという物語が多いです。
    文章も、もちろん読みにくいとかそういうことはないですが、何かざらつく感のある、気持ち良くない文章です。

    では、このグロテスクな所が怖い物見たさなのか、ちょっと変態趣味があるのかと言えば、まあ、変態趣味に関しては無いとは言えないですが、この年になると、ちょっとそれとは違うというのが分かって来ます。

    それでは、何でこれが好きなのか?
    きっと、この小説の独特の雰囲気なんだと思います。
    普通ここでよく、良い小説の条件として、その小説独特な匂いとか雰囲気が必要だと言っていますが、それはどちらかというと、文体やその作家独特な小説の構成や細かな記述や描写から、醸し出されるものなのだと思っています。
    ですが、この小説の雰囲気はそれではなくて、何か、そのグロテスクで救いようのない無惨な物語の中身に見え隠れするというか、あって欲しいと思うような綺麗なもの、人間の善性のようなものを見つけたくなるようなものがある、そういう書かれ方をしているということだと思います。

    でも、作者のあとがきに憂さやもやもやを吹き飛ばして、と書いてありましたが、それは無理です。もっと、もやもやします。

    あっ、それと皆さんのレビュー見てて、けっこうダイナー好きな人、多いんですね。これはハリウッドで映画化、決定だな。

  • どれも、やり切れない、切ない「死」を描いてて、グロいし、あーここで終わりにしようと何度も思ったのだけども、結局、全部読んでしまった。読後感が、不思議と悪くないのだ。不思議な作家さんだ。この本はもう二度と読まないけど、他の作品は読んでみたいと思った。

  • (収録作品)或るはぐれ者の死/或る嫌われ者の死/或るごくつぶしの死/或る愛情の死/或るろくでなしの死/或る英雄の死/或るからっぽの死

  • 殺し屋の「俺」は、仕事の現場を小学生のサキに目撃される。「俺」を怖がるふうもなく、逆に自分の云うことを聞くよう脅迫してくるサキ。だが彼女は「俺」にねだったハムスターをしばらく可愛がった後、唐突に石で頭を打ち砕いてしまう。真っ赤に目を腫らしながら…。こうして、殺し屋と少女の不思議な関係がはじまった―。(表題作より)ほか「或るはぐれ者の死」「或るごくつぶしの死」「或る英雄の死」「或るからっぽの死」など粒選りの七編を収録。

  • 今回のはあまり面白くなかったです。

    平山さんって外国のハードボイルドが好きなんだろうなとは思うんですが(勝手に)オリーヴの実を食べるシーンがあるんだけどあれはすごい不味いものだと思ってるから「すかしてんなあ」と思ったりしました。

    だって、日本人が日常シーンでオリーヴをつまみにマティーニやワインボトルあけるってなんかぐっとこなくないですか。

  • なんだかやりきれない

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或るろくでなしの死の作品紹介

殺し屋の「俺」は、仕事の現場を小学生のサキに目撃される。「俺」を怖がるふうもなく、逆に自分の云うことを聞くよう脅迫してくるサキ。だが彼女は「俺」にねだったハムスターをしばらく可愛がった後、唐突に石で頭を打ち砕いてしまう。真っ赤に目を腫らしながら…。こうして、殺し屋と少女の不思議な関係がはじまった-。(表題作より)ほか「或るはぐれ者の死」「或るごくつぶしの死」「或る英雄の死」「或るからっぽの死」など粒選りの七編を収録。

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