或るろくでなしの死

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739870

感想・レビュー・書評

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  • 不愉快さ不条理さがハマる人にはハマる、それが平山夢明だと思う。
    とにかく一気読みするには体力が要るので、一話ずつ分けて漸く読了。
    何か言葉にしがたい気持ち悪さが胸に残る。初読はだいたい2年前だったのだが、今の今まで本について考えるときは必ずこの平山流の気持ち悪さが思い浮かぶ。ある種心に残る作品と言えるかもしれない。
    なんだか解らないけど、好きという言葉は合っている気がしないのだけれど、印象に残る一冊です。

  • エログロや暴力のアイデアや場面設定はよいのだけれど、そこで書かれる言葉の深みというか奥行というか重みというのが物足りない、怖いのだがまあこの程度か、となるのはそれが原因で、どうしても言葉の安易さ軽さが目についてしまう。小説というよりは映画のシナリオを読む気分だし、言葉のチョイスが安易でジャンクフードを食べている気分。それでも、ラストの2作「或る英雄の死」「或るからっぽの死」はよかった。あっ、ちゃんと力量のある作家なんだ、ということが分かってほっとした。着想はどの掌編も本当にいいんだけどね、小説の出来不出来はやはり語りと描写力であることを改めて考えさせられた。もちろん、ジャンクにはジャンクの旨さがあると言われれば、返す言葉もないわけで…。

  • 前作『ダイナー』を読んだとき奇才だなあとおもい、この作品にも期待したが、さすがに練りに練ったえぐいストーリーはインパクト十分だが、あまりにえぐすぎて読み進むのが少しつらくあった。多作ではなさそうなのでまた次回作までには時間がかかりそうだが次作に期待したい。

  • 2014年11月6日

  • 不愉快になる感じがいい

  • 轢き潰された人間が判らなくなるということがありえるのか

  • これぞ短編小説の傑作! かけ値なしの絶望と論理をも飲み込む狂気のオンパレード! 偽善者どもめ、死にさらせ。
    様々な死を描いた本作は、間違いなく傑作中の傑作。序盤からぶっ飛ばしてきやがる。道路の真ん中にあって、日の熱さにドロドロに溶けちゃっててタイヤに轢かれまくったせいで地面とほぼ一体化している物体を、くっさいホームレスの主人公が救済しようと努力するが……。
    二本目は、二本目だけに日本人だ。なんかヤベェウイルスを蔓延させちまった日本人が忌み嫌われている世界が舞台。日本人が電車に挟まって瀕死にあるんだが、そいつを救おうとするレスキュー隊たちとの小さな物語。なんでこんなちっぽけな話なのに世界観や人物のディテールが施せるんだろうか? ほんと凄い。
    三本目は、浪人生とそのセフレの間に過失的に生まれた赤ん坊の死。或いは、精神的に死んだセフレを描くもの。どうしようもねえ浪人生のクズっぷりと、それに流される頭からっぽ女の描写がやっぱり上手い。この短編集の中で最も生々しく且つ現実的。ラストが美しくもある。
    四本目は、息子を見殺しにした夫を責める妻と、その家族の崩壊を見事に絶望感スーパーフルマックスで書かれる一作。百聞は一見に如かず、これに限っては是非読むべし。
    五本目は表題作、或るろくでなしの死。ハムスターを石で撲殺しまくる少女と、少女に仕事現場を見られた殺し屋の関係を描く。少女のちょっとキ印入ってる苦悩と殺し屋の妙な人間らしさが不思議で心地よい。ラストは最もエグいのでご注意。
    六本目は、クソ野郎になっちまった旧友と主人公の話だが、微エロ・グロてんこ盛りの平山さんらしい短編。猫に奉仕してもらった挙句それをブチ殺す男や、表情ひとつ変えずに指関節をズタボロにしたり眼球を埋めちゃう筋肉兄弟などが登場。個人的にはこの短編集で一番好き。
    ラストは、SFじゃないけど奇妙な病気に罹った男と、汚れ仕事をしてきた娘の恋愛物語。恋愛とかいってるけどそこは平山さん。絶望ふりかけをたっぷり掛けてある。とはいったものの、この短編集の中では異質な存在であることに疑いはなく、何故か読後感も爽やかというか切なさというか……マイルドに読了させてしまう一作なのだ。ひとつ前の話がエグかったので、これでちょっとは飽和されるんじゃないかな。

    平山さんの作品の特徴は無国籍だと思う。名前はカタカナや英語が多いし、舞台も一概に日本に限定することはできまい。
    彼は無国籍で、無関心で、理解不能な、底無しの恐怖を現代人にリアルに見せてくれる。なんて逞しい作家なんだろう。

  • うーん。

    どこかでお勧めと見て、読んだのですが、自分で手に取っていたら絶対に読まなかっただろうと思う本です。

    読み切ってしまったので、それなりに文章力があって内容もおもしろかったのだとは思いますが、グロテスクな表現が苦手なので・・・。

    この作家さんの本はもう読まないですね、たぶん。

  • 私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    2013.8.13読了

    あまり面白くはないですが、個人的に好きです。

    話自体は、グロテスクで救いがなくて、物語としてもそれほど面白くないというか、どちらかと言えば、うーんという物語が多いです。
    文章も、もちろん読みにくいとかそういうことはないですが、何かざらつく感のある、気持ち良くない文章です。

    では、このグロテスクな所が怖い物見たさなのか、ちょっと変態趣味があるのかと言えば、まあ、変態趣味に関しては無いとは言えないですが、この年になると、ちょっとそれとは違うというのが分かって来ます。

    それでは、何でこれが好きなのか?
    きっと、この小説の独特の雰囲気なんだと思います。
    普通ここでよく、良い小説の条件として、その小説独特な匂いとか雰囲気が必要だと言っていますが、それはどちらかというと、文体やその作家独特な小説の構成や細かな記述や描写から、醸し出されるものなのだと思っています。
    ですが、この小説の雰囲気はそれではなくて、何か、そのグロテスクで救いようのない無惨な物語の中身に見え隠れするというか、あって欲しいと思うような綺麗なもの、人間の善性のようなものを見つけたくなるようなものがある、そういう書かれ方をしているということだと思います。

    でも、作者のあとがきに憂さやもやもやを吹き飛ばして、と書いてありましたが、それは無理です。もっと、もやもやします。

    あっ、それと皆さんのレビュー見てて、けっこうダイナー好きな人、多いんですね。これはハリウッドで映画化、決定だな。

  • どれも、やり切れない、切ない「死」を描いてて、グロいし、あーここで終わりにしようと何度も思ったのだけども、結局、全部読んでしまった。読後感が、不思議と悪くないのだ。不思議な作家さんだ。この本はもう二度と読まないけど、他の作品は読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

1961(昭和36)年、神奈川県川崎市生まれ。法政大学中退。デルモンテ平山名義でZ級ホラー映画のビデオ評論を手がけた後、1993年より本格的に執筆活動を開始。実話怪談のシリーズおよび、短編小説も多数発表。短編『独白するユニバーサル横メルカトル』(光文社文庫)により、2006年日本推理作家協会賞を受賞。2010年『ダイナー』(ポプラ文庫)で日本冒険小説協会大賞を受賞。最新刊は『俺が公園でペリカンにした話』(光文社)。

「2023年 『「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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