- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048739900
作品紹介・あらすじ
佐紀もそろそろ禁煙したら、と玖美子にしては珍しい忠告をした。いつもなら、うるさいなあと思ったはずなのに、神妙に頷き、まあね、あたしもやめようかなあとは思ってんのよね、と殊勝に答えると、そうしな、と玖美子は短く言った。病院へ行った方がいいよ、と今度は私が忠告した。行くよ、と玖美子は答えた。でも、結局行かなかった。行かないで死んでしまった-残された者の悲しみは誰にも癒せない。喪失の痛みを抱えて、ただただ丁寧に毎日を送ることだけ-。注目の作家が描く、喪失と再生の最高傑作。
感想・レビュー・書評
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「ほどけるとける」の美和と裏表になる、佐紀のお話。慣れてきたのでほどける・・・より夢中で読めた。あの時は、そうだったのか、と思い出しながら読むと面白いし、意外な事実もあって物語がどんどん膨らむ。
もう、ここに出てくる人たち、みんな愛おしい。佐紀さんも、美和ちゃんも、律子さん、由岐さんも、もちろん、玖美子さんも・・・。あれ?女の人ばっかだ。
物語が突然終わるからと言って、そこを突っ込んではいけない。一人ひとりの物語、人生のひとときを、その人の想いを、鮮やかに描き出すのが、大島さんの、この物語の魅力だから。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ピエタ」「やがて目覚めない~」の順で大島作品堪能中。
もう、素敵すぎ。
なんだろうこのフンワリとしていて凛とした感じ。
中盤のスランプの件なんかキレキレで、琴線を刺激してくれて、何度も何度も目頭が熱くなりました。それも一言の文節だけで。同時にそんな自分にも驚愕。切れのある直球で小気味良く打者を打ち取るピッチャーを彷彿してしまいました。
綴られる言葉がすごく素直で清々しい。とっても良い本でした。
自分的には、今、最も大ハマリな作家さん! -
今も尚、共にいてくれる友人の中でも最も付き合いが長く、さらにここ数年の自分の一番駄目な部分を互いに晒し合い、一緒に笑ったり泣いたりしていた悪友が結婚した。その結婚式後最初に買った本が、本書「戦友の恋」、でございました。
説明せずとも悟られるように、タイトルで一目惚れし購入。連作からなる本書ですが、表題作である一話目でわかりやすく号泣。しばし続きが読めない程、心の琴線に触れられたのであります。
相棒の女性が亡くなってしまったところから描かれる=現在はいない、女同士の友情物語は初でしたが、安易に泣いて過ごしたり、素敵な恋人ができたりはしない。仕事の起伏でさえ、全然予期せぬタイミングで起こったり。そうして、その場面場面で色んな小さい出会いがあったりして、主人公の周りの人がまたみんな素敵です。
テーマがまず好みで、タイトルがタイミングどんぴしゃだったわけでしたが、柔らかい文章も好みで、文体からも「すこやかな日々」を感じさせてもらいました。 -
左紀と、彼女を取り巻く人達との関わり加減が絶妙で面白かった。また、達貴との掛け合いはテンポが良くて、幼なじみな雰囲気がよく伝わりました。人生って面白い。そんな風に思いながら了解しました。
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みんなが後ろ向きと前向きの両方の気持ちを持ち日々生きてる描写がとっても良かった
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友人の死から始まる・・・っていう
悲しいけども大島先生特有の悲しいだけじゃない雰囲気 -
再読。
私の長い喪中も終わったので… -
連作短編、というやつだろう。とにかく会話の自然さがすごい。地の文とカギカッコを駆使し、本当にナチュラルな台詞のやりとりを実現している。「耳がいい」という感じだろうか。
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よかった。