悲歌 エレジー

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048739917

作品紹介・あらすじ

届かぬ想い、禁じられた愛。静かに深くこだまする、孤独な魂の絶唱。愛の奥行きをどこまでも突きつめる、究極の恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • すごく良かったです。
    こういう恋愛小説がもっと読みたい。
    ほかの中山さんの作品とは印象が違いました。
    単行本だったからかもしれないですけど。

    描写が丁寧で好きです。どのお話も。
    特に最後の蝉丸。

    蝉丸に幸せになってほしいです。
    あれくらい純度の高い感情をもてることが素敵ですね。
    100じゃなきゃ嫌だ、と言い切れる彼の潔癖さに惹かれます。
    博雅が蝉丸をきちんと見つけられるといいな、祈らずにはいられません。

    人を愛することがどういうことなのか改めて感じさせてくれるような本でした。

  • 最近精力的に読んでいる中山可穂さんの作品。

    とにかく一つ一つの作品にズドン、と打たれる。人の心を見事に抉ってくると言うか、読むうちにその重圧に泣きそうになる作品というか、もうとにかく3つの作品すべてが重々しくも美しくて、またこの人にはまっていく自分に気がついた。

    ホントにすごい。

  • 真実の愛しか欲しがらずに、頑なに尖り続けて、
    誰かの愛を邪魔しないために。そんなふうに
    生きていったら、いつか折れてしまうだろう…。
    幻想と幽玄のなかに濃密な愛の姿を描き出す
    全3編。

  • 特に「隅田川」が良かった。存在したとおおっぴらに言えないものを残そうとする(わたし)切迫感、忘れないで弔い続ける人(薔薇の騎士)。
     題材はたいていいつも同性愛なのだけど、私は中山可穂の「おおっぴらに言えないもの」への執着の描き方が好き。そこを読みたくて読んでいる気がする。性愛だけではなくて芸術が絡んでいる設定の方が引き込まれる。

  • 作者中山可穂さんは確かゲイというかレズの恋愛を描いてきた作家だと思っていたが、今回は女と女、男と男、男と女と様々な恋愛模様を描き出そうと短編集に挑戦している。すべてに共感できた訳ではないが、いくつかぐっと来る短編があり面白く読めた。愉しめるという小説ではないが、悪くないかな。

  • 図書館で借りて読みました。
    隅田川で自殺を図った女子高生2人をゲームセンターで見かけた元写真家の卵だった女性が、自殺したうちの1人の父親と出会う話「隅田川」、リゾートマンションのべランダで雷に撃たれて変死を遂げた小説家の伝記を書くために、亡霊が出ると噂のその部屋に住み始めた女性ライターが小説家の最期を生活にふれる「定家」、一家心中を図った作曲家の弟子だった主人公の24歳男性・博雅が、助かった5歳の蝉丸と10歳の姉・逆髪の心の支えとなり、音楽で関わりながら、それぞれの叶わぬ愛を描いた「蝉丸」の3作品。
    テーマは重たいけれど、一人の人への強い思いと、その愛を貫くって素晴らしいなと思える話でした。

  • 懐かしい中山可穂さんの作品。
    学生の頃に貪るようにして読んだときのものから数段進化している。
    それは男女間の愛、男同士の愛の物語が含まれているせいかもしれない。

    隅田川はすっと読めたが、
    真ん中の作品は途中少し読み飛ばし、
    蝉丸はゆっくり読んだ。
    愛とは何か。そして世間体を捨てた博雅の選択に拍手を送りたくなった。

  • 3つの話が入ってる短編集
    中山可穂はやっぱりすごい 圧倒的に素敵 すごすぎる
    あんな空気のなかにいたい


    20110928追記
    隅田川
    エロティシズムと水の冷たさと火傷しそうな熱と壊れそうなぎりぎりのバランスの上の愛 泣きたくなるような美しさ
    定家
    激しい雨と雷の音のなかで やわらかな薄い布にくるまれる 愛は辛くて悲しいのに少しも冷たくない

  •  中山可穂の登場人物のネーミングのセンスにはまれないことが多い。それで、今回も気分を殺がれて残念。

  • 3つの短編。
    読み終えるとタイトル通りどこか悲しみ、または開放的な気分が広がってくる、カタルシスを感じる物語。
    非現実的な描写もあるけど、話の流れに馴染んでいる。
    読み飽きる事なく最後まで読み終えた。

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著者プロフィール

1960年生まれ。早稲田大学卒。93年『猫背の王子』でデビュー。95年『天使の骨』で朝日新人文学賞、2001年『白い薔薇の淵まで』で山本周五郎賞を受賞。著書多数。

「2022年 『感情教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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