- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048739948
作品紹介・あらすじ
まさかこんなことになるとは思わなかった-。一週間の休暇を南の島で過ごそうと旅に出た男は、軽い気持ちで密林へと分け入り、池に落ちて出られなくなってしまう。耐え難い空腹と絶望感、死の恐怖と闘いながら、なんとかして生き延びようとする彼は、食料を採ることを覚え、酒を醸造することを覚え、やがて身体が変化し始め、そして…。端正な文体で完璧な世界を生みだした、日本ホラー小説大賞史上最高の奇跡「化身」に、書き下ろし「雷魚」「幸せという名のインコ」を収録。
感想・レビュー・書評
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ホラー小説大賞受賞作品。選考委員は好きじゃないけれど(^^;;、ホラーはやっぱりグイグイ読めちゃう。
表題作他、「雷魚」「幸せという名のインコ」の3篇。
「化身」が圧倒的に面白かった。
南の島で休暇を過ごす男。密林に分け入り、池に落ちてしまいます。
周りは5mはあろうかという大理石状の壁にぐるりと囲まれ、脱出は不可能。
死への恐怖、生への執着。
これは進化?それとも退化?適応?順応?とにかく恐るべき生命力。
蟹を捕まえ、魚や貝を獲り、猿や大蛇が落ちてきて…。鳥を捕まえ、そして自分の死を待つ黒い鳥を狙い…蝶が訪れ、竜巻に乗り、蟻の襲撃に遭い…。
いやはや、目まぐるしい展開に息つくひまもあません。
肉体的にこれだけ適応できるのに、社会生活に適応できないのはナゼ??(笑)
とにかく面白かったです。
他の2篇は、やりきれなさが残り後味スッキリとはいきませんでしたが、「化身」のように前向きホラー?は好物です♪詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第16回日本ホラー小説大賞受賞作品。
(表題作のみ読了)
素晴らしいの一言に尽きる。
一人の男が人ならざる者に変化していく過程を、こんなにも無理なく自然に表現できるなんて。同じ環境に置かれたら私も変化できるんじゃないかと思ってしまいそうになるほどだ。だからこそなんともいえない恐怖感が、読んでいる最中
ずっと頭の中に留まっていた。
主人公の男がおかれている状況にそんなに絶望しないで恐怖しないで順応していく。だからこその恐怖。よくある小説なら、主人公の男の絶望に読者を共感させる形で恐怖を与えるのに、この小説は全く逆だ。 -
どうなってしまうの?!?って思いながら、読みました。読んでいる最中は、自分も生ぬるい水に浸かっている感じでしたね…
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ホラーなのか?動物園の観察日記みたいだった。ラストはなかなかユニークな終わり方だと思う。おもしろかった。
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第16回日本ホラー小説大賞受賞作品だが、一般的なホラーのイメージよりも幻想小説の趣が強い。
他にも二篇収録しているが、そちらは都市伝説やペットのもたらす怪異が主になっている。
「雷魚」は怖いながらも切なく、「幸せという名のインコ」は身につまされつつもぞわりとさせる。 -
ホラー大賞を獲ったという表題作もなかなかホラーというか妙な味わいの作品だけど、個人的には残りの2作がなかなか良かった。
だってオカメインコ可愛いじゃん。こいつこんなに懐くのか。鳥類ってうんこ適当にするからムカつくけど、犬が一番割を食ってて、猫もけっこう好き勝手やってて、鳥はホント周りの迷惑とか絶対に考えてないから、やっぱ犬でしょ、って思ってたけど、インコも悪くないかー。
でもっておっさんがインコだけに心を許す展開には憧れる。これが爬虫類だとホラー感増すけど、それじゃありきたりか。 -
最後の話、怖っ!
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インコちゃん幸せになって