道徳という名の少年

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著者 : 桜庭一樹
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年5月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (123ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740586

道徳という名の少年の感想・レビュー・書評

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  • 町で一番の美女が父なし子を産むところから物語が始まる。「Ⅰ、2、3、悠久!」から始まって、町一番の美女と黄色い目をした痩せこけた男の間に生まれた「弟」の一族の物語。

    「ジャングリン・パパの愛撫の手」「ぼくの代わりに歌ってくれ」は切なくって涙が出てしまった。

    甘美というか…タイトルに反して「背徳」。これを読んでいるとまるで覗きのようで、罪悪感に覆い尽くされるようで甘くてしびれる。甘い毒っぽい。灰色、落ち込んでいる時にちょうどいいような…気がする。

    町で一番美しい女が脳内で壇蜜に変換されて困ってしまった。装画が美しくってページをめくるのがドキドキしました。

    桜庭さんは色々なジャンルが楽しめる作家さんだとあらためて感じました。今なら「私の男」も読めるような気がする。

  • 本の造りやデザインが子供の頃に読んだ童話のようで、また話の書き方進み方も童話のようだった。内容は少し大人っぽいが…。短編集なのですぐに読めた。
    不道徳な美しい女から産まれた四姉妹(名前が「1、2、3、悠久」と変わってる!)と弟から続く一族の話。なんだか切なくなるような話だった。

  • おとぎ話みたいだった。ジャングリン・パパの愛撫の手が面白かった。装填が素敵すぎる!カバーだけじゃなく、中身まで凝っていた。野田仁美さんの絵をもっと見てみたいと思った。

  • 一人の美しい女が生んだ子供、そのまた子たちが紡いでいく物語。
    連作短編集で、掲載された媒体が各話で違うみたい。よくもまあ、チャレンジャーなことをしたなあと思った。単品で読んでもなんだかわからないって印象を受けないかしらん。

    苦手。
    だからなんなの?という話が多い。一族ものが好きなのもわかるのだけど、うーん。あいまいすぎて、よくわからない。
    桜庭一樹の小説はときどき空を駆ける的な話になることがあって(赤朽葉家とか傷跡とか初期の少女ものとか)、現実を描いたほうが好きなのになあ。
    その中で好きだったのは幼馴染と夫婦になるが、腕を無くした彼の世話にずっと憧れていた彼の父も一緒に生活することになる。黒子のような父。現れるのは性交時で、父の手によって、女は快楽を与えられるという話。なんだか官能的。
    そして何ページかごとに挿入される見開きの絵。美しいんだけど、桜庭一樹の文はしみじみ読むものではないから、読むリズムが崩れそうで、絵は素通りしてしまった。絵を小さめにするとか、方法はなかったのかな。

  • 絵と短い文章で構成された一冊。サド侯爵の「ジェローム神父」に近いかも知れない。
    だが、彼女にはその短い文章の中で美を描くには要領不足だったように思う。
    伝えたい筈のものが伝わって来ず、美しさを描き出すにはあらゆる方面で、描写の不足を感じる。
    絵本程に意味の籠った作品に仕上がらず、小説と言うには絵に完全に呑まれて仕舞っている。

    朽ち果てる美、子に受け継がせる為に、親は枯渇して往く。美と云う流行は次々と訪れては去って往くが、各々の美は紛れも無くひとつしか存在し得ない。

    桜庭一樹特有の「血の呪い」を完全に出し損ねている上、あらゆる官能美は一時的な描写として流される程度にしか描かれていない。
    題材は良くとも、作品は明らかに不出来だ。

    挿絵はモノクローム仕上げにも拘らず、美しいと思った。
    会田誠やその他の有名所の作家には到底敵わないが。

  • 繊細なビジュアルと、耽美的・背徳的なニュアンスの物語がからまりあってできた大人のための絵物語、という感じでした。独特の、飾り気無く純粋だけれども濃厚な官能にひたされた文章が、シンプルな物語によってより浮き彫りにされた印象です。
    あからさまにエロティックではない挿絵ですが、かもし出されるのはやはりそれで、物語と良いバランスがとられています。
    面白いとかいうより、このまったりした毒気にあてられてぼおっとなりました。

  • ああ、なんて背徳的な!やっぱり私は桜庭さんが好き、と再確認。

  • グロテスクで綺麗。
    矛盾する評価だけれども、なぜか同居している不思議感。

    雰囲気が先行するので、世界に入れれば非常に読みやすい。薄い本だし。あっちゅうま、だねー

    後日談の積み重ねみたいに展開していくので、登場人物に愛着を持てる人は楽しめる。
    こういう書き方すると私は愛着持てなかったみたいに読めるけど、持てましたので大丈夫。

  • タイトルに、鷲掴みされました。

    町でいちばんの美女が、四人の父なし子を産み落とす。

    母によく似た薔薇のかんばせを持った四姉妹は、
    母に捨てられ娼婦となり、
    やがて、肉に埋もれる病に侵された母のために、
    真珠代を稼ぎます。
    四姉妹の末っ子と母が連れ帰った弟は、
    愛し合うようになり、
    そうして、
    ママによく似た薔薇のかんばせと、
    パパ譲りの溶けたバターのような黄色い目を持つ、
    道徳(ジャングリン)という名の少年が生まれたのでした。

    そして、血族の話が続きます。

    一見とてもうつくしくて、
    紙一重で、ものすごく生臭い、凄惨な物語。

    禁忌だろうが不道徳だろうが、
    一切、罪悪感も背徳感も背負わない人物たちの、
    いっそ盲目的なまでの悪気の無さ、というのでしょうかね。

    そういう、幼さと甘ったるさを含むドロドロした感じと、
    罪も罰も無いような、いっそ清々しいまでの潔さで構築された世界観が、
    心地よい悪夢を見ているようで、

    こわくて目を覚ましたいけど、
    覚醒して消してしまうには綺麗すぎて、
    ずっと浸っていたくなる、
    危うさに惹かれてやみません。

  • 「「ねぇ、なんだか地球で最後の日って感じがしない?」「わかるわ」「わかるの?」「うん……。ほんとよ」すごく寂しくなったので、二人は同時に携帯型音楽端末のボリュームを上げた。」

    大事な時にとっておくんだ、と思って、大事に取っておいた1冊。
    心の平穏がほしかったそのときに読みました。

    あぁ、めくるめく桜庭さんの甘美な世界。
    もう、メロメロです。
    五感を刺激してくれる、言葉たちに、終始やられまくっていました。

    いくつか読んだことがある短編集だったのだけれど、
    気付けば、物語は1つ、なのよねぇ。
    こんな風につながるだなんて、1冊読んでみないと分からなかった。
    そして、そのことに気付けたことがとても贅沢に感じた。

    表紙も装丁もとても美しいし、大人のための童話、な感覚もある。
    いいなぁ、読んでる間に、どこかに連れて行ってもらった。

    【9/5読了・初読・個人蔵書】

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道徳という名の少年の作品紹介

「愛してるわ!ずっと昔から…。子供の頃から、愛していたわ!」町でいちばん美しい、娼婦の四姉妹が遺したものは?(1、2、3,悠久!)、黄色い目の父子と、彼らを愛した少女の背徳の夜(ジャングリン・パパの愛撫の手)、死にかけた伝説のロック・スターに会うため、少女たちは旅立つ(地球で最後の日)、-桜庭一樹のゴージャスな毒気とかなしい甘さにアーティスト野田仁美が共振してうまれた、極上のヴィジュアルストーリー集。

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