ふたりの距離の概算

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.62
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感想 : 337
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048740753

作品紹介・あらすじ

あいつが誰かを傷つけるなんて-俺は信じない。すれ違う心の距離を奉太郎は解き明かせるのか。"古典部"シリーズ最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • おお!いつのまにか、奉太郎たちが高2になっている!
    あの子たちがもう、後輩を持つ身分になったとはねぇ。。。
    と、しみじみ親戚のおばさんか、昔の担任のような気分に浸っていたら

    古典部に物好きにも(?!)仮入部してきた新入生が
    なぜ突如として入部を取り消したか、というのが、なんと今回の謎。

    あいかわらず、明治の文豪みたいな古めかしい言い回しや
    奉太郎⇔里志の会話の切り返しが私好みで、素敵です。

    そしてまたあいかわらず、『ふたりの距離の概算』というタイトル付けが上手い!

    校内長距離走大会で、謎解きの証言者となる古典部部員たちと会話を交わそうと、
    後から走ってくる証言者との物理的な距離を測りながら走る奉太郎に
    頭の中ではいろんな組み合わせのふたりの間の精神的な距離を計らせるという、
    その企みの小粋なこと♪

    善悪の判断は教育や経験によって後天的に憶えていくけれど
    好き嫌いは己の内側から湧き上がる衝動だ、と言う奉太郎の言葉の通り

    誰かとの精神的な距離を好き嫌いだけで決めてしまえるなら楽だけど
    そこに「こうあるべき」とか、「こうするのが正しい」とかいう
    人の世一般の善悪が絡むと、人との距離感はなかなか掴みにくくなって
    新入部員になるはずだった大日向さんみたいな苦い思いを噛みしめることになったりする。

    とはいえ、神山高校入学から1年ちょっとたって、
    里志と摩耶花のふたりの距離は、劇的☆に縮まり、
    それに比べて奉太郎と千反田さんのふたりの距離は、
    手を伸ばしかけたり、引っ込めたりの奉太郎のせいで
    マラソンのゴールを目指すかたつむり並みになかなか縮まらず、
    もどかしさとほろ苦さが今回も絶妙な、古典部シリーズ第5巻。

    • まろんさん
      ほんとにほんとに。
      アニメ『氷菓』は、京アニの作品の中でも屈指の名作でした(*'-')フフ♪

      アニメは、原作の順番をちょっと入れ替えている...
      ほんとにほんとに。
      アニメ『氷菓』は、京アニの作品の中でも屈指の名作でした(*'-')フフ♪

      アニメは、原作の順番をちょっと入れ替えているくらいで
      あとはかなり忠実に映像化しているのだけれど
      叙述トリックに関しては、原作のほうがドキドキできるところもあるかもです♪
      原作がたまったら、またアニメ化してほしいですね(*^_^*)
      2012/11/30
    • macamiさん
      これ、シリーズものだったのですね・・・
      米澤さんの作品はこの一冊しか読んだことがなくて、
      でもまさかそんなに続くシリーズものだったなんて...
      これ、シリーズものだったのですね・・・
      米澤さんの作品はこの一冊しか読んだことがなくて、
      でもまさかそんなに続くシリーズものだったなんて。
      アニメ化もされているんですね。

      ほんと、タイトルいいですよね!実はタイトルが
      気になって気になって読んだ一冊です。
      2013/02/05
    • まろんさん
      macamiさん☆

      米澤さんは、文体もとても素敵だけれど、なんといっても
      タイトルのつけかたが素晴らしくて、読みたくなってしまいますよね!...
      macamiさん☆

      米澤さんは、文体もとても素敵だけれど、なんといっても
      タイトルのつけかたが素晴らしくて、読みたくなってしまいますよね!
      このシリーズの1作目の『氷菓』も、米澤さんにしてはあっさりしたタイトルだけれど
      読み終えたとき、この本は、このタイトルあってこそだったんだ!
      と、深い余韻を残してくれる名作です。
      アニメも素晴らしい出来だったので、機会があったらぜひぜひ♪
      2013/02/06
  • 3.7
    うーん、
    高校生のはなしですが、実際の高校生がこんなに難しい言葉をしっているのか、と言うくらいこれでもか、これでもか、と言葉が出てきます。
    大人でも普段の会話では使わないんじゃないかという言葉がたくさん出てきます。
    そこがとにかく違和感でした。
    話自体は面白かったですが、言葉のせいで集中できず読み切るのに時間がかかりました。

  • 「遠まわりする雛」の余韻がたっぷり残っていたので
    タイトルからして甘酸っぱくて切ない路線なのかしらと
    勝手に期待していたのに、違ったね。

    まぁ、最初からまるで疑わないあたり確実に心の距離は近くなっているし
    招き猫リモコンのくだりとかなかなかよかったですが。
    端的に言えば、新キャラの大日向さんがあんまり…好きでない。
    古典部はもう、この4人でいいと思うよ。
    そして肝心の謎のほうもなんかすっきりしなくて、
    あれ?そんな感じですかとちょっと拍子抜けでした。

    マラソン大会と重ねて書いてるのも
    合間に入る小さな謎解きも面白かったんだけど
    やはり、千反田さんが好奇心爛々としてないとね。
    読んでるほうも調子狂っちゃうよね。

  • 古典部シリーズ第5弾。前作でホータローとえるの距離が縮まった気がしたので、期待して読んだら、全然違う内容だった…でも、やっぱり古典部シリーズは面白い!早く続編を!

  • 積読している間に文庫が出てしまった…そういう本がいくつかあり、そんな中からやっとこの本を読んだ。
    今回はマラソン大会で走っている間に奉太郎が謎をとくという変わった内容。私は大日向さんにすごく感情移入してしまった。勝手に思って(勘違いして)、勝手に怖がる気持ちがよく分かる!実際私がもし古典部だったら…なんでも知っていて見透かされてると感じて千反田さんを苦手に思うかも知れないなぁ。逆に千反田さん的には無意識な発言なのに過剰評価されて、損な性格だよなぁと思ってしまう。人との距離って難しい。
    このシリーズを読む度、高校生に戻りたくなる。我が母校でも星ヶ谷杯と同じようなルートでのマラソン大会があったなと懐かしく思った。

  • 古典部5作目。二年生になった古典部の面々。マラソン大会中に、新入部員退部の理由を解いていく。少しの違和感も見逃さない奉太郎、さすがです。

  • 山本周五郎賞受賞の報を受けて再読。古典部シリーズの最新で、今のところ最後の巻。
    以前よりも大日向さんが苦手かもしれない。空回りしてる感じが……。ちーちゃんには可哀そうな話だったよなぁと改めて思う。
    友達か、友達ってそんなに簡単なものではないよな。
    勘違いした友人関係よりも大事なものがあると私は思う。でも、まぁ困った時に頼れる人がいるのは正しいのかも知れないけどね。
    深いな。

  • 古典部シリーズ。今回は下級生が巻き起こす人間関係についてのお話。
    例のごとく、日常的な謎解きなので、なんだこれって読み手によっては思うかも。古典部のファンもなんとなく物足りなさがあるかも。
    でもこういう些末な事柄に神経をすり減らされる年頃ってあるよなあ。楽しそうだなあと思いながら...。

  • 9/9読了。いまいち読む気力が乗り気らなかったな~。日常ミステリー系なのか。推理はこじつけっぽいというか、俺的には腑に落ちない。

  • 米澤穂信さんの作品をちゃんと読むのは初めてかも。古典部に仮入部したはずの新入生が二ヶ月後やめてしまうまでの原因を主人公がマラソン大会の最中にこれまで日々を回想しながら解き明かしていく、という内容です。辞めるに至る理由を探すこと自体だけじゃなく、回想の中にも数々のミステリーがあってその積み重ねが最後で合致するような展開が面白かったです。登場人物のキャラやセリフ回しも良かったです。
    ただ、なんとなく解決させきってない感じもするのでちょっともやもやします。続編はあるのでしょうか?

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著者プロフィール

1978年岐阜県生まれ。2001年『氷菓』で「角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞」(ヤングミステリー&ホラー部門)を受賞し、デビュー。11年『折れた竜骨』で「日本推理作家協会賞」(長編及び連作短編集部門)、14年『満願』で「山本周五郎賞」を受賞。21年『黒牢城』で「山田風太郎賞」、22年に「直木賞」を受賞する。23年『可燃物』で、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」でそれぞれ国内部門1位を獲得し、ミステリーランキング三冠を達成する。

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