トロイメライ

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741002

作品紹介・あらすじ

唄とグルメは那覇の華。武太を惑わす、6つの難事件。犯人は誰だ!?19世紀、幕末時代の琉球王朝。無職の三線弾きだった武太は、新米岡っ引きに任命された。意気揚々と正義に燃えるが、世の中うまくいかないことばかり。毎夜どこかで起こる事件と、一喜一憂する庶民の人情に触れながら、青年はひとつずつ大人への階段を上っていく-。

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄を舞台にした大作『テンペスト』でヒットを飛ばした池上永一氏の最近作『トロイメライ』を読了。今回も沖縄を舞台にしているが、前作よりぐっと軽い読み物になっているが沖縄出身の作者が沖縄の歴史を消化して書き上げた楽しい沖縄歴史小説になっている。琉球王朝の歴史を知りたくなるなあ。

  • テンペストと関連があるかのように宣伝されていましたが、テンペストと同時代の琉球が舞台で、同作品のキャラクターも登場する以外関連はありません。
    まさにジェットコースターだった前作とは真逆の、あったかい庶民のストーリー。
    「パガージマヌパナス」「夏化粧」に雰囲気は似ていますが、短編集のせいか、物足りなさを感じました。
    そのため、星二つ。
    第三夜以降が好き。
    下品で雑な文章もあるのに、なぜなんだか。情景も情感も、たっぷり湿気とにおいを伴って、心に立ち上がって来ます。
    こういうところが、池上作品の魅力じゃないでしょうか。

  • 『テンペスト』の世界を舞台にした捕物帖(?)。琉球王朝の商都、那覇の街を、筑佐事であり三線の名手でもある武太が駆け抜ける。一章につき一人以上は『テンペスト』の登場人物が顔を出してくれるのも、サービスとして楽しい。
    捕物帖の常として短編集なのだけれど、推理・逮捕が目的ではなくて、琉球の民の哀歓を武太が見聞きし、唄に昇華するのが物語の核になっているのが面白い。
    『テンペスト』を読んだときにチラッと思ったとおり、この人は短編の方が巧い。しかし『テンペスト』を読んだときに不満に思ったとおり、会話がくだけすぎていてイヤだ。

  • 『テンペスト』では琉球王朝の華やかな世界が描かれていたが、今度は庶民の生活が描かれている。
    そして嬉しい事に『テンペスト』の登場人物がちらほら。

    三線の腕前は見事だが、それ以外はからきしの武太。
    そんな武太が見習い筑佐事(岡っ引き)になり、様々な事件と向きあう中で少しずつ成長していく。

    単細胞で短絡的思考の持ち主、でもとても熱い心の持ち主。
    だから罪よりもそれを犯すしかなかった罪人の心情につい同情してしまう。
    筑佐事としてまだまだ半人前なんだけど、でも、憎めないんだよなぁ。

    王宮の料理にも劣らぬ絶品の料理をだすをなり宿の三姉妹や涅槃院の大貫住職に見守られ、さらに成長する武太の姿は続編で?

  • 表紙のイラストに登場人物が描かれていて楽しい。テンペストのキャラも登場し、スピンオフというわけではないが、テンペストで確立された世界が広がっている。黒マンサージの正体とか、盛島開鐘の行方と紅型の女形など、話が完結していないエピソードがあるため、まだ続くとすれば、今後が楽しみである。魔加那と真美那の姉妹のエピソードで必殺技「真美那、泣いちゃう」があり、これがテンペストに繋がっている等、懐かしい登場人物の再登場の他、伏線として繋がっているところを探すのも一興。

  •  琉球王朝末期のベルバラ『テンペスト』と同じ時代設定で、那覇のグルメと歌と人情を描いた痛快作。要所要所のくすぐり(ギャグ)にクスリと笑い、運命を受け入れ立ち向かう女性と子ども達にホロリとする。『テンペスト』の登場人物も登場するサービスもうれしい。

  • テンペストに出てきた登場人物がちょいちょいでてきます。ですが、
    先にテンペストを読まないと話がわけらないというわけでもありません。帯に「テンペストの熱狂から2年」とかかれてあったので勝手にあの話がおわってから2年後の設定かと思ったら、テンペスト(ハードカバー)上巻あたりの時代で、設定的にはモロかぶりでした。ちょいちょい出てくる人たちはオマケみたいなもんですので、完璧に別の話にしてくれたらよかったのになぁーという個人的見解から星よっつにしました。昔の作品のようなハチャメチャ感はほとんど感じられなかったのですが、あいかわらずさわやかで絵画的な文体が本当に魅力的です。味を表現するという新境地にチャレンジされたんだなぁーと、バガージマの時からのファンとしてはなんだかしみじみ。

  • あ~・・・・・・以前にレビューしました「テンペスト」の・・・続編ではないな。なんだろう?スピンオフ?それともちょっと違うような。切り口を変えた感じでの短編集。テンペストの登場人物もちょいちょいでてきます。

    で、内容はテンペストみたいなドキュメンタリー的なものではなくて、市井の人々のあれこれみたいなざっくばらんな話・・だと思う。

    ん~・・・・・・まあこの作者の作品なのでいつも通りっちゃいつも通りですが、あんまり深くなく終わるというか。そこがいい点でもあり悪い点。え?それで終わり?みたいな。テンペスト読んで楽しめた方は読んでみても悪くないですが、そうでない方は別に(ry

  • テンペストは幕末の琉球王朝を舞台にした物語でしたがトロイメライは同じ時代の那覇を舞台にした庶民の人情物語。
    テンペストみたいな壮大なスケールはありませんが、市井の人たちの雑草のごとく生きるたくましさ、貧しいながらも明るく生きる毎日が新米岡っ引き武太を中心に生き生きと描かれた秀作に仕上がってます。
    大貫長老、部分美人三姉妹、わがままジュリの真加那、謎の覆面黒マンサージと熱血漢武太を取り巻く脇役陣のキャラも光ってますね。
    ストーリーとは直接関係ないのですがテンペストの登場人物が随所にサービス出演しますのでテンペストを読んでるほうが楽しめるでしょう。
    読み終わったあと沖縄料理と三線の島唄が恋しくなる素敵な連作短編集でした。

  • 琉球を舞台とした、エンタメ“捕物帖”です。
    ノリが漫画なので、スラスラ読めます。

    あの「テンペンスト」の登場人物たちも出てくるので、その辺もお楽しみです。

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著者プロフィール

池上永一
一九七〇年沖縄県那覇市生まれ、のち石垣島へ。九四年、早稲田大学在学中に『バガージマヌパナス』で第六回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。九七年刊の『風車祭』が直木賞候補に。二〇〇八年刊の『テンペスト』はベストセラーとなり、一一年の舞台化をはじめ、連続テレビドラマ、映画にもなった。一七年『ヒストリア』で第八回山田風太郎賞を受賞。他の著書に『シャングリ・ラ』『レキオス』『ぼくのキャノン』『統ばる島』『トロイメライ』『黙示録』などがある。

「2023年 『海神の島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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