モルフェウスの領域

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741538

作品紹介・あらすじ

日比野涼子は桜宮市にある未来医学探究センターで働いている。東城大学医学部から委託された資料整理の傍ら、世界初の「コールドスリープ」技術により人工的な眠りについた少年・佐々木アツシの生命維持を担当していた。アツシは網膜芽腫が再発し両眼失明の危機にあったが、特効薬の認可を待つために五年間の"凍眠"を選んだのだ。だが少年が目覚める際に重大な問題が立ちはだかることに気づいた涼子は、彼を守るための戦いを開始する-"バチスタ"シリーズに連なる最先端医療ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 人口凍眠システムを廻るスリーパーとサポーターの物語。冷たいメディウムの海底。記憶の改竄。ノンフィクションとはいえ、技術と倫理の間に横たわる淵の深さを感じました

  • 海堂氏は作品を通して問題を提起し、世論に訴えることにより官僚の重い腰を動かしているように思います。
    とっても尊敬しています。
    海堂氏の作品はすべて読んでいます。

    登場人物がかぶるので海堂ワールドがとても面白い。
    今回の作品でもほとんどが今までの作品に登場したことのある人物です。
    今回も随所に官僚批判が見られます。この作品では両眼の摘出が必要な網膜芽細胞腫の少年が、治療時期を延ばすために人工冬眠に入るところから話が始ります。
    この物語は続きがあるようにも思いました。次の作品も楽しみです。

    もうすぐ公開される海堂氏原作の映画「ジーンワルツ」は産婦人科の現場の悲鳴を取り上げながらの本格ミステリーです。
    この映画も絶対に観に行こうと思っています。

  • コールドスリープ(冷凍睡眠)、SFではお馴染みのガジェットですが、、
    「バチスタシリーズ」の海堂さんが、その冷凍睡眠を題材にした物語。

    現役のお医者さんが描くと、妙にリアリティを感じてしまいます。
    『ナイチンゲールの沈黙』とどことなくシンパシーも。

    そのバチスタでの東城大の懐かしい面々もてんこ盛りに。
    如月翔子、田口、高階、そして、渡海、、うーん、豪華。

    後の『医学のたまご』ともつながっていて、桜宮サーガの軸の一つとも。
    羊水をたゆたうその描写が、詩的で絵画的で、ただ美しい。

     「スリーパーをひとりぼっちにしてはならない」

    冷凍睡眠の技術、どこまで実用化されているのかと、気になります。
    Aiの実用性を考えると、決して絵空事ではないとも思いたいですが。。

    知的好奇心を刺激してくれるのは相変わらずに。
    続編も書かれているとのことで、待ち遠しく感じてしまいました。

  • 5年間凍眠し、新医療の導入を待つ。
    高度で革新的すぎる技術なのに、それ故か蔑ろに扱われている。行政と医療の悪い意味での乖離が悲しい。アツシにとっては良かったのかなぁ…良かったと信じたい。
    西野の得体のしれなさ、曽根崎教授の問の答えなど、釈然としないことが多い。

  • バチスタシリーズを読んだことないのですが、どうやらそこでの登場人物たちがたくさん出ているらしい。
    無駄な登場人物がいるなぁと思ったらそんな理由だからなのか、、、ファンにはたまらないんだろうなとは思います。
    網膜芽腫により両眼失明の危機にある9歳の少年が、特効薬の認可を待つために五年間の“凍眠”を選びます。世界初のコールドスリープ技術により人工的な眠りについた少年の生命維持を担当している涼子。
    母性愛なのか愛情なのか、ただ情が移ったのか、それとも使命感のようなもの?涼子の少年に対する思い入れの深さは理解しかねます。過去の出来事も何があったのかよくわかりません。
    感傷的な雰囲気が漂っていて、根拠のない自分の未来を捨てても構わない無償の愛情へと展開されます。
    消化不良のまま読了。うーむ。

  • 網膜芽腫が再発した佐々木アツシくんは、コールドスリープで5年の眠りについている。
    そのスリーパーのサポーター、日比野涼子。
    五歳のレティノって、本当にあるのかしら?という涼子の言葉の意味はなに?

    凍眠八則を発表した曾根崎伸一郎。
    スーパーに買い物に行った涼子とすれ違う幼い薫と祖母。
    小夜ちゃんは自由のない場所にいるってことは、服役してるんだろうね。

    涼子がノルガ共和国で知り合った医務官はだれ?

    倫理や哲学的な内容は一度だけでは理解し難い部分もあった。ただ、なんとなく涼子がスリーパーになることを選ぶような気はした。

    アツシくんをひとりぼっちにさせてはいけない。
    のこたえ。

    この後のお話も、また違う形で知ることになるのだろうか?

    こんなに小さくても大きくても様々な登場人物が絡み合うなんて。発刊順に読んできて正解に思える。

  • 理系作者の本って感じ。冷たく深く漂う感じ。論理に感情が加わってしかし論理的にミステリアスに展開する。

  • スッキリしないようでスッキリした。
    そんな感じ。
    つかめそうでつかめない。
    知りたいけど、ここままで良い気もする。
    でもそれが不快じゃない。

    海堂作品の中でもすごく難しいと思うし
    実際理解できなくて読み返す部分も多いんだけど、
    気持ち的には流れるように読めた。
    女性が主役だから?
    コールドスリープという非現実な話だけど、
    人物にも設定にも深みがあるぶん、
    実際は知らないことの多い現実の世界よりリアルに感じる。

    お馴染みの人たちが、違和感なく効果的に登場してる。
    ノルガ共和国の医務官って・・・私の思い浮かべてるあの人で良いの?!

    医学のたまごとナイチンゲールをもう一回読みたくなった。

  • 毎回唸りながら読むが、今回もまた・・・。いやはや、海堂氏の頭の中って、どうなっているのか。全作品を読まずにはいられないと思わせる、そういう作家は珍しい。キャラクターの造形、面白み(軽さ)と哲学的な深さ(重さ)、読者への問いかけ、その全てが巧みなストーリーの上で組み合わされている。いやはや・・・。

  • いつも思うのですが、海堂さんのシリーズは、どんどん読みたくなって、あっと言う間に読了。今迄の作品との繋がりも絶妙です。前の作品も読み返してみたいです。

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著者プロフィール

1961年千葉県生まれ。医師、作家。外科医・病理医としての経験を活かした医療現場のリアリティあふれる描写で現実社会に起こっている問題を衝くアクチュアルなフィクション作品を発表し続けている。作家としてのデビュー作『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)をはじめ同シリーズは累計1千万部を超え、映像化作品多数。Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の概念提唱者で関連著作に『死因不明社会2018』(講談社)がある。近刊著に『北里柴三郎 よみがえる天才7』(ちくまプリマー新書) 、『コロナ黙示録』『コロナ狂騒録』(宝島社)、『奏鳴曲 北里と鷗外』(文藝春秋) 。

「2022年 『よみがえる天才8 森鷗外』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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