本日は大安なり

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著者 : 辻村深月
制作 : さやか 
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年2月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048741743

本日は大安なりの感想・レビュー・書評

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  • ピアノを弾いて♪ と頼まれる中で、とりわけうれしいのは
    やっぱり、親戚や大切な友達の結婚式での演奏なのです。

    特に忘れられないのが、アニメ大好きな後輩に、キャンドルサービスのBGMを
    アニメソング尽くしでぜひ!と頼まれた時のこと。
    各テーブルを廻るのに予定より時間がかかった上に、
    最後のハート型のキャンドルになかなか灯が燈らない。
    準備していた曲は全部弾いてしまったので、彼女の好きなアニメを必死に思い出し
    即興でアレンジして弾きまくる私に、式場係の女性が目顔で送ってくれた励ましと
    「あとちょっと!」 「そろそろ弾き終えて大丈夫!」の合図が素晴らしくて。

    そんなことを懐かしく思い出しながら、
    ハプニングに見舞われても決して諦めず全力で対処し、
    晴れの日を温かく支えるウェディングプランナーの世界に惹きこまれました。

    双子の片割れとしてではなく、愛する人にだけは
    「世界にたったひとりの私」として見つめられたい、ややこしい花嫁。
    わがままでいつもケンカ腰、要望に沿うよう努力を惜しまないプランナーに対して
    感謝はおろか、自分がミスしても絶対に謝らない、クレーム魔の花嫁。
    大好きな叔母がいかにも怪しい相手に嫁ごうとしているのを
    なんとか阻止して守らなくては!と思いつめている小学生の男の子。
    愛する妻がいるのに、生来の調子の良さから、浮気相手と
    賑々しく結婚式を挙げる破目になり、当日になってぶち壊しを目論む花婿。

    何事においても成功まちがいなしのはずの大安吉日に押し寄せるハプニングの数々を
    登場人物の誰ひとりとして救いようのない悪者にはせず、
    心温まる解決に導く辻村さんの筆が鮮やかです!

    なぜだかツキに恵まれて、嫌なテストも学校に雷が落ちたことで免れてしまった過去とか
    評判のグラタンが生焼けだったりとか、あいかわらず伏線のさりげなさも絶妙で。

    「勘弁してよ」とつぶやきながら、「ややこしい子」を深い愛情で包む
    花婿の映一さんにきゅんきゅんしながら
    物語に関わった全ての人を祝福するように鳴り響くウェディングベルが
    本当に聞こえてくるような大団円に、歓びがこみ上げます。

    結婚式に夢を抱いていて、予算に余裕のあるカップルは
    日本経済のためにも、思う存分お金をかけて。
    ちょっぴり懐がさみしいカップルは、創意工夫で思い出に残るふたりだけの式を。
    そして、今、片想いに胸をこがしているひと、恋を失ったばかりのひとは
    いつか最愛の誰かと素敵な式があげられますように、と
    祈らずにいられなくなる物語でした。

  • 老舗結婚式場ホテル・アールマティ。

    大安の日、挙式予定のカップルが4組。

    美人双子の片割れ 加賀山妃美佳と眼鏡がクールな相馬映一。

    ギャル風でワガママな大崎玲奈と年の差婚の十倉氏。

    白雪姫になりたい薬剤師 白須りえと年下で頼りない東誠。

    軽薄なホスト顔の鈴木陸雄とその想い人。

    それぞれの画策や秘密に山井多香子や岬らプランナーまで巻き込み、無事式は進行されるのか!?

    ややこしく面倒くさい双子たちやどこまでも自己中心なギャル嫁に女たらしに……悪巧みの匂い。。

    途中ハラハラしたが、小気味良い展開で見事に辻村深月ワールドへ引き込まれる。2人が佳き日を迎えられるまでには本当にたくさんの人の想いやお金が動くんだなぁ…。その全てに応える意味でも新郎新婦は幸せになる責任がある。

  • ウエディングプランナーの多香子が勤めるホテルで行われる4つの結婚式にまつわるお話。

    11月のある大安の日に、4組のカップルが結婚式をとりおこなわれた。
    1組目は、双子の美人姉妹の妹と、眼鏡の奥の瞳に冷たい光がさす男性(どうやらずいぶんややこしい性格の持ち主らしい)の物語。
    この一卵性の双子である姉妹は、顔はそっくりなのだが、性格がずいぶん違うようだ。
    華やかで積極的、存在感があり仲間内の意思決定に常に関わる姉。
    子どもの頃のある日を境に、地味でおとなしく、姉に庇護される立場を甘んじて受け入れるしかなかった妹。
    どちらもこの立場を求めて落ち着いたわけでなく、そのようにふるまうことで絶妙なバランスを保ち、あたかもそれが正解であると生きてきた。
    誰よりも仲良く、太陽と月のように対となってどちらも決して欠けることなく、分かち難い2人。けれど、実際はそれぞれがお互いを強く意識し、自分が相手を出し抜き、自分こそが絶対の愛を手に入れたことを相手に突き付けたいと思っている。
    その企みは、結婚式当日に予想もしない形で実行された・・・。
    表向きの振る舞いとは違う心の奥の奥に気づいているのは、結婚相手の映一さんだけ。それは、最後に明かされるのだが。

    うーん。
    兄弟、親子の人間関係って難しい。
    いい話ももちろん多いけれど、複雑で依怙地になって、ひりひりした辛い感情を含むものも、あれこれ思い浮かぶ。
    (最近読んだ本では「ビブリアシリーズ」にもありましたね)
    なにしろ、長年にわたってじわじわと環境を変えずに既成事実化していくわけだから、何か雷に打たれてショックを受けるようなことでもなければひっくり返りにくいんだろうね。

    3組目の話に登場してくる甥っ子の真空くん。
    情報の混乱により、誤解が生じ、末端にいた彼は一人苦しむことに。
    ボタンのかけ違いからくる思い込みや勘違い、間違った方法で点と点をつなげて事実をゆがめてしまうことの恐ろしさ。
    真空くんのお母さんも妹のことを思っているからこそなんだけど。

    だんだん年をとり、敬語で話しかけられることも多くなってきて
    つい経験から決めつけてしまうこともあったと反省。
    視野を広く。知らないことの前では、謙虚にならねば。

  • 今まで読んだ辻村作品とは ちょっと違った感じの作品。
    高級老舗結婚式場で 同じ日に行われる4組のカップルのお話が時系列で 進んでいくので、読んでいても先が気になり、わくわくしながら読み進められた。
    読み終わった後の読了感は清々しく、やっぱり辻村さん好きだな~。

    人生最高のエンターテイメントである結婚式に携わる ウエディングプランナーって大変だなと思う。山井さんのプロ意識さすがです。こんなプランナーさんに結婚式を作ってもらったら素敵な結婚式になるんだろうな~。

    私的には 双子のお話が一番好き。映一さんが 素敵。あ、東くんもよかったなぁ・・

  • 辻村さんの小説は大好き。だけどまだ全部は読破してない。
    なんだろうな~センスがありますよね。
    つい最近、結婚式に招待されたばかりだから、余計面白かった。
    4組もの結婚式があったら、それだけドラマチックな内容がてんこ盛りですよね。
    双子ちゃんの話が好きかな。
    あとウエディングプランナーさんも素敵でした。

  • 4組のカップルが結婚式を行う、パラレルストーリー。
    少しだけ、交差するのがまたいい♪

    そして、結婚式の新郎新婦を陰で支える「ウェディングプランナー」
    そのような仕事を全然知らなかったが、これを機に調べてみようと思えた。

    結婚って、いいものなのだなあ~と心踊らされる作品。

    素敵です(●^o^●)

  • 今まで読んできた辻村作品は「冷たい校舎の時は止まる」「子どもたちは夜に遊ぶ」
    「ぼくのメジャースプーン」「凍りのくじら」「スロウハイツの神様」
    「名前探しの放課後」。

    この作者さんに対する私の評価は基本、「登場人物達を慈しむ作家さん」。
    まるでその目線は、神のような高さにあって母のようだ。
    しかもこのかーさんはたいへんな子だくさんで、どの作品も登場人物がてんこもり。
    しかも横軸でわずかに、それらの幾人かがつながってゆく。
    だから私たちはこの人の作品から目を離せない。

    どう成長するんだろう、何があったんだろう。
    一冊読み進むごとに顔をのぞかせる「顔なじみ」がいて、
    ちゃんと事後報告してくれるから、辻村作品にはある意味、終わりはないんだろうと思う。

    だから、この「大安吉日」1日ですべてのけりを付けざるを得ない今回の構成に、
    期待と同時に不安を覚えたのも事実だ。
    だって1日じゃ、誰も十分に成長できないじゃん?


     ところが読み終わって、かーさん、やるね?
    (すいません辻村先生、あたしよりかなりお若いですね)

     辻村作品の子供達はなんと、このわずかな間に爆発的に成長してた。
    憧れのお姉ちゃんを守る小さなナイトが、優柔不断なダメ夫が、シスコンの姉(妹?)が。

    そうしてなんだろう、この潔いばかりの前向きなケッコン讃歌。
    キモチいい!!
    とかく商業主義的だとかお約束だとか言われるけれど、
    やっぱり結婚式って大事じゃない?

    目の前のこの人が絶対に自分にとっての唯一無二であり、
    しかも自分も相手にとっての絶対じゃなきゃ、やってらんない。

    さらにそんな能天気な自己中なカップル達の思いを縦軸に、
    脇でしっかり「徹頭徹尾の完璧な脇役」に徹するプロ意識。

    そんな脇役にだって主役席をちゃんと用意するあたり、
    ここはかーさんの面目躍如といったところか。

    いろいろなところに楽しみをちりばめつつもちょこちょこっと棘のある、
    でも全体にハッピーエンドでカラフルな今回の辻村作品はなんだか、
    懐かしいこんぺいとうみたいだなって、
    いやいやもしかしたらカレイドスコープかな?なんてあたしは少し、考える。

    そうして、この本を手に取ったあなたに今好きな人がいて、
    ついでにもしもその人との大安吉日のケッコンを考えていたとしたら、
    そんなあなたを私はとても、羨ましく思う。


    いつかはあなたの王子様は、お姫様は、今のきらきらを少し、失うかもしれない。
    そんなときに胸に手を当ててこう呪文を唱えるだけでいい。
    「大安吉日にケッコンしたじゃん、ダイジョブダイジョブ」

    辻村作品、万歳。なんだこの、爽快感?
    くーっ、ケッコン式、ジューンブライド、いいなぁ!

  •  結婚式の様子を、挙式する花嫁だったり出席者だったりで、
    時間ごとに追っていく。その書き方が辻村さんらしい。
     双子が入れ替わり、新郎が気づいていないと思っていたら
    はじめからわかっていたというのが気持ちいい。
     思わせておいたのとは違う結末にもっていくトリックが鮮やか。
     細かい展開にアイデア、そして気持ちの動き方、深さ。どれも手が込んでいて
    自然でわくわくせずにはいられない。
     最高でした。

  • 最後までページを捲る手が止まらなかった。さすが辻村さん。そして映一さん、素敵すぎる。

  • 11月22日。世にいう「いい夫婦の日」
    連休、そこに大安までもが重なったその日に、結婚式場が忙しくないワケがない。
    老舗ホテルの結婚式場「アールマティ」もご多聞に漏れず、その日4組の結婚式が予定されていた。

    一世一代の賭けに出た、美人双子の結婚式。
    悪気はないのだろうけれどワガママ放題のクレーマー新婦。
    大好きな叔母が結婚してしまう、小学2年生の男の子。
    何か秘密を抱えたまま今日のこの日を迎えた新郎。
    そして、この式場で働く、一人のウェディングプランナー。
    それぞれ思惑を抱えている彼らのことを時は待ってくれず、大きなうねりのように、式が執り行われていく。

    双子の結婚式には「ヤラれたー」と思ってしまった(途中もちょっと混乱してた)し、ゴールドルームの新郎には女性として眉を顰めてしまうけれど、大安吉日の、幸せな人たちの笑顔に彩られた場所で起こった出来事。
    ウェディングプランナーさんにも自然な笑顔がこぼれる後日談。

    幸せのおすそ分けを貰ったということで、これはこれで良しとしましょう。

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