再婚生活

著者 :
  • 角川書店
3.37
  • (30)
  • (65)
  • (143)
  • (14)
  • (7)
本棚登録 : 531
感想 : 123
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048839754

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 先に読んだ「無人島のふたり」、は結末がわかっているので、読み進むほどに悲しかったが、こちらは鬱。回復されたことはわかっているのだが、そのつらい状況をずんずん読ませてしまうのはさすが。闘病を日記で綴ることは、いくら作家とはいえ相当な気力が必要だと思うが。
    身近に鬱を患う人がいるので、入院の様子などはかなり参考になった。まあ、病院による違いはあるんだろうけど。薬を飲んだ時の感じなども、リアルで伝わりやすい。
    これは絲山秋子さんの著書からも感じたこと。
    身も蓋もない言い方だけど、やはり経験している人にしかわからないのね。

  • 手に入っているものが多ければ多いほど、人の気持ちは安定するんだと、私も昔思っていた。だからこそ、前の離婚直後、通帳の残高が赤字だったところから始めて約9年、誰かに何かを貰うんじゃなくて、努力して、私が私にコツコツと恵んできたのだ。毎月の連載や根気のいる書下ろしの長編を書き、自分の身の回りの世話をし、毎月ほんの少しでも貯金をし、いくつかあった恋愛も自分から始めて自分で終わらせてきた。もちろん友人や恋人に助けてもらったことも多かったけど、基本的には何もかも全部自分で決めて、一人で働いてきた。反感を買うかもしれないが、恵まれているんじゃなくて、私が私に多くのものを恵んできたのだ。

    みなさんは朝四時から『生き物地球紀行』の再放送をやっているのを知っていましたか。こういう番組は是非とも夜八時に観たいものです。

    みなさんは早朝の三時に『徹子の部屋』を再放送していることを知っていましたか。『徹子の部屋』は是非とも午後一時台にみたいものです。

    そういえば最近あんまり「嬉しい気持ち」になることが少ないなあ、と思った。前はほんのちょっとしたことでも、すごく嬉しいと思っていたのに。

    若くていくらでも食べられたときはお金がなくて、少々お金が使えるようになると量が食べられないという人生の無常。

    気持ちを切り替えたくて、買ったばかりの江國香織さんの『号泣する準備はできていた』という短編集をパジャマのまま読む。江國さんの本を読むと、不思議と「一人でも全然大丈夫」という気になる。
    その本の中に「随分遠くまできてしまった」と主人公が思う一節があって息を吐いた。大人になれば、きっと誰でもが思うことだろう。随分遠くまできちゃったな、と。私も知らない間にこんな遠くまできてしまった。これから先、もっと遠くにいきたいのか、ここに留まりたいのか自分でもわからない。ただ、もう戻れないことだけはわかる。

    正月に気疲れして鬱になる主婦はものすごっく多いそう。大人の女性で、正月を心から楽しめている人ってどのくらいいるんだろうか。考え込んでしまったケロ。

    パブリックな場所で泣けるのは若さの特権。大人もみんな泣きたいのだ。

    ずっと私はうつになった原因は、なにか心因性のものだと思っていた。仕事上のいろいろなストレスや引っ越しや再婚で、感情のバランスが狂ったのだと思っていたけれど、そうじゃなかったと最近しみじみ思う。だいたいその「外から攻撃された」という被害者意識がまずいけなかった。私の場合、悪い体が黒い心を生んだのだと思う。浴びるように飲んだお酒が肝臓を痛めつけ、煙草もチェーンスモークとなっていたので、それは肺だけでなく体中の血管をぼろぼろにし、その上まわりの人が私の吹き出す煙草の煙をいやがっていることに気づく感受性を失っていた。悪い油で揚げたり炒めたりされたものばかり、消化の悪い肉を毎日のように口にして、中性脂肪を蓄えた。体が重くなり、心も重くなり、ますます手足も内蔵も冷え、いいことが考えられなくなった。暗い気持ちにどんどん拍車がかかり、出口を見つけられないで膨張した。
    それが私の病気だったような気がする。

    習慣は人を作る。王子は新聞をみっちり読む習慣がある。マシマロには床を磨き上げる習慣がある。母親にはラジオ英会話を聴く習慣があり、父親には長い散歩の習慣がある。なので王子は世知に長けているし、マシマロは掃除の手際が恐ろしいほど良い。母親は日常会話なら英語圏の人と難なく話せるし、父親は七十越えてもゴルフが上手い。

    昔、私は前夫に「なんでなんにも聞かないの?」と尋ねて「興味のないことを延々と聞かされたくないから」と答えられたことがある。

  • いつ寛解するか分からない闇の中で、焦りや悲しみ、悔しさが伝わってきた。直木賞作家という肩書きに相応しい人であった。今後、山本文緒が生み出す物語を読めないことが悔やまれてならない。

  • 本人曰く「ただの日記」なのにとてもおもしろく読みすすめることができました。
    「シンドイお話」なのに面白く読んじゃってごめんなさい、、って言いたくなるほどです。

    どういう人が、どういうときに読むといいのかはわかりません。
    個人的に、山本文緒さんが好き、メンタルに興味がある(私自身はメンタル強め)な私の感想です。

  • 本のタイトルにひかれて図書館で借りてみたら、思っていたのと全然違っていて、読んでいたら自分までが落ちていきそうな感じがするので途中で終了。

  • お風呂のたびにのんびりと読みすすめた。一気に読もうとすると、暗い内容との戦いになりそう。

    うつ病の日々をつづった日記で、うつのひとがこんなに文章を書いて(仕事をして)大丈夫だろうか?というくらい、ほぼ毎日綴ってある。健康な人には知りえない、うつ病中の心理と行動がよく分かる内容だと思う。
    気分がよいときに動きすぎたり、それで疲労がたまって翌日落ち込んで、さらに動けない日は「こんな日がいつまで続くのか」とさらに落ち込んで、うつ病のつらさを改めて感じた。
    時事ネタも折り込んである。秋篠宮一家にご長男誕生のニュースや、坂東眞砂子氏の子猫殺しのエッセイについての感想など。日記を書く良さも感じさせた。

  • 夫婦という葛藤。涙する心と孤独の病、鬱。あまりに小説的な魂の記録、著者3年の沈黙を破る告白日記。
    -------------
    軽いエッセイだと思って読んだら、うつ日記だった。
    山本さんが欝だとは知らなかったので、軽い衝撃。
    ただ、日常をそのままに描かれていて
    鬱の心理状態がとてもよく分かる上に、
    小説的表現で、心情がとてもキレイに描写されていた。
    毎朝毎朝少しずつ、大切に読み進めた。

    すべてに満たされているように見える人が
    満たされてないのは、
    普通の人よりも、より悲しみが深いのかも知れない。

  • うつの闘病記。

    日記風に書いてあるので、読みやすい。
    おもしろいと思ったのは文体。
    体調によって、全然違う。これだけ書き分けられるってスゴいなぁ

  • 山本文緒、伊藤理佐「ひとり上手な結婚」つながりで。王子と山本サンの結婚生活をもう少し読んでみたいと思って。ためこまないのが大事なのかなあ、と。いいたいこと言えずためこむと、お互い不調になったり、ぎくしゃくした空気がながれるくらいなら。それがまた難しいのだけど。「ほんとは自分の生活が王子に浸食されている部分があって、そのことに怒っていることを私は認めたくなかった。王子はいつだって優しい夫なので。でも、認めて、解決しなくては、体も治らないのかもしれない」(p.35)/「今夜、病院に戻りたいと王子に告げると、彼はちょっとショックを受けている感じだった。申し訳なくて内心落ち込む」(p.135)/「私は時間において、王子を疑りはじめているんだと自覚。これからの長いはずの結婚生活、それを諦めてゆくんだな、そして自衛してゆくんだと思った。振り回されないように。気持ちを乱されないように」(p.172)

  • 装丁とタイトルにふらふら引かれて図書館で借りた。他の著書は全く知りませんが再建生活のエッセイかと思ったら案外鬱。薬でなんとかしてるけど、かなりきつい薬名もで来る。
    読了せずに返却。

全123件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本文緒の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×