やさしいダンテ〈神曲〉

著者 :
  • 角川書店
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本棚登録 : 173
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048839860

作品紹介・あらすじ

腐った役人、裏切り者のお金持ち、嘘つきの宗教者。まことに「悪」は根が深い。みんなそろって地獄堕ち。ダ・ヴィンチもミケランジェロも、読んだ、学んだ、考えた。迷える時代を変えた700年前の一冊が、暴走する現代に甦る。

感想・レビュー・書評

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  • 興味はあるけれど、読むのはちょっと面倒だな…と思う『神曲』について、著者がツッコミをいれつつ解説してくれる本。

    ダンテがやばいやつというのは、なんとなく知っていたが、物語内に出てくるベアトリーチェも面倒な女だった。この面倒くささなら、ダンテ先生ともお似合いじゃないかねと思った。

    自分はキリスト教じゃないし、ダンテの信奉者でもない、むしろ冷やかしのような気持ちで読んだ結果、やはり自分の趣味ではないと感じた。

    解説本ですら、これはどういう表現なんだろうと思ったし、結局ダンテ主観・好き嫌いで人を裁いていたり、罰している様子が気に食わないと感じた。

    原典を読むことはないなと思った。
    この本自体は確かに「やさしい」ものであったけれど、途中で集中力が削がれて断念するところだった。

  • 阿刀田高先生の古典解説シリーズ。読みにくい「神曲」のストーリー全容をわかりやすいダイジェストでつかめる。
    キリスト教を背景にした「神曲」は聖書に通じていないとさっぱりわからないし、さらにギリシャ神話や西洋史などの知識も要求されるため、通読の難易度が高い書物だと思う。自分も地獄篇までは頑張ったことがあるが、以降は何度か挫折している。阿刀田高先生の古典解説ものは軽妙な文章で読みやすく、本編の全体像を把握しながら周辺の知識を仕入れることができるのでありがたい。
    再び原典に挑戦する勇気をくれた一冊。

  • 本棚にある本で唯一途中で挫折した本がダンテ『神曲』。挫折した時よりはキリスト教について明るくなったものの、まだ読めそうにないのでこっちを読んでみた。
    読んでみて、キリスト教について大して知らないからというのもあるが、ダンテの身近な話が多くてその背景を知らないから続けられなかったのだということが分かった。
    最も驚いたのは、地獄の第八層の第九の谷でムハンマドが身体を真っ二つに引き裂かれていたこと。読んでいて思わず声が出た。カイジの「それを口にしたら…戦争だろうがっ…!」を思い出した。
    イスカリオテのユダがコキュートスでルシフェルに食われているのはよく分かるが、もう2人がブルータスとカシウスなのはピンと来なかった。
    以前から「キリスト教は信じる者を救うのは良いけど、信じない者は地獄に落とすところが偏狭だな」と思っていたが、キリスト教より前に生まれた者が地獄の第一層にいるのはあんまりだと思った。しょうがないじゃん。そのくせ、旧約聖書の聖人は天国にいるのが謎。

  • 阿刀田高さんのやさしく噛み砕いた古典や神話シリーズは面白くて大好きです。本書はダンテの「神曲」。阿刀田さんの解説をもってしても、「神曲」は複雑すぎてストーリーとして面白さを感じるところまではいきませんでした。キリスト教はもとより、ギリシャ、ローマ時代の神話、それにダンテが生きていた時代のフィレンチェの人々まで登場するのだから、もうわけがわからない。こういう世界観を持って当時の教養人は生きていたのだなということは、何となく感じることができました。

  • 地獄、煉獄、天国と三階層に渡ってダンテの旅を描く。聖書に出てくる主要人物や哲学者など多岐に渡って、出てきて面白い。教養が足りず知らない人物も多々出てきたが、阿刀田高の文章が上手く読みやすく面白い。

  • 3.6。判り易く有難い。
    が、著者が最後に記していた通り、大元のキリスト教外に対する不寛容で排他的な部分にゲンナリするので夢中にはなりづらい。宗教そのものはではなく、それを自己都合で利用する傾向はどうにも好きになれんのじゃ。そういう頭で判断するものじゃないと理解っていても。

  • 神曲って、主人公ダンテが案内人に連れられて冥界を旅する話だったんだな。
    地獄、煉獄(地獄と天国の狭間)、天国と旅して、天国の1番頂点を見てお話が終わる。話の途中にダンテの友人知人や政敵なんかも出てきて、天国を案内してくれる人なんて、ダンテの初恋の人だ。当時としてはなかなかミーハーな読み物だったのかもしれない。
    私が神曲を書くならば、誰をどの階層に登場させようか、、私が死んだらどの階層に行くんだろう。。キリスト教徒ではないから、ダンテの判定だと地獄だなぁ。うーむ。
    世界の古典の神曲、いつか読みたいと思いつつ最初の方で挫折していた。叙事詩って面白さが分からないし、出てくる人の名前は当たり前だけど総カタカナ。聖書やキリスト教の知識が無い私にとって、解説が読みやすく、原典を読んだ気にさせてくれた良本。信仰するしないは別として、色々な他の宗教の主張にも興味が広がった。

  • kobo友

  • やさしくしてもらってこのレベルだとしたら、私には本物を読み解くのは不可能だと思った。
    地獄の凄惨な描写が結構続く上に、人がたくさん現れて自分のことを語る。たくさん過ぎてたちまち分からなくなる。
    キリスト教にも造形が深い訳では無いので、天国編でさえかなり厳しい。祝福された世界なのは伝わってくるが、三位一体とかの概念がそもそもわからないので。
    そういう意味では地獄の方がわかりやすいかな。キリスト教の信仰に関係ない悪は割と理解が出来た。
    逆に仏教について学んでみたい。

  • やさしくないダンテだった。よくわからない。とうてい原典は読めないだろう。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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