- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048850155
感想・レビュー・書評
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奇跡に近い面白さの爆笑エッセイ集だった、あの『板谷バカ三代』の続編。正編刊行後の8年間に板谷家に起きた出来事を中心にしたエッセイ集である。
私はゲッツ氏と同じ町内に住んでいるご近所さんだし、タメ年(1964年生まれ)でもあるので、同業者として氏に強いシンパシーを抱いている。
……のだが、この本はあまり笑えなかった。正編に比べて、笑いのパワーが半減してしまった感じ。といっても、ゲッツ氏のことだから標準ラインは軽くクリアしているのだが、正編があまりにも面白かったから、比べてしまうと見劣りがする。
いや、そもそも、正編『板谷バカ三代』と今回の続編は、本としての「ベクトル」が違うのである。
というのも、正編からの8年間で板谷家には悲しい出来事が立てつづけに起きたので、ゲッツ氏の文章をもってしても、単純明快な爆笑エッセイにすることはとてもできなかったのだ。
8年の間に、「板谷バカ三代」の一角である「バアさん」(ゲッツ氏の祖母)が亡くなり、正編の重要キャラの一人「ブカのおじさん」(ゲッツ氏の父「ケンちゃん」の弟)が亡くなり、飼い犬の「スキッパー」が亡くなり……。
しかも、当のゲッツ氏も脳内出血を起こして闘病生活を送り、最後には板谷家を支えてきたゲッツ氏のご母堂がガンで亡くなるのである。
これでは、『板谷バカ三代』のような爆笑エッセイにしろというほうが無理な相談だろう。
そんなわけで、今回の本はいままでにない「泣けるゲッツ板谷」となっている。
前半には笑えるエッセイもあるのだが、後半になるほどだんだん切ない内容になっていき、お母さんの最後の日々が綴られる終盤は怒濤の泣き展開となる。いつものゲッツ板谷のエッセイに、リリー・フランキーの『東京タワー』のようなテイストがミックスされた感じ。
8年前の『板谷バカ三代』は、ケンちゃんやセージたちに己のバカさ加減を思い知ってもらうために書いた。そして、今回の本は、オレがオフクロの死を乗り越えるために書いたのだ(「あとがき」)
これは、正編『板谷バカ三代』を読んだ人だけが読むべき本だと思う。本書だけを単独で読んでも価値がわかりにくいからだ。逆に、『板谷バカ三代』に大笑いした人が読めば、泣けることまちがいなし。
とはいえ、もちろん笑えるくだりも随所にある。セージ(ゲッツ氏の弟)の友人「ベッチョ」のナイスキャラが光る一節を引こう。
《(ベッチョが)TVに映っている石原都知事を見て、「この人って、家で鷹を飼ってるんスよね。……エサ、何やってんスかね?」などと真顔でオレに尋ねてくるのである。そう、“タカ派”をそのまま解釈してる、相変わらずのバカぶりなのだ。》詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一息に読み終わりました。「やっぱし板谷バカ三代」、2009.2発行です。パワフルです。面白いです。でも、ブカのおじさん(享年64)、バアさん(享年92)、お母さん(享年67)、が亡くなり、哀しみの板谷家でした。
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著者・ゲッツ板谷の家族とその友人の間で起こる強烈なバカのドミノ倒しが挙げ連ねてある本。前作“板谷バカ三代”の続編である。前作が腹を抱えて笑えるほどの本であったのに比べて、笑える箇所は多少減った。しかし、それでも常人が集まった家庭では起こりえない事故と会話には笑わされた。板谷家のバカのゴールデンラインである祖母・父のケンちゃん・弟のセージがそれぞれ年をとり、より痛々しさが感じられる。
前作の底抜けに明るい話と比べると、ブカのおじさんやおばあさんの死、ベッチョの引きこもりやスキッパーの死、ゲッツ板谷本人の脳出血にお母さんの闘病、そして他界とかなり重い内容が多かった。前作のように何も考えずに笑えて、自分よりももっとバカが世の中にいるんだという明るい気分で読める本ではなかった。
でも面白いし、少しだけ泣けるしでいい本ではあると思います。 -
前作と同じテンポの内容かと思えば、内容は亡くなった人たち中心のしっとりムード。随所に板谷家のバカっぷりは出てくるんだけど、どれもプチエピソードに過ぎず、主題も主題なので笑える箇所はほとんどなし。これはこれで良くまとまった本ではあるんだけど、続編とするとどうかと思う。少なくとも「面白かったからまた読もう」とは思わない。
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うーーん。
抱腹絶倒とはいかなかったなぁ。
常識からは考えられないバカっぷりを炸裂させているけれど
基本的には優しい人たちなんだと思う。
それに家族の絆とか友達とのかかわりとか
言葉にするとちょっとクサイ感じだけれどそういう部分は
すごく濃くて温かいものも感じた。
でもなぁ。。。
面白いのか? -
おバカさん、というよりもホントに作者さんの言うとおり『モンスター』と言ってもおかしくない、特殊な世界観で生きている人が、一人どころが大勢出てきます、っていうか作者さんの家族半分がこんな人たちです(笑)。
が、今回は笑のみならず、人なら誰もが通らなければならない出来事により、涙する箇所が多々あります。
家族って基本、いいもんだよなぁ、と読後には思わされる本です。 -
久々にゲッツ読みたくなって。
笑えるけど泣ける・・・ -
下らない本を買うのはもうやめたつもりでしたが、本屋でゲッツ板谷さんの新刊を発見し、気が付いたら買ってました(-.-;
下らなさも板谷さんくらいまで行くとゲージツの領域ですな・・・
声出して笑ってしまいます。
ただ、板谷さんの本の愛読者には悲しい内容かもしれません。
愛読者にとっても思い出深い人たちの逝去が語られていますので・・・ -
泣くぞ、これ。しかしサイバラさん大変だったなぁ。