昭和二十年夏、女たちの戦争

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著者 : 梯久美子
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年7月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048850667

昭和二十年夏、女たちの戦争の感想・レビュー・書評

  • いったい、あの菩薩のような笑みを浮かべた知的な涼しい顔をして、どうしてこうも重いテーマの本ばかりをさらりと出すのでしょうか、梯久美子は。

    太平洋戦争での日本の死者310万人のうち、非戦闘員、銃を持たない民間人・市民の数はその四分の一に達するということは、たとえ疎開をしようが防空壕に入ろうが、常に死と隣り合わせにあって恐怖の中にいたことは間違いありません。

    でも、戦争中は不倫が多かった、妻子を疎開させた男性と、都市に残って勤労動員させられていた独身女性との恋愛があちこちでみられた、などという話は驚くと同時にほっと胸をなでおろしたくなります。なぜなら、たしかにそのとき十代、二十代だった彼女たちが一番きれいで輝いていたときに、この国は戦争の真っ只中だったわけですが、不倫であれ何であれ、溢れる恋愛感情、押し寄せる性愛感情は、今の時代と少しも変わりない人間的な欲望としてたしかにあったということを知ったからです。

    この本は、読んでいて、近藤富枝(元NHKアナウンサーのちに作家)、吉沢久子(生活評論家)、赤木春恵(俳優)、緒方貞子(元国連難民高等弁務官)吉武輝子(日本最初の女性宣伝プロデューサー)の方々の、自らの過ぎ去った65年前の鎮魂歌などではけっしてなく、今も振り向けばすぐそばにある生の証という感じがしました。

    本当に戦後65年ということは、残念ながら、間違いなくますます体験なさった人たちが少なくなって来つつあるということで、あの戦争の何から何まで、一つも漏らさず残さず次代に伝えていくという貴重な仕事をなさったと、深く敬意を表します。



    この感想へのコメント
    1.yujiro (2010/08/11)
    薔薇サン はじめまして。
    梯 久美子って今まで知りませんでした。
    戦時中に青春時代だった人は今80歳前後でしょうか?
    本当にご苦労されたことでしょうね。
    ボクは終戦の時に生まれたので、直接戦争は知りませんが
    亡くなった両親から引き揚げ時の話しはよく聞かされました。 国は国民を大陸に遺棄したんですね。
    二度と戦争はしてはいけないですね。

    2.薔薇★魑魅魍魎 (2010/08/13)
    私も彼女は昨年出た『昭和二十年夏、僕は兵士だった』を読んだのが初めてでしたが、人となりはその前からNHKの週刊ブックレビューで見聞きして信頼できる人物だとは思っていました。
    本当に、戦争はやってはいけないこととしての認識を持つことと、現実に世界各地で行われている戦争に対してと日本で起こそうとしている勢力に対抗するようにもっと注意を払い反対の声を上げる必要があると思います。

  • 戦争~終戦時、若い世代だった5人の著名人の女性たちがどう過ごしていたか。
    男性版を先に読んでいたけど、こちらは対照的に、色のついた美しいイメージ。
    この女性たちは本当に強い。恵まれた環境の方も確かに混じってはいるけど、それにしてもこの芯の強さ、信じるものの強さには、ただ溜め息をつくだけです。
    心の傷を受けつつも、必死で(世間と)戦ってきた印象の吉武輝子さんの章が、一番心に残りました。
    おそらく全ての方がもっと嫌な思いも抱えていたのだろうけど、前向きになってそれらを払拭していると感じる点が、より綺麗に見せるんだろうな。

  • 916吉武輝子さん性被害

  • 10代の終わりから20代の独身女性達は、あの戦争時代どう生きてきたのか、銃後の女性達に青春はあったのか? 近藤冨枝(元NHKアナウンサ)、吉沢久子(家事評論家)、赤木春恵(女優)、緒方貞子(JICA理事長),吉武輝子(作家・評論家)の5氏の終戦時の貴重な話しを本にしたものです。

    昭和20年生まれのボクは子どもの頃よく母親から
    朝鮮から引き揚げの時の話しをきかされた。
    中国の遺棄孤児は残留という名で誤魔化しているが
    朝鮮でも同じことはあったと思うと、赤木氏の引き揚げの話には身につまされた。

    吉武輝子氏の「終戦翌年の春、青山墓地でアメリカ兵から集団暴行を受けました。14歳でした。母にだけは言ってはいけない。そう思いました。」というくだりには驚いた。

    5人ともそれぞれの分野で活躍されてあるが、青春時代を戦時下で過ごされたことは辛かっただろう。

  • 良かった、とにかく読んで良かった。

    終戦のあの夏、昭和二十年八月に青春時代を過ごしていた著名人への
    インタビューを元にまとめられた一冊。
    近藤富枝、吉沢久子、赤木春恵、緒方貞子、吉竹輝子の各氏が語る
    言葉は、玉音放送を聴いて悲しいとか、そんな気持ちではない。
    一番印象的だったのは、近藤富枝氏が家に帰ると、
    窓の遮光幕を取り払い、浴衣姿で縁側に涼んでいた……
    庶民はそんなものだったのだろう。

    一方で、吉竹輝子氏のように、戦後民主主義の象徴である
    普通選挙の数日後にむごたらしい目に遭う女子学生もいて……

    あらためて、平和の時代に感謝する。
    そういえば、昨日、赤木春恵氏が舞台生活から完全引退をしたという
    ニュースを観た。
    あの方も、あれだけのご苦労をなさって、今があるのだと、見方が変わる。

    平和な時代に生きられる幸せ……しっかり生きなければ。

  • 秀逸のインタビュー集。5人5色の戦争体験に、ひとつの筋を通して、ぶれることなく、当事者から言葉をひきだしている。その技、筆力もさることながら、60年前の戦争とはなんだったのか、ずっと考え続けているインタビュイーの力強い言葉に圧倒される。必ず読みたい本に追加。

  • 近藤富枝さん
    女性で働いているなんてすごいなと思ったけど、お茶汲み、飯炊きって言われてたなんてやっぱり時代だな。戦地から男の人が帰ってくるから仕事を辞めさせられたなんてひどい話だ。

    吉沢久子さん
    一語一語、玉音は心にしみわたり、涙が頬を伝ふ。今後ほんとに一所けんめいに、とにかく日本人同士の争ふことのないやうに働かねばならぬこと、胸にしみて思ふ。働かう。

    吉武輝子さん

    人間というのは、何があっても、そこからどう生きるかで価値が決まる。

  • 目次を読んだだけで、鳥肌が立った。
    そして「きれいなもの」に飢え、「食べ物」に飢え、「愛情」に飢えた時代。
    飢えていたからこそ、
    戦後、手に入れるために必死だったのは男性以上だったのかもしれない。
    今の時代にないのは、私の心の中にないものは、「本当の飢え」かもしれないと思った。
    だからなんでも手に入るようで、実は何も手に入れてない。
    与えられたもので満足し、自分では何も掴んでない。
    そう思った。
    読んでよかった。

  • 銃を手に生きるか死ぬかという思いで戦うのも戦争だし、残されてその生活を守るのも戦争だろう。昭和20年終戦前後、若い女の人たちは何をして、どんな思いで過ごしてきたのか、女優、アナウンサー、評論家など立場の違う人たちだが、くじけず希望を持って明日を見ていた。なにより彼女たちは若かったのだから。私たちは、体験した人たちの話を聞くより戦争を知るすべがない。機会がある毎に素直に耳を傾けたい。

  • 素晴らしい。是非たくさんの人によんでもらいたい。
    男性版より、戦中戦後をどう生きるかという事に主眼をおいた構成に、勇気付けらる。

  • 戦争中も女の子は女の子。

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昭和二十年夏、女たちの戦争の作品紹介

わたしが一番きれいだったとき、わたしの国は戦争をしていた。『昭和二十年夏、僕は兵士だった』の著者が描く。10代、20代の女性たちの青春。

昭和二十年夏、女たちの戦争のKindle版

昭和二十年夏、女たちの戦争の文庫

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