13歳からの反社会学

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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048850759

感想・レビュー・書評

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  • 相変わらず,チャラい表現の中に,ズバッと社会をエグる鋭さがあります。批判的思考を研究している心理学者の本よりも断然有効だと思います。


    *****
     数字をゴールと考えるのが,そもそものまちがいのはじまりなんです。数字はものごとを考えるためのスタートラインにすぎません。表面上の数字だけでものごとを単純に判断するのは,それこそ無意味です。数字が出てきたら,必ずその意味と中身を検討しなければいけません。(p.16)

     データを見ようとしないバカは,スタートラインにつかないうちから勝手な方向へ走り始めちゃってます。データしか見ないバカは,データを出せばゴールに着いたとカン違いしちゃってます。(p.17)

    常識を破るアイデア(ボケ)を出して,それを常識(つっこみ)で検証する。こどものように自由に発想し,オトナの常識で検証する。この繰り返しがアイデアを磨いていいものにしていくんです。(p.40)

     本や雑誌やネットには,お金もうけの法則と称するものがたくさん書かれてます。それが本当だったら読んだ人は一人残らずお金持ちになるはずですが,実際にはそうなりません。なぜなら,その法則が発表されるころには,すでに社会の状況が変わっていて,法則が役に立たなくなっているからです。(p.53)

     どれだけものを知ってるかは,たいして重要な能力ではありません。知らないことをゼロから自力で調べられる能力のほうが,よっぽど大事です。(p.57)

     知識か教養かなんて包装紙の違いをうんぬんしてもしかたがないじゃないですか。一皮むけば,どちらも単なる情報です。大事なのは,欲しい情報をどうやって探すか。そしてその情報を,現実の自分の人生でどう活かすかってことですよ。(p.60)

    英語ができる人,ではなく,英語もできる人,にならないとね。(p.73)

     勉強したことをきちんと理解できて,アタマの中が整理されれば,整理された美しいノートを作れる。それだけのことなんです。アタマの中がごちゃごちゃしてる人には,美しいノートは作れません。美しいノートは,習ったことを理解しているという結果であって,原因ではありません。だから,美しいノートを作れば成績がよくなって東大に行けると考えてる人がいたら,それはまちがっています。(p.124)

     肝心なのは,決してだれもウソはついていないという点なんです。なのに,解釈の違いや数字の切り取りかたによって,いろんな結果が導き出せてしまう。これが,アンケートのおもしろいところだし,コワいところでもあるんです。(p.134)

     アンケートというのは基本的に,自分に都合のいい結果だけが発表されるものなんだと思っててください。自分たちにとって不利な結果が出たら,調査そのものをなかったことにして,闇に葬るって選択もあるんですから。(p.152)

     なにかの欠点や問題点を見つけ出すだけの知能はあるのに,そこから先を考えようとしない。思考が停止したままの,残念な人。
     問題点を指摘するだけなら凡人。問題を正しく分析できれば秀才。問題解決の具体的なアイデアを出せるのが天才です。(pp.240-241)

     たった数例の現象だけでものごとの原因や結果を決めてはいけない,というのも,たしかに統計学の方法論としては正解です。しかしその正しいはずの方法論が,逆に被害を拡大させてしまうこともあります。
     なに? わが社の製品を食べた人が中毒症状を起こして入院した? 一緒に他のものも食べたんだろ? だったら,わが社の製品が原因だと決めつけるな――
     え? わが社のクルマが走行中に,部品がはずれて事故を起こした? たった数件だろ? もしわが社の設計に問題があるのなら,何万台も生産してるクルマが全部不具合を起こすはずじゃないか。数件なら,それは偶然にちがいない――
     はぁ? わが社の薬を使った患者が副作用で死亡? たった一例ならそれは個人の体質だ――
     さまざまな業界で,まったく同じ論理が,いまだに使われてます。偶然かどうか,調べることくらいはできるのに,やらない。被害者が大勢出てからようやく,証明されたので心よりおわびします,って頭を下げるんです。論理的に正しいはずのことが,人のいのちを奪うこともあるんです。(p.268)

    いつの時代にも,道を切り開く人と,できた道をついてくる人がいます。不思議なことに,文句をいうのはあとからついてくる人たちのほうなんですけどね。(p.274)

  • 面白かった
    大人が読んでも十分楽しめる本

    「批判よりも感想を」に賛成です

    ご気分レビューの例
    主張にブレがない ⇔ バカのひとつおぼえ
    新境地を切り開いた ⇔ 迷いが見える
    いいとこどり ⇔ どっちつかず
    論旨にキレがある ⇔ きめつけが多い
    誰にでもわかりやすい ⇔ 大衆に迎合している
    新進気鋭の著者が頭角をあらわした ⇔ 未熟な青二才が的外れな理屈をこねただけ
    円熟 ⇔ 耄碌

    あはは、言葉をこう使うと一見賢く見えるという一例です

  • パオロさんは、至極まっとうなことを、面白く書くことができます。無茶苦茶なことを面白く書く人や、まっとうなことをつまらなく書く人は多いので、非常に貴重な方ではないかと。

  • 「14歳からの社会学」を読む前に「13歳からの反社会学」を!

  • タイトルには「反社会学」と書かれているものの、 
    まっとうな意見が書かれていたと思います。 
    1つの事象について1つの情報を鵜呑みするのではなく、 
    いろんな面から考えましょう。 
    そして、批評するだけでなく行動しましょう。 
    ということでしょうか。 
    ・社会に出たら、理屈こねるだけでなく、行動しないと評価されません。 
    、、、確かに! どう行動するかが問題だ!!

  • もうちょい文章があると嬉しい三十路ですが13才向けなのでそこは求めたらいけない。

    ウラをとれ!

  • 作者の「パオロ・マッツァリーノ」さんて、何者なの!?
    読んでいる間中、気になりっぱなしです。どうも、イタリア人でないのはわかったのですが、
    大事なことは、簡単に手に入る情報を鵜呑みにして知ったかぶった行動はしないこと!常に、自分の体をつかって調べて、行動すること!大変勉強になりました。4

  • 中学生から面白いから読んで!とおススメされました。確かに!なるほど~という話がたくさん。ブクログレビューの★の評価方法も考えないとね。

  • 図書館とインターネットを使った調べ方とか、資料データの読み方とか、の基本を押さえつつ、ちょっと背伸びしてすぐに陰謀説だのを嘯くかわいい中学生にはぴったりかも。読みやすさとおもしろさ満点。(i44)

  • 一種の息抜きとして読む程度ならよいかも。

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著者プロフィール

パオロ・マッツァリーノ(Paolo Mazzarino):日本文化史研究家。著書に『反社会学講座』『続・反社会学講座』『誰も調べなかった日本文化史』(以上、ちくま文庫)、『読むワイドショー』(ちくま新書)、『「昔はよかった」病』(新潮新書)、『サラリーマン生態100年史』(角川新書)、『思考の憑きもの』(二見書房)などがある。

「2023年 『つっこみ力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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