ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2012年6月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048866583
感想・レビュー・書評
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プロローグ『王様の耳はロバの耳』(ポプラ社)
2010/11.23最近のできごと 篠川文香
第一話 ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』(集英社文庫)
「ヒトリ書房」という古書店の店主井上に戸塚の古書会館で栞子は「お前もあの母親の娘だから」落札した本の中から『たんぽぽ娘』を盗んだだろうと言われます。
大輔は「栞子さんだったら1冊といわず全部盗むはずだ」といい栞子をかばいますが、栞子は見事に真犯人をみつけだします。また、井上は「栞子は母の智恵子と連絡を取り合っている」ということを大輔に教えます。
『たんぽぽ娘』の結末だけが書かれていないので、結末が知りたいと思いました。
第二話『タヌキとワニと犬が出てくる絵本みたいなの』
大輔と栞子は常連客となった坂口夫妻の妻、しのぶに探求書の依頼を受けます。それはしのぶが子供の頃読んだ1970年代の後半、新刊書店に並んでいた児童書でしたが、ヒントをきいても今回栞子は、いつものようにはひらめきません。
そして、しのぶと仲の悪いというしのぶの実家を訪ねてみますが…。
最後は文香が持っていたキーホルダーであっけなく謎は解け、しのぶが本を探していた本当の理由がわかり、実家と仲直りします。
第三話 宮沢賢治『春と修羅』(關根書店)
栞子の母の同級生の玉岡聡子から父の死後「部屋から盗まれた本を取り返してほしい」と宮沢賢治の『春と修羅』の初版本を探してほしいと依頼されます。
「犯人はおそらく兄か兄嫁なので、警察には届けなかった」といいます。栞子は情況から判断して、二人は犯人ではないと推理しますが、兄嫁のアリバイを調べるために聡子の甥の中学生の昴に会いますが…。
またしても栞子は真相解明して『春と修羅』は戻すべき人の元へ返ってきます。
真の本好きな人というものは(ここでは栞子と昴)文章(この場合は詩)全部を暗唱しているものなのだと感心しました。
エピローグ 『王様の耳はロバの耳』(ポプラ社)・Ⅱ
2011/3.18今日のできごと 篠川文香
(ここだけネタバレしていますのでこれから読まれる方は気を付けてください)
『クラクラ日記』がカギです。
文香が持っていました。
母の智恵子の情報源がわかりました。
さて、智恵子はどういう風に物語に絡んでくるのでしょうか。次巻も楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
第三巻の白眉はロバートFヤング「たんぽぽ娘」です。今では復刊されているので手に入り易くなりました。関連書でお薦めは、梶尾真治「クロノス•ジョウンターの伝説」です。「たんぽぽ娘」が重要なモチーフになった傑作です!
そして「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」も良いです。今ではこの本も、復刊されてます。中身は、有名なあのキャラクターですよ。 -
あれよあれよというまに3巻も読み終わってしまいました。なんだかもったいない!!それくらいにあっという間に読めてしまいました。なんで面白いんだろう!
前にも書いたけれど、コナン・ドイルを読んでいるように気持ち良い心地よさを感じています。 -
栞子さんの妹の日記から始まる3巻。
王様の耳はロバの耳の床屋のように
誰にも言えない言葉を、穴にぽつぽつと
落とすように綴っていく文香ちゃん。
チェブラーシカや大好きな宮沢賢治が
出てくるのもうれしい!
栞子さんと大輔くんはお酒を飲みに
行くようになったりと、少しだけは進歩?もありつつ。
栞子さんが「八海山」が好きなのもうれしい~♡
ずっと消息さえ掴めないお母さんのはずが
栞子さんの現状を知っている様子で、
その謎は最後にインパクトを持たせつつ。
深い深い秘密の穴のその先が楽しみ! -
王様のみみはロバのみみ、口が軽い、言わずにはいられない。オチがこんなふうにくるとは、予想できず。
1たんぽぽの娘
幼馴染の古書店仲間。栞子の母、智恵子。謎は深まっていくように思える。母の仕事つながりでは伏線ができる。
滝野蓮杖
2チェブラシカ
母娘の断絶⇒解決の糸口を示したかったのか?
妊娠という結果は予想できたので、良い結果であった。
川端ミズエ
3春と修羅
母の友人と、母に似る娘、栞子。話の展開が軽快であるが、粗が見えなくなるので良い。とてもよく宮沢賢治の研究がされていると感じた。ヒントの設定も面白い。
玉岡聡子 一郎 小百合 昴
終章
母智恵子に状況を知らせていたのは妹であった。そして、探していた文庫本をも持っていた。父からの預かり物である。
次作に期待するが、もう十分パターンがわかったような。 -
大好きな宮沢賢治の回があるのが楽しかったです。
しかしあれほど素晴らしいのに生前は評価されなかったったって悲しい事ですね。
栞子さんのお母さんの秘密も徐々に明らかになってきていよいよ登場もちかいかもしれませんね~。楽しみだ -
序盤は、原作が気になる話。
中盤は、哀楽あるバラエティ色の強い話。
終盤は、これぞビブリアの集大成といわんばかりの古書ミステリー。
原作を知りたくなるのが、この小説の魅力。それが色濃く出ているのが、序盤と終盤。
特に序盤は、それありきというところもある。
中盤は、物語としての完成度が高いように感じた。こういう形態の話も好きなので、是非またお願いしたい。
そして終盤は、まさにこういう話が読みたくてビブリアを買い読んでいるといっても過言ではない!と言いたくなるほどの読み応え。
テーマとなる古書も良かった。
そしてプロローグとエピローグ。
短いながらも前後合わせて、実に筋道の通った魅力あるエピソード。
これを本編の前後に挟むことで、双方の魅力が更に増していると感じる。
本巻もまた根幹に一つの筋を立てて散りばめられた話達。
短編集のようでありながら、ひとつの長編としての形がしっかりとある実に素晴らしく愉しい小説。
前回からの謎にまたひとつ近づき、ワクワクドキドキを掻き立ててくれる。 -
3巻もよかった。謎解きも、いつも想像の上をいくところまで、栞子さんは読み解いてしまう。本を通して人間関係を修復してしまう。いつか栞子さんはお母さんに会えるんだろうか。文香のメールをお母さんは読んでいるみたいだけれど、きっと一筋縄にはいかないんだろう。次巻を楽しみに待とう。