東京バルがゆく 会社をやめて相棒と店やってます (メディアワークス文庫)
- KADOKAWA (2016年11月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
- / ISBN・EAN: 9784048924405
作品紹介・あらすじ
大手メーカーの正社員の座を捨て、独立を決意した貝原。始めたのはカフェ兼酒場、スペイン風のバル。それも移動屋台という意外なものだった。
大都会東京は24時間眠らない。そこで暮らす人々は多種多様、思いがけぬ出来事に遭遇することもある。でも、出会いは一期一会。貝原は青年ならではの純朴さで客に振る舞うのだ。料理と酒とちょっとだけおせっかいを添えて。
なんとかなるし、明日は変わらずやってくる。そんな気持ちにさせてくれる、大都会のささやかな出会いの物語。
感想・レビュー・書評
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ウツツノバル。店名にそんな意味があったとは。最後にびっくりな情報だった。
それまでは脱サラしてキッチンカーを開いた貝原くんのお話。突然、幼馴染の阿南くんが現れて、いつのまにか相棒に。貝原くんの脱サラの流れもなんだかなーと思っていたけれど、店名に繋がっていた。
そして脱サラではないければ、独立した部長と元同僚。悲壮感が伝わってきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
出てくる料理がどれも美味しそうで、とにかくお腹が減ります。
夜の23時頃に読んでしまって、思わず冷蔵庫から卵を取り出してオムレツを作ろうかと逡巡した位。
とは言え料理本ではありません。
エリートサラリーマンが脱サラしてバルを開き、行方をくらましていた友人と手の届く範囲で困っている人を救うお話です。
夢をテーマに書かれたと似鳥さんが仰っていたように、夢を追うとはなんなのか、が軽めに描かれています。
最初のエピソードのすれ違う恋人のお話はどことなく映画の『花束みたいな恋をした』を彷彿とさせて切なくなりました。(あれ程酷くはないんですけれど)おい、勘弁してくれよ!と思っていたら最後に天を仰ぐ羽目に。
2番目のエピソードは実力があるのに道化のヒール役を甘んじて受けているプロレスラーのお話。
息子とプロレスに対する愛の狭間で揺れる葛藤に、頑張れ!と応援してしまう。
途中軽いミステリ要素もあって読後感も爽やかでした。
と言ったように様々な形で各人の夢を追う姿が描かれており、非常にさくっと読めますので少し疲れた時や重たいものを読んだ後などにお勧めです。
最後は主人公貝原の夢の正体が明かされます。
そしてまた呟く。おい、勘弁してくれよ!
ずしんと残るお話ではないですが、ほんのり照らしてくれるランプのようなお話の数々でした。 -
正社員を辞めて、移動式の店を経営する事を
決意した主人公。
そこに、ふらっとやってきて居付いた友人。
彼女オリジナルパエリア、エビのアヒージョ
スペイン風オムレツ。
それ以外にも、なかなか美味しそうな食べ物が。
お店ものとして、そこも重要ですが
軸はそれについての謎。
解決するのは、居付いた友人の方ですが
もうちょっとヒントくれ! という主人公の気持ちが
非常によくわかりますw
最後だけ、主人公は自力で解いてますが。
そしてなぜこんな形の店を開くことにしたのか、も
最後にはわかるようになっています。 -
2016年11月メディアワークス文庫刊。書下ろし。シリーズ1作目。バルっていうの、初めて知りました。オーナーの貝原と幼なじみで、ミステリアスな阿南のコンビが移動販売のバルをやりながら、バルに関わるお客の人生に関わっていく、人情グルメなお仕事小説です。あっと思う謎解きもあって、それなりに面白かったです。軽いお話でした。
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良き読書でした。ホロリと。
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・・・続くの?
貝原の話は良いけど、阿南はこれで終わって良いのかな?
アヒージョとパエリアが食べたい。 -
「魚介のパエリア」
記念日にどうしても作ってあげたいパエリア。
自分一人ですべて考え、相手の気持ちなどを考えず結論を出すのは相手にとって失礼では。
彼もこの話を彼らから聞かなかったら、こんな結末にはなってなかっただろうしな…。
「海老のアヒージョ」
息子の虐めを知り本気で向かった勝負。
どんな状況であれ、自分の子供が虐められている理由が自分であったらとてもショックだろうな…。
あの社長は、良くも悪くも経営者としての素質はかなりあるのではないだろうか。
「スペイン風オムレツ」
たった一文字の違いで変わってしまう食べ物。
自分の事をコケにされたからといって、相手を貶してはいけないだろう。
口車に乗せられたとはいえ、彼も自分のブログがどれだけ多くの人に影響を与えるのか少しは考えて記事にすべきだよな…。 -
訳あって会社を辞めた俺とこれまた訳ありの相棒がキッチンカーでバルを営業中。訪れる客もまた訳ありで…ほろ苦く心に響くラスト。