からくさ図書館来客簿 第六集 ~冥官・小野篁と雪解けの歌~ (メディアワークス文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048924924

作品紹介・あらすじ

冥官・小野篁が京都の一角に「からくさ図書館」を構えてから一年。
“偽書”を紐とき“道なし”を天道へ導く。そんな篁たちの役目は、現世にも天道にも豊かな縁を結んでいた。
 愛弟子・時子が自らの成長の証と向き合うなかで現れた“道なし”は、伊勢神宮に仕えた最後の斎宮・祥子内親王。
 時子が篁に提案したのは、からくさ図書館に集うお客様の力を借りる方法で……。 
 ひと巡りする季節。長い時を越え、時子が篁に贈る歌。
 二人は、かけがえのない春へと歩き出す――。
 悠久の古都で紡ぐライブラリ・ファンタジー、第六集。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ6巻目にして最終巻。
    からくさ図書館で過ごした1年のあいだに、時子は冥官として大きく成長しました。
    いつしか篁を動揺させるほど大人びた表情を見せるようにもなった彼女がたどり着いた答えは、意外でもあり、でも心から祝福したいと思えるものでした。

    これまで、自然の彩り、人々が受け継いできた手仕事やお祭りを印象的に描いてきたのは、このラストシーンのためだったのだな、と思います。
    こうして人は日々を過ごし、時を重ねていく。
    そして、その傍らに大切な人がいることで、さらに輝きを増して感じられるのです。
    季節の移ろいの尊さと、シリーズが終わってしまう寂しさがまぜこぜになった気持ちで読了。

    本編で引用されている河野裕子の短歌が印象的でした。
    特に脱皮の歌は、がんばらなきゃいけないここぞというときに大きなパワーをもらえそうな生命力にあふれています。
    今度、歌集を読んでみたいと思います。

  • うわーっ‼そういう終わり方なんだ(*´∇`*)友人から全巻借りて読み進めるうちに、いつの間にか大好きなシリーズになっていただけに、終わってしまうのが寂しい(._.)でも読んでいる間は、からくさ図書館に居るような素敵な時間が過ごせた(^-^)

  • からくさ図書館6作目。

    このシリーズに抱いていたほんのりとした不満は、
    篁と時子の仲が進展しないことだったらしい。
    最後のこのお話では、冥官を終えた千二百年後に、
    共に人として生まれ変わる約束ができて良かった。

    シリーズの最後らしく、今までの登場人物が再登場したし、
    時子が道なしを取りつかせて、
    その思いを遂げさせると成長してたし、
    術の謎も解けたし、
    良かった、良かった。

  • 最終巻。2人が選んだ道に感動した。

  • 「椿小町」
    未完成の木像を完成させる為。
    長年あの辺りのみを彷徨っていたのであれば、他の官吏に見つかったりしなかったのだろうか。
    彼が持つ彼女への想いはとてつもなく大きい事はよく分かるが、あそこまでいくと流石に変人の域を超えているだろうな。

    「餅花びより」
    正月を探して。
    自分の身に何が起きたのか理解できないまま、何年も彷徨い続けるのは怖かっただろうな。
    本当は両親に会いたかったろうが、まだ生きているかも分からないからな…。

    「ふたりの斎王」
    最後の斎宮として願う事。
    これまで必ず行ってきた事を、自分の代で終わらせてしまう事は無念だったろうな。
    時代の移り変わりゆくタイミングで生まれ育った人たちは、思うように生きれず苦労しただろうな。

  • シリーズ六冊目最終巻。
    冥府の官吏である小野篁が、現代の京都にからくさ図書館という私立図書館を構えて一年後が舞台で、この世に未練を残した道なしの未練を叶え、天道に送り届ける話が短編連作で書かれている。
    今作はラストなので、今までのシリーズで知り合った人たちと協力して行うイベントの話と、時子と同じく斎王だった皇女の話がまとめられ、それが3編に渡って書かれている。
    今後の2人の進む道も書かれ、よくある安易な終わり方ではないのがよかった。

  • 季節が一巡りした「からくさ図書館」。
    教え子とその師の関係も一層深まり.......と言っても単純に男女の仲になったわけではない。
    幾度もそれを匂わす記述は記されていたが、理性的で、そして誰よりも弟子を愛した篁は本書の中でこう答えている。
    「しかし、私の立場であの人に、男女の関係になろうと持ちかければそれは、さなぎを裂くような酷な行いではないかと」。(147頁)
    この言葉が出てきた章では、実在の歌人、河野裕子の歌が引用される。

    『脱皮とは 一気におのれを裂く力 背をたち裂きて 蝉がおのれ生む』

    はっとする。
    自ら自らを包んでいたものを破りさる力に、旅立ちの、自立の力強さを感じる。

    『ふたりの斎王』の章ではビブリオエリアという耳慣れない言葉が登場する。
    ビブリオバトルという言葉は知っていたが、「バトル」は私は好きではなかった。
    大好きな本を競わせるのが嫌だったのだ。
    ただ単に、これいいな、勧めたいな、知りたい、教えて欲しい、そんな同好の士のために開かれたのが、このビブリオエリア。
    実際にここで紹介された本に私は心動かされたし、実際に検索している人もいたようだ。
    さて、この章ではその他に南北朝についても触れられている。
    斎王という制度に翻弄された人々の心残り。
    それを昇華させたのは、「心残り」を同じように抱えた、同じ痛みを知った者だった。
    心と心のつながりを経て、彼らは新たな道へ歩き出す。
    その道のりに、一路平安と祈りの言葉をかけよう。

  • 【収録作品】第二十四話 椿小町 前編/第二十五話 椿小町 後編/第二十六話 餅花びより/第二十七話 ふたりの斎王 前編/第二十八話 ふたりの斎王 中編/第二十九話 ふたりの斎王 後編

  • 終わっちゃった~。寂しいです。

  • いつもならもっと早く読み終えることができるんだけど、忙しかったり、他の本に浮気をしていたりで年越し(;´・ω・)

    私はこのラストシーンが好きだなぁと思いつつ読了。続きが出れば、それはそれで読みたいなと思うのですが、スペースがそれを許してくれるだろうか(笑)

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著者プロフィール

第17回電撃小説大2010年に『典医の女房』で、短編ながら第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞。受賞作を大幅加筆した『霧こそ闇の』でデビュー。既刊は『からくさ図書館来客簿』シリーズ他。

「2022年 『あなたと式神、お育てします。第二集 ~京都西陣かんざし六花~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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