ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌 (電撃文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048927550

作品紹介・あらすじ

鎌倉のとある高校で、友達には秘密で小説の朗読配信を行っていた前河響平。中二病溢れる小説も書き綴っていたが、ある日、その小説を書いたノートを学校で紛失してしまう。
拾ったのは図書部員の卯城野こぐち。小動物系で、読書に熱中すると作品世界に入り込んでしまう読書少女だった。熱中しすぎる性格のため、人の多いところで読書が出来ないこぐちにとって、唯一安心して読書ができるのが旧図書室。しかし、利用者のほとんどいない旧図書室は廃止の危機に陥っており、二人は旧図書室を護るため、オリジナルルールの書評バトル「ビブリアファイト」に挑むことに──。
お勧めの本をプレゼンするビブリアファイトでは、実在の名作を多数紹介。原作小説の栞子さんも登場する、本好き高校生たちの青春の1ページ。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館本、久しぶりのラノベ。図書館ではヤングアダルト部類。
    いやー、やっぱり面白いわ。ラノベ。
    好きです、ヤングアダルト。
    ビブリア古書堂のスピンオフ作品。原作の特徴を掴みつつ、こちらはミステリーではなく、ビブリオファイトを取り上げている。なんとなく栞子さんに似た主人公なのも、原作ファンからすると良いのではないだろうか。名作を現代のラノベが好きそうな世代に向けて解説しているところが、原作とは違ってここもまた良い。
    本好きな人は読んでみては。

  • 何でビブリオバトルにしなかったの?

    このシミルボンのレビューでは、これまで面白いと思った本ばかりを紹介してきました。つまらない本はわざわざ紹介したいという気が起きなかったからです。
     今回はそのルールを破り、「ちょっとこりゃダメでしょ」と思った作品を紹介します。

     三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫)については、もうみなさんご存知ですよね。僕も大ファンです。この峰守ひろかず『こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』(電撃文庫)は、その公式スピンオフ小説。『ビブリア古書堂』シリーズの登場人物、特にヒロインの栞子さんも登場する……と言われたら、そりゃまあファンとしては読まなくちゃいけませんよね。

     舞台は鎌倉のとある高校。主人公の前河響平は、校内の敷地にひっそりと存在する木造建ての旧図書室に足を踏み入れ、そこで唯一の図書部員、読書好きの卯城野こぐちという少女と知り合います。彼女が愛しているこの旧図書室は、古くなっていて利用者も少ないので、まもなく閉鎖が決定しています。
     響平は閉鎖を取り消してもらおうと、こぐちさんを連れ、生徒会長の旭山扉のところに談判に行きます。そこで生徒会長が出した条件は、「ビブリアファイト」で副会長と勝負して勝つこと。勝てば閉鎖は中止するというのです。

     ご存知の方も多いでしょうが、僕も『BISビブリオバトル部』(東京創元社)というシリーズを書いています。

    ビブリオバトルのすすめ
    [https://shimirubon.jp/columns/1674756](https://shimirubon.jp/columns/1674756)

     ビブリオバトルは僕が作ったものではなく、実在する競技です。それに対し、この小説に出てくるビブリアファイトは架空の競技。
     何が違うのでしょうか? 作中では生徒会長がこのように説明します。

    > 「それは『ビブリオバトル』でしょう? ビブリアファイトは、そのビブリオバトルをベースに私が考案した、全く新しい競技です。よりゲーム性を高め、よりスピーディに、より過剰に不作法になった読書振興ゲーム!(後略)」

     たいした自信ですね。じゃあ、ビブリアファイトはビブリオバトルに比べて、どのように「全く新し」くて、どのように「ゲーム性を高め」「よりスピーディに」「より過剰に不作法に」なっているのか、具体的に見てみましょう。
     ビブリオバトルでは、発表参加者はそれぞれ自分の選んだ本を持ち寄ってプレゼンし、参加者全員の投票によって、どの本が最も読みたくなったかを決定します。それに対してビブリアファイトでは、二人の対戦者が同じ本を選んでプレゼンし、少数の判定員が「読みたい」と思った方が勝ちです。
     ……ちょっと待って。同じ本をプレゼンするんですか?
     それって本の内容じゃなく、プレゼンのテクニックの優劣を競ってるだけじゃないんですか?
     さらに、プレゼンする本は次のように決められます。

    ・先攻がまず対象の本を五冊チョイス。
    ・後攻がその中から一冊を選び、お題とする。

     はい、誰でも見た瞬間、このルールの欠陥に気づきますよね? 先攻が後攻のプレイヤーの苦手なジャンルを知っていて、そのジャンルの本を五冊選んできたらどうするんですか?
     実際、作中でも、対戦相手の副会長はミステリ好きで、五冊ともミステリを選んできます。一方、響平とこぐちさんはどちらもミステリに詳しくありません。やむなく響平たちは、五冊の中で最も有名なコナン・ドイル『名探偵ホームズ(1)赤い文字の謎』(ポプラ社)を選ぶしかなくなります。
     ところがここで重大な事実が判明。実は響平はそれまで『ホームズ』を読んだことが一度もなかったんです!
     これにはあきれました。ビブリオバトルでは、公式ルールで「発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる」と明記されています。自分が実際に読んで面白いと思った本をプレゼンするんです。当たり前ですよね?
     ところがビブリアファイトでは、自分で読んだことのない本でもプレゼンしなくちゃいけない場合があるんですよ。このへんでもう、「それは違うだろ!」と猛烈にツッコミたくなりました。
     しかし二人は、ビブリア古書堂の栞子さんから『ホームズ』についてのレクチャーを受け、さらにこぐちさんが原稿を書き、それを響平が読み上げるという形で勝負に挑み、勝ってしまいます。というのも響平は、自分の小説の朗読を動画投稿サイトに投稿しており、朗読に慣れていたからです。

     <span style="font-size: 2em;">やっぱりプレゼンのテクニックで勝ってるんじゃん!</span>

     そもそも栞子さんに協力を仰ぐというだけで、十分すぎるほどアンフェアだと思うんですが(笑)、他の人が用意した原稿を読み上げるというのがすっきりしません。
     ビブリオバトルの公式ルールでは、「原則レジュメやプレゼン資料の配布等はせず、できるだけライブ感をもって発表する」となっています。僕は個人的に、ここがビブリオバトルの最も魅力的な点だと思っています。用意した原稿をただ読み上げるだけでは退屈するに決まっています。なるべくアドリブに近い「ライブ感」こそが重要なんだと。
     しかしビブリアファイトにはそれがない。他の人が書いた原稿を読み上げるだけでいいらしいんです。このどこが「よりゲーム性を高め」「より過剰に不作法になった」のでしょうか?
     また、『BISビブリオバトル部』の中でも何度も強調していますが、ビブリオバトルではあくまで本が主役です。発表者のプレゼン能力を競っているわけではありません。すごく上手いプレゼンをした人があっさり敗退することはしょっちゅうあります。
     ところがこの『こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』では、主人公たちは連戦連勝、負け知らずなんですよ。これは単純にプレゼン能力で勝っているだけとしか思えないんですよね。

     さらにあきれたことがあります。
     響平はビブリアファイトで、ホームズが事件の真相を暴くシーンの朗読をしているうち、<span style="font-size: 2em;">うっかり『緋色の研究』の犯人の名前を口にしてしまうんです! しかも大声で!</span> 
     このシーン、響平が犯人の名前を言わなければならないストーリー的な必然性はまったくありません。何の伏線にもなっていない、まったく無意味なシーンなんです。
     当然、作中では対戦相手に「仮にもミステリーの紹介で、犯人の名前を思い切り言うのだけかはどうかと思ったぞ」と注意されるんですが……。

     <span style="font-size: 2em;">だったら作者もやっちゃだめでしょ!?</span>

     まさかミステリの犯人の名前を堂々とバラす作者がいるなんて、夢にも思いませんでした。僕は『BISビブリオバトル部 世界が終わる前に』の中で、『毒入りチョコレート事件』や『イニシエーション・ラヴ』や『仮題・中学殺人事件』や『パララバ』などの真相をバラさないよう注意してたのに……そんなにもミステリの不文律に無知なんでしょうか、この作者? 編集者もこういう問題点はきちんとチェックしてほしいと思います。

    :book:1737782:世界が終わる前に BISビブリオバトル部:

     
     とりあえず、『緋色の研究』を未読の人は、この『こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌』は読まないようにしてください。

     さて、対戦者が同じ一冊の本をプレゼンするのは第一話だけです。第二話以降、急にルールが変わり、対戦者は別々の本をプレゼンしていいことになります。
     ちなみにプレゼンにかける持ち時間は「五分ずつ」と説明されています。ビブリオバトルと同じです。当然、所要時間も大差ないでしょう。これが「よりスピーディに」なったと言えるんでしょうか?
     さらに第四話では、それまでは一対一だったのが、複数の出場者による集団戦になります。
     おまけに、こぐちさんが体調を崩したために原稿が書けなくなり、やむなく響平は原稿に頼らずアドリブでル=グウィンの『影との戦い ゲド戦記Ⅰ』(岩波書店)を紹介することなります。

     <span style="font-size: 2em;">それもう完全にビブリオバトルですから!(笑)</span>

     つまり、作者は「よりゲーム性を高め、よりスピーディに、より過剰に不作法になった」「全く新しい競技」を創造したつもりだったんだけど、ルールを変えてゆくうちに、最終的にビブリオバトルと同じものになっちゃったという、実におかしな小説なんです。僕がまだ、と学会やってたら、トンデモ本として紹介したいぐらいです(笑)。根本的に話の構造がおかしい。

     あと、読んでて気になったのは、こぐちさんのイメージがあまりにも『ビブリア古書堂』の栞子さんに似ていることです。実際、二人が同時に登場するシーンでは、響平は二人を見比べ、「同じキャラの進化前と進化後って感じ」「一期と二期の間で時間経過があるタイプのアニメの同キャラ差分」と形容しています。それぐらいそっくりだと。
     いくらスピンオフだからって──いやスピンオフ小説だからこそ、元の作品とヒロインのイメージを変えるべきじゃなかったんでしょうか?
     カークとピカードとシスコとジェインウェイは、明らかにイメージが似ないように配慮されてますよね?

     もっとも、出てくる本の紹介はどれもなかなか興味深いです。特に第三話で、オールコットの『若草物語』(福音館書店)を「日常系」のアニメやラノベに置き換えて魅力を語るあたり、感心しました。第五話で、響平とこぐちさんが、鎌池和馬『とある魔術の禁書目録』(電撃文庫)とミヒャエル・エンデ『はてしない物語』(岩波書店)という、まったく傾向の異なる作品で対戦するというのも、面白い趣向です。
     ただ、気になったのは、第二、第三話では対戦相手の本の紹介もあるのに、第四話では集団戦になったのに、主人公の語る『ゲド戦記』の話しか出てこないことです。他の出場者が、どんな本をどういう風に紹介したのか分からない。これはもったいないですね。

     結局、読んでいてどうしても分からないのは、<span style="font-size: 2em;">「なぜ最初からビブリオバトルにしなかったの?」</span>ということです。ビブリアファイトじゃなくビブリオバトルにしていても、プロット的に問題ないはずなのに。
    『BISビブリオバトル部』と内容がかぶることを避けたんでしょうか? でも、それはおかしいです。野球マンガやマージャン劇画を何人ものマンガ家が描いているように、複数の作家が同じ競技を題材にした小説を書いても、何ら問題ないはずです。
     実際、僕は『BISビブリオバトル部』の執筆開始前、ビブリオバトルの考案者の谷口忠大先生に許可を求めに行ったら、あっさりOKされました。この作者、および電撃文庫の編集部は、なぜそうしなかったんでしょうか?
     そもそもビブリオバトルというのは、その題材の性質上、無限に近い展開が考えられるもののはず。複数の作者がいろんなやり方で書いていいはずなんです。
     僕は、僕以外の人が書いたいろんなビブリオバトル小説を読んでみたいんです。だからどなたでもいいですから、このジャンルに挑戦されることを期待しています。「ビブリアファイト」じゃなく、本物のビブリオバトルで。

  • 久し振りにライトノベルっぽいライトノベルを読んだ気がする。

    ビブリア古書堂の事件手帖が終わりまして、
    スピンオフな本が出るという事で買ってみたんです!

    ビブリオバトルって実際にあるの?
    書店などで行われる書評合戦!
    それを、
    アレンジしたものがビブリアファイトなんだって!

    【人物】
    主人公は、
    自作ライトノベルを朗読動画配信してる「前河響平」高校1年生!
    声自慢なんで、
    ビブリアファイトでは前衛に出てトークする役!
    前衛の前に、
    声を響かせる意味合いがあって「前河響平」と名付けられたみたいですね。
    と、
    ヒロインが、
    「卯城野こぐち」さん。
    参報役なんでうしろのってそのまんまのネーミングに、
    こぐちが、
    本の背の反対側のことを言うのです!
    栞子さんのように本にまつわる用語からネーミングわず!
    と、
    生徒会長が「旭山扉」さん。
    ビブリアファイトの考案者ですね。
    災いの元って説もあります。
    ちなみに、
    「真中双葉」先輩推しですかぐりん!

    【使われた本】
    コナン=ドイル
    名探偵ホームズ(1)赤い文字の謎

    山田風太郎
    甲賀忍法帖

    中島敦
    李陵・弟子・名人伝

    L・M・オールコット
    若草物語

    ルイス・キャロル
    ふしぎの国のアリス

    ル=グウィン
    影との戦い ゲド戦記

    鎌池和馬
    とある魔術の禁書目録

    ミヒャエル・エンデ
    はてしない物語

    名探偵ホームズは読んでみたいです!
    つか、
    とあるは、
    新約から読んでないんですよねぇ。。。
    忘れてるんで最初っから読み直したいけど、
    新約も含めて30巻以上でてるんでしょう?
    無理ぽ。。。

    【内容】
    落とし物をした「前河響平」君。
    その落とし物を拾ったのが「卯城野こぐち」さん。
    きっかけはそんなもん。
    そして、
    離れにある図書館を図書部の部室に使わせてもらいたいということを、
    生徒会長の「旭山扉」に進言すると、
    最初は、
    生徒会の副会長と部室というか図書館を賭けてビブリアファイトすることになるわけよ。
    で、
    トークは「前河響平」で、
    原稿を「卯城野こぐち」さんが作ると。
    その、
    打ち合わせしてるところに「篠川栞子」さんとエンカウントして、
    アドバイスをもらうようになる。

    なんどかビブリアファイトをして、
    いよいよ最後のビブリアファイトって時にがっかりな敗北を味わう。
    最後は、
    「前河響平」君と「卯城野こぐち」さんがビブリアファイトするのね。
    なぜにチームで?
    と、
    思うでしょうが秘密です!
    そして、
    図書館がピンチになるの!
    図書館のピンチを救う方法がないか「前河響平」君は幻想殺しの能力を使って、
    篠川栞子さんの助言を得て?
    探して見つけたのよ図書館を救う方法を!
    で、
    図書館を救うことができたんです!

    2巻目でたら読むよ!
    つか、
    栞子さんの扱いが・・・。
    まぁ、
    ライトノベルなテイストにすると仕方がないのかなぁ。。。

  • ビブリア古書堂の事件手帖が好きで、そのスピンオフというタイトルに惹かれて手に取った。
    舞台は共学の高校の古い図書室。高校生の男女を中心としたビブリオバトルのような本のおすすめ合戦だ。
    作者は主人公の男の子のようなラノベ好きだと思われる。ちょいちょい男子高校生の下品な目線が入る。その下りはいらないのでは?と思うが作者の好みだろうか。

  • 2巻まで刊行。2巻で終わりでも納得する。
    ネタ元のシリーズはまったく読んでいないが充分楽しめました。その元シリーズの 主人公の胸については情報を得ていたので、それの描写が沢山あって良かったです。
    ヒロインのこぐちさんの脇の女子高生達が良かった。特に2巻で登場のお嬢様学校の図書委員長と主人公の絡みは友情なのか委員長の方に恋愛感情があるのか想いを馳せる。色んな本が紹介されていて読んでない本もあって人生足りないよね

  • ★わたし、この部屋で、響平さんと本の話をするのが楽しくて(p.226)
    五つのメモ
    ・次々現れる刺客から「旧図書室」を守るため、なぜかビブリアファイトとやらをする羽目になったこぐちさんと響平くん。一度負けたらおしまいというマジンガーZや仮面ライダーやセーラームーンなどとある意味同じ構図。「頑張れ読書部! 高校生活の平和を守るため!」

    ・独自性は「ビブリオバトル」ではなく「ビブリアファイト」であること。ルールはこんな感じに? 既存のビブリオバトルよりスピーディでゲーム的と思われる。
     ・放課後のオープンイベントとする。
     ・紹介する本は二十面ダイスでカテゴリだけ決めておく。
     ・紹介する本は学校の図書室から選ぶ。
     ・紹介する本は伏せておいてよく、登壇時に発表すればよい。
     ・判定員は自由参加だが関係者は応募できない。
     ・先攻後攻は当日ジャンケンで決める。
     ・先攻後攻の順で各自五分間その本のプレゼンを行う。
     ・本への理解を深めるため相手のプレゼン後質問できる。
     ・より多くの判定員に「読みたい」と思わせた方が勝ち。

    ・やはり、それぞれの本をどう紹介するかがキモであり見処。読者であるぼくらが読みたくなるかどうかですね。なるほどそういう視点なのね、と。未読の『甲賀忍法帖』と『とある魔術の禁書目録』は読みたくなりましたよ。個人的にはいきなりビブリアファイトシーンから入ってくれてもよかったような気もしました。

    ・謎としては、こぐちさんが旧知のように接してくる理由(すぐ判明する)。こぐちさんの「一番好きなあの本」とは。こぐちさんは危険なので家で読書するのを禁じられているらしいがどう危険なのでしょうか。

    ・ラノベとしてステロタイプとも言える各種美少女も取り揃えられています。栞子さんも登場。

    ■その他のメモ

    【赤い文字の謎】最初のお題。一般には『緋色の研究』という題名で有名な、ホームズ登場の巻ですね。おそらく子供用に編集し直された比較的新しいものかと。中学生の頃『シャーロック・ホームズの冒険』から入った僕には「緋色の研究」はタイクツでした。僕個人のホームズ観は前川クンと近く、彼はけっこうダメ人間でおだててないといけないめんどくさいタイプで道徳心も薄い危なっかしいヤツという感じです。前川響平クンの「おっさん同士のラブコメ」という評は秀逸。ホームズものではワトソンの存在が大きいです。ホームズはツンデレか? このときは響平クンが先攻への反論を入れたこと、シリーズ全体に言及したこと、犯人の名前を言ったことは僕も減点やんと思いました。
    【赤い蝋燭と人魚】響平クンがこぐちさんに薦められた本。響平クン評は《面白かった。と言うか怖かった》p.183。《これ、タイトルからしてメルヘンなファンタジーだと思っていたけど、思いっきりホラーなんだね。文章かっこよかった。》p.184
    【旭山扉/あさひやま・とびら】生徒会長。ゆるふわ系美女。中身は黒い。美少女好き。「ビブリアファイト」を考案した。
    【卯城野こぐち/うしろの・こぐち】高校一年生。本を読み始めると周囲の音がまったく聞こえなくなる美少女。そのとき気づかせるため身体に触れるとさすがに我に返るがとてつもなくエロい反応を示してくれるので響平クンは楽しみにしている。大人向けの本は不意に性的な描写や暴力シーンがあったりするので苦手で、基本的には児童書を読みたい。《国語の教科書は渡された日に全部読んで、気になる作家はチェックするのは基本でしょう?》p.91。う~ん、ぼくもまあ、そうしてましたけどね、基本かどうかは・・・
    【お題】ビブリアファイトで取り上げられた本は・・・『名探偵ホームズ(1)赤い文字の謎』/『李陵・弟子・名人伝』VS『甲賀忍法帖』/『ふしぎの国のアリス』VS『若草物語』/『ゲド戦記Ⅰ 影との戦い』/『とある魔術の禁書目録』VS『はてしない物語』。
    【片倉/かたくら】クラスメイト。男子。
    【片倉聖羅/かたくら・せいら】こぐちさんより小柄で童顔で私服なら小学生にしか見えなさそうなロリ系美少女だが二年一組の先輩。当然見た目へのコンプレックスが強い。前河くんのクラスメイトである片倉の姉。学年トップクラスの成績。真中さんとは異なりこちらは文系。例によって勝ち気。図書室を自習室として開放せよという目的のために第三の刺客として挑戦してくる。前河くん的には勝手に自習したらいいのではという感じだったがこぐちさん的には図書室はそこにある資料を利用する場であって自習の場ではないと、珍しく譲らなかった。
    【鎌倉文士カフェ】こぐちさんのクラスが学園祭でやる。ゆかりの文士紹介とカフェ。真中先輩は紹介に黒沼健を入れるべきと言った。
    【響平/きょうへい】→前河響平
    【ゲド戦記Ⅰ 影との戦い】文化祭で行われたブックファイトで前川響平クンがプレゼンした。ル=グインは少し読んでましたが『ゲド戦記』の合本版やったかセット販売やったかが出たときそれに気がついて読んでみました。
    【甲賀忍法帖】山田風太郎著。真中先輩が出してきた「異能バトル」もの。ストレートに面白そうに見えるプレゼンでした。
    【こぐち】→卯城野こぐち
    【刺客たち】生徒会副会長の楯石律、TRPG同好会の真中双葉、自習室が欲しい片倉聖羅。あとストリートダンス同好会の氷川、文芸部、漫研、将棋部、コスプレ同好会、家電製品友の会とのファイトは作中では描かれなかった。
    【志田】ビブリア古書堂の常連のせどり屋。
    【篠川栞子/しのかわ・しおりこ】ビブリア古書堂店主。
    【高山知佳/たかやま・ともか】図書部顧問。図書室担当の教師。スポーティな印象だが司書資格も持っている英語担当教諭。
    【楯石理津/たていし・りつ】生徒会副会長。四角い眼鏡で長身でショートカットの理路整然とした美人タイプ。
    【TRPG】テーブルトーク・ロールプレイングゲーム。マスターによる設定と会話とダイスの出目によって冒険する。コンピュータ系のRPGはここから派生したのでしょうけどロールプレイ部分が弱く感じられるのは自動化により役割へのなりきり感が減じたからでしょう。旧図書室にはその黎明期のルールブックがかなりあり真中双葉率いるTRPG同好会としては守っていくことに異存はなかった。個人的にも数冊ルールブックを持っていますがまあ、読む本としておもしろいというものではないですね。ただ、設定というのは好きですし、少しずつバージョンアップさせていけたりするその動きは刺激あります。
    【とある魔術の禁書目録】最後のビブリアファイトで響平クンが選んだ本。個人的にマンガとアニメは鑑賞済ですが原作小説は読んだことがありません。
    【図書部】「旧図書室」を根城にする伝統ある部。図書委員とは別。旧図書室にある本は元は「きたかまくら文庫」という文庫だったらしく誰かから寄贈されたようだ。傾向としては児童書が多いのでこぐちさんに向いている。
    【ナイトオブミッドナイト】前川響平の自作小説。かなり痛い。
    【はてしない物語】最後のビブリアファイトでこぐちさんが選んだ本。原作も映画も鑑賞済です。
    【氷川】ストリートダンス同好会。第四の刺客。
    【ビブリア古書堂】前川響平クンが覗いてみたときはいつも屈強で強面の青年が店番をしている。
    【ビブリアファイト】旭山扉考案のゲーム。新しいことをしたというのが内申書的においしいからのようだ。既存のビブリオバトルを参考にさらにスピーディにゲーム性を高めたもの。
    【ヒロイン】第三ファイトのカテゴリは二十面ダイスを振った結果「ヒロイン/女性主人公」となった。真中先輩は「ヒロインだけに広いんだか狭いんだかわからない」とか言った。これって図書部に任せてるけどTRPG同好会にも関係あるのでは?
    【ふしぎの国のアリス】片倉聖羅さんが「ヒロイン/女性主人公」のお題として取り上げた本。ルイス・キャロル著。個人的には和田誠さんの挿絵の文庫本を愛読しています。
    【前河響平/まえかわ・きょうへい】語り手の「僕」。高校一年生。痛いタイプの小説を書きその朗読をネット配信している。各作品への評価は思いがない分ドライで的を得ておりおもしろい。
    【真中双葉/まなか・ふたば】二年生。気の強そうなメガネ美少女。入学以来常に成績最上位で特に理数系では全国でもトップクラス。TRPG同好会会長。そういえば最寄りの図書館で最近、近所のTRPG愛好者の会を主催している方のお薦め本の紹介があったなあ。その方も女性だったような。
    【李陵・弟子・名人伝】ビブリアファイトの二つ目のカテゴリ「異能バトル」のお題として取り上げたのはこの中の「悟浄出世」「悟浄歎異」の二編。既読ではありましたがも一度読みたくなりましたよ、響平クン。個人的なベスト百冊に筑摩書房の文庫サイズの日本文学全集『中島敦集』を入れてます。前川クンの「山月記」評は《無駄にプライドだけ高かった詩人の李徴が虎になってしまう話だ。》と身も蓋もないけど的を得ている。
    【若草物語】第三ファイトのカテゴリ「ヒロイン/女性主人公」のお題としてこぐちさんが取り上げた作品。オールコット著。中学生の頃旺文社文庫で読みましたが、うすぼんやり残っている記憶では、「貧乏や貧乏や」とよくこぼしてるわりには日本人的感覚からするとけっこう裕福やん。ということでした。あと、ベスがけなげです。響平クンの日常系萌え小説というのは目から鱗ではありました。ぼくやったらベス視点にして他の姉妹たちの普通に続くであろう人生にサチアレという感じにしたかも。

  • ずっと欲しかった本です!
    ビブリアファイト、楽しそうです!
    相手にいかに楽しく興味を持ってもらえるかが勝負の鍵ですね!
    どの本も面白そうでした!
    自分だったらどう紹介するかな~とか考えながら読んでました!

    こぐちさんの守ってあげたくなるような、庇護欲をかりたてられるオーラが可愛いです……
    本から現実に戻すときはちょっとためらいますけど……
    ビブリアファイトやってみたいです!

  • ビブリアシリーズの大ファンなのでスピンオフ作品もウキウキで読みました。著者の方の文体や展開の雰囲気も楽しみつつ本の魅力を味わえて良かったです。

  • 大好きなビブリア古書堂がある街の高校が舞台

  • ビブリア古書堂の事件手帖のスピンオフ作品です。図書部の卯城野こぐちさんと僕、すなわち、前川響平が、ビブリオバトルで図書館を守るというお話ですが、ビブリオバトルだけでは事が済みません。
    https://www.honzuki.jp/book/250224/review/283765/

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著者プロフィール

小説家。2008年に『ほうかご百物語』でデビュー。著作に『少年泉鏡花の明治奇談録』『金沢古妖具屋くらがり堂』『今昔ばけもの奇譚』『ゲゲゲの鬼太郎(TVアニメ第6期ノベライズ)』など。予言獣を扱った作品に『ほうかご百物語8』、『絶対城先輩の妖怪学講座 十』(いずれもKADOKAWA)、『アマビエを探しに』(『文芸ラジオ』8号)などがある。
○推し予言獣は「左立領」。中に二人くらい入っていそうなデザインが着ぐるみ怪獣愛好家としてはたまりません。

「2023年 『予言獣大図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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