家系図カッター

  • 角川グループパブリッシング
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本棚登録 : 120
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784048940795

感想・レビュー・書評

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  • 華々しい活躍も、壮絶な家庭環境から、別の居場所を見つけようとあがいて得たものだと振り返る、半生を赤裸々に綴った本。
    「ポップ、かわいい」と評される極彩色の、どこか毒々しい作品世界に感じていた影の部分は作者さんからにじみ出たものだったんだなと実感しました。
    作者さんにこんな幸せの形を肯定してもらえたことで、幸せの形の多様さを示してもらえた気がして、行き先に光が差しました。固定観念や一般論に無意識に引きずられて、人と比べてしんどくなってしまうことが多いけど、自分の人生は自分で決めて、いいんだ。

  • 自分の生育環境を顧みて、親の特性を受け継いでいる以上、子供を持つべきでないという判断、もっともだと思った。
    原宿に開いた店に、同類が集まってくるという現象、なるほどと思う。
    時代を写し取っているが、何か介入したくなってしまう人は、読まない方がよかったか? ともかく、考えさせられた。

  • NHK「ようこそ先輩」を見て、興味を持った人なんだけど、
    この本を書いた人だとは知らなくて、
    え、あの時話題になったあの本の人、この人と同一人物??
    となった。
    そのくらい、イメージが違いすぎる世界。

    岡崎京子「東京ガールズブラボー」的な部分もあって、
    ちょっとわくわくする部分もあったけど、
    基本的にダーク。
    あの振り切っちゃった世界は、その反動なんだなー

    しかしこのタイトルは秀逸。

  • 原宿で大人気の6%DOKIDOKIブランド、こんな経歴があって誕生したとは知らずに読んで衝撃を受けた。増田セバスチャンの『子供を主張するカラフル』のこだわりに深みが出た気がする。一歩下がって自分に置かれている状況を把握しようとする姿勢、自分を貫き通す覚悟が伝わってきてとても面白かった。

  • 感性は鋭いかもしれないけど、家族に捕らわれすぎてる。彼のツイートを読むと、なんだかという感じ

  • 20110604

    思ってたよりもずっと面白かった。
    本屋でビビッドな表紙と題名と帯に惹かれて手に取ったのですが、とても有名な方だったのですね。
    文章もよかったです。
    作品中の名前など、90年代が鮮やかによみがえってきたし、価値観の変化や心情がダイレクトに伝わってきました。
    もっと、人生哲学みたいな話かと思ってたんだけど、ほんとの自伝でした。
    なので、固めの文章かと思ったら読みやすくてひとつの小説のように読めてしかも思ってたのと違う〜みたいな。
    面白かったからいいんですけど。笑

    自分は壮絶で悲惨な人生だった、ということに陶酔せず、やってきた人、なんだろうな。ただ受け止めて自分の生き方を決めること、その内容に正解はないよねーという。
    「子供は作らない」ということに関しての考察ではないので、帯でメインのようになってしまったっぽいのがちょっと残念。
    そういう作品ではないんじゃないかーと。

    こういった話は、フィクション、ノンフィクションを問わず、最近わりとよく見るような気がするな。世の中がそういう出来事を許容しはじめたこと、実際にそういう人が多いこと、表現手段が増えたこと、など理由は思いつくけれど、そういった中でも、疾走感があり、時代を作って世界を広げた成功譚も入り、メリハリがあって良作と思いました。


    で、ちょっと前に「日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか」を読んだんだけれど、その温度差みたいなものがすごく面白かった。
    どちらも「血筋」みたいな概念が中心に据えられているものだったので、とても近い間隔で読むのが面白かったっていう。
    ちょっと思いついたのは、先の本で批判されていた、戦後の日本とバブル時代、を引き継いだ中で最悪の人生パターンのひとつなんだろうな、とか。
    本を読む順番でも考えが左右されるものだなーと改めて認識。


    目次
    第一章 家庭内犯罪
    第二章 思春期・葛藤・リストカット
    第三章 バブル崩壊・家庭崩壊
    第四章 モンスターの日に作ったモンスター
    第五章 連綿・連鎖・煉獄
    第六章 砂漠
    第七章 緊急病棟・フルーツ牛乳
    第八章 滞在許可証
    終章 営団地下鉄千代田線「代々木上原」行き

  • 何かを生み出し、強烈な衝撃を周囲へと与えることが出来る人間には、それなりの過去がある。
    映画『Alice in wonderland』に、「素晴らしいものを持っている人は、皆どこかしらイカレている」と、いう台詞がありましたが、本書を読んで、まさにその通りだと思いました。

  • 増田セバスチャンのかなり赤裸々に感じられる自分史。雑誌で見たことのある6%DOKIDOKI、名古屋にもなかったっけー??と思ってたのは、ああいう経過だったのか。私は世代的にはもう上すぎてお店を実際見に行ったり身にまとったりすることはなかったけど。なるほど独特の表現をする人にはやはり何かしらの必然性があり、それを求める人も何かしら抱えていているのだなあ…ふつーの家でふつーに愛情や世話を受け、わだかまりなく育ったら、たいしたコダワリもなく生きていくのかもしれないな。それが良いとか悪いとかじゃなく必然なのかもしれない。タイトルや前書きで書かれるスタンスは後ろ向きに受け取られるかもしれないけど、それを選んで自分の人生を驀進して行くのならば、それもありだよなあとか思ったり自分を振り返ったり。

  • 育児放棄や虐待、親への不信感などで家庭に居場所のない子供達にこんな風に生きてもいいんだと気付かせてくれる原宿のカリスマの自伝。
    大阪二児死体遺棄事件の容疑者の母は自分が育児放棄を受け憎悪した親への意趣返しだった。―そんな事件の容疑者と自分の人生を重ね合わせて語る。

    「子供を作ると自分の問題が子供にトレースされてしまう。
    だったら、自分は自分の家系図をここで断ち切るという前提で生きる。」
    「子供を作らない。
    これ以上無意味で悲しい連鎖を続けない。
    が、直接子供を作らない分、遺伝子に代わるものを残していく・・・・・・・。」

    幼児虐待は、自分が受けたため、子供の育て方が分からず負の連鎖を招くと言われている。
    その負の連鎖を自ら切るために、大人になる前から子供を作らないと決め、自らの居場所を探す。この主人公のように自分の居場所をどんな子供達も見つけられるといいのに。

  • 装丁のかわいさでつい購入してしまったものの、帯に「子どもは作らない」なんて書いてあるから、増田セバスチャンを知らない私は固い本だと思った。正直、"自伝"的なものは読んでもつまらないと思うことが多く、買ったはいいけどコレどうしようと思ってしまったけれど、通勤で読むものを迷っていたのでなんとなく読み始めることに。読み始めるとその勢いは止まらず、(文字の大きさなんかもあるかもしれない)3日ほどで読み終わった。通勤時にしか読まなかったので、この勢いは凄い方だ。
    とにかく彼の一生は波乱に満ちていた。いつも誰かに何かに振り回される。子どもの頃は親に、大人になってからは恋人とお店に。壮絶な人生の合間に、彼の才能と90年代カルチャーが垣間見れる。90年代後半に青春時代を迎えた私にも知っている名前なんかが出てきて、懐かしく思えた。
    セバスチャン氏と同じく機能不全家庭で育った私には共感することも多く、読めば読むほど癒された。メディアなんかでの”AC”という言葉の登場回数は”ADHD”に取って代わり最近あまり聞かなくなったけれど、この本はそんな人たちが読むべきだと思う。
    最終的に彼はそんな人生を受け入れ、現在でも影響力をもつ人の一人となっている訳だが、残念ながら(特に)関西ではあまり知られていない。この本をもっと知って欲しいと思うと同時に、この本に癒される類の人が増えないで欲しいとも思った。

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著者プロフィール

アーティスト/アートディレクター
京都芸術大学客員教授/2017年度文化庁文化交流使
1970年生まれ。90年代より演劇・現代美術の世界で活動をはじめる。1995年より原宿に活動拠点を持ち、一貫した独特な色彩感覚からアート、ファッション、エンターテインメントに渡り作品を制作。日本のKAWAII 文化を牽引する第一人者としても知られ、2011年きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」MV美術、2015年「KAWAII MONSTER CAFE」プロデュースなど、世界にKAWAII文化が知られるきっかけを作った。
2014年にニューヨークで部屋型作品「Colorful Rebellion -Seventh Nightmare-」を発表し、参加型アートプロジェクト「TIME AFTER TIME CAPSULE」を世界各地で展開。2017年度文化庁文化交流使としてオランダ、南アフリカ、アンゴラ、ボリビア、ブラジル、アメリカで講演、ワークショップ、作品制作を行う。世の中に存在するすべての事象をマテリアルとして作品を創造し続ける。

「2020年 『増田セバスチャンアートワークス PAINT IT, COLORFUL』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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