ギフテッド 天才の育て方 (ヒューマンケアブックス)

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  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054041646

作品紹介・あらすじ

発達に片寄りがあるがギフテッドと呼ばれる天才的な能力をもつ人たち。能力の谷と峰をもつ子どもたちは、認知特性への配慮と適切な教育によってその才能を開花させることができる。本書では、ギフテッドへの教育のあり方、才能の見つけ方や伸ばし方を解説し一人ひとりのニーズにこたえる特別支援教育の新たな可能性を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 多くの場合は発達に偏りのある天才。偏り方も多様であり,視覚優位型,聴覚優位型がある。極端に偏りがなくても全ての人も能力の凸凹はある。その意味では自らの能力を発揮できる場所にいる人は幸せである。発揮できずに苦手なことばかりを要求される場所にいる人は不幸だな。

  • 題名に難あり。
    内容が良いだけにもったいない。

  • 2011.09.04. この杉山登志夫さんという方は、クラスメイトに借りた障害児教育の冊子でよく執筆なさっています。2Eや発達凸凹など、知らなかった考え方がいっぱいでした。視覚優位性、聴覚優位性の世界というのは、私は想像するより仕方ありません。きっと、全然違って見えるんだろうなぁ。

  • 読了して随分経ってしまったので思い出しながら。

    予てより関心のあったギフテッドについての本。
    共著者である小倉氏は今回初めて読むが、あの杉山先生と、発達障害当事者の岡南氏は、これまでにもいくつか著作を読んでいたので、大きな期待と共に手にした。

    ダニエル・タメットやテンプル・グランディン、ドナ・ウィリアムスやニキリンコなど、過去に読んでいた彼らの本も多数取り上げられており、様々な自閉症を含む発達障害やギフテッドの特徴、認知特性など、自分の知識と結びつく点も多かった。また、過日読了した『天才とは何か』で取り上げていたターマンの研究についても第八章で言及されており、知識が横に繋がり広がっていく面白さを再認識しながら読むことができた。

    そんな中、今回特に興味深かったのは、特別支援教育との関連からの考察だ。
    いわゆる障害児と呼ばれる特別支援教育の対象者には、彼らの特性に合わせた教育プログラムや専門知識を持った指導者が必要なことは容易に想像ができるだろう。
    本書では、障害児への教育と同じように、ギフテッドなどある能力が突出している(つまり全体としての能力のバランスを欠いた)子どもにも、才能や能力に注目し、そこを伸ばし、それにあった環境を提供し、苦手を意識してそれを補う方法を身につけさせるよう支援していくことの必要性が説かれている。
    つまるところ、能力の凸凹が存在する場合、天才型であれ障害型であれ、配慮するべきポイントは同じであるということだ。

    実はこのことは、すべての子どもの教育にも当てはまると私は思っている。
    本来持つべき力を最大限に伸ばせるようサポートし、不得手はそれをいかに不得手足らしめずやり過ごすか(必ずしも克服でなくて良いと私は思う)を考え覚えさせ、いかにして自分の力で社会で生きていくか、その力を身に着けさせることが本来の教育なのではないか。
    そのことを改めて強く感じるとともに、今の日本で、どれだけそれが達成されているかを思い、暗澹たる気分にもなった本であった。

    最近はちょっとずつ改善されてきているけれどね。
    麹町中学校の工藤校長とかね。

    標準的なことに無理に合わせるナンセンス。
    得手不得手はみんなあっていい。
    できることを伸ばし、苦手なことは誰かに助けてもらいながら、逆に人の手助けもしながら、その子らしく生きていけるようサポートするのが、大人の役目かな。

    以下蛇足です。

    岡南氏が担当されている認知科学的視点からの考察部分は、とても興味深いが少し他の章と毛色が違うのでわかりにくい部分があるかも。
    これは、岡氏の著作『天才と発達障害』の中で、ルイス・キャロルとアントニオ・ガウディの例を挙げて、より分かりやすく説明されているので、そちらも併せて読むとより理解が深まるかと思う。

    最後の参考文献、既に読んだものもたくさんあるが未読で興味を引くものも多い。
    またチェックしていろいろ読んでみよっと。

  • 2E、発達凸凹についてフォーカスする稀有な本。
    凹凸がありながらも、凸に注目してそれを伸ばす教育を論じている本がなかなか見つけられない中とても参考になる。著者が複数のためか、包括的というより個別論集。

  • 発達障害が、脳の機能障害でセロトニンが弱いことから、うつにもなりやすいなど初めてしった。

  • 発達の凸凹+適応障害→発達障害という観点が示されるように、単純な天才児のそれではなく、発達障害児の教育・療育がメインテーマか。杉山登志郎先生が書かれているから、そうだろうと思い読破。本書は、米国のありようも解説しており、ヒントになるところも多い。視覚優位者と聴覚優位者とに分けられるが、個人的興味から視覚優位者の箇所のみを読む。備忘録。全体から部分へ。継時処理に難というところか。音声聞き取りに伴う継時的な処理に難点があるなら、授業・講義の最初から板書部分を開示し、そのまま写してノート完成、ではどうかな。

  • 日本では浸透が難しいであろうギフテッド教育。つい親は何でもできるようにと考えがちだが、得意を伸ばしてあげようという姿勢を忘れないようにしようと思った。

  • 発達障害というと、能力の低い部分すなわち能力の「谷」にばかり意識が向きがちだが、能力の「峰」が他の能力とのバランスをかいて現れてしまうという問題もある。

    視覚優位と聴覚優位の違いについてもわかりやすく説明されている。両者は互いにわかりあうことがむずかしい。

    日本には、このギフテッドあるいはタレンテッドをいかしてのばす教育システムが整っていないのはもったいない。優れた人に、その力を存分に発揮してもらうことが必要なのに、あしをひっぱりあう日本のシステムでは難しいのだろう。その傾向はますます厳しくなり、息苦しい社会になっていくばかりではないか。

  • 視覚優位、聴覚優位について具体的な記述で分かりやすく書かれている。聴覚優位の自分としてはその記述で普通と呼ばれる認知との違いを改めて知ることができた。
    個人的に最近思うのは、当事者に必要なことは自己評価を上げることと、クロックスピードを上げることの二つである。マイノリティー向けのメディアやコミュニケーションはやはり少なく、それに慣れるためにはこちらから努力するしかない。
    他者の気持ちが分かりにくかったり、オーラルだけの議論で内容が分からないことは今でもしばしばある。それを乗り越えるには、例えば喋るスピードで絵を描く、一次記憶を拡張して話の内容を絵で覚える。手帳に相手の気持ちを把握するのに必要な現象を書き出すなどである。
    はじめるに遅いはないの例の様に幾らでも改善は可能である。何しろギフテッドなのだから。生きずらいことも確かだが、乗り越える方法もあるし、むしろその強みを出す、チャンスに気付きことに注力すべきだ。
    その点では、自分や他者の理解が深まる良い内容の本だと思った。

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著者プロフィール

福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授

「2023年 『そだちの科学 40号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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