術と呼べるほどのものへ

著者 :
  • 学研プラス
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  • Amazon.co.jp ・本 (143ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784054052444

作品紹介・あらすじ

"屏風座り""虎拉ぎ""旋段の手""角成りの手""浮木の腿""辰巳返し""影抜き""霞抜き""裏当たり"…。誰もが、その不思議なまでの効果に驚嘆する技の数々。60代の甲野善紀は、なぜ、こうも次々と新たな技と術理を生み出せるのか?日本を代表する柔道選手、現役力士、剣道指導者も驚いた技の数々。

感想・レビュー・書評

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  •  2012年夏時点での、著者が追い求める術理・古武術的身体操法の最新レポート本。
     先月(2012年9月)に著者の講演会があり、それに合わせた「予習」のために最新刊を読みました。

     虎拉ぎ(とらひしぎ)は、以前NHK「爆笑問題のニッポンの学問」でも紹介されていましたが、本で紹介されている手(と腕・肩)の形を作るだけで誰でも下肢が強くなるので、著者の身体操法に触れてみるきっかけとしてはいいんじゃないかと思います。
     この虎拉ぎをやってみると、人間の体というものが、いかに些細なことでガラッと変わってしまうかということがよくわかります。


     剣を真っ直ぐ振り下ろす途中で、目にもとまらぬ早さで稲妻のような形に軌道が変わり、構えている剣の内側に入られる「影抜き」。この技は、実際に目の前で見せてもらわないと、その凄さがわかりにくいかもしれません。生で見せていただいた影抜きは、本当に何の動きの詰まりも無く、まさに電光石火で構えている剣の向こう側からいきなり目の前に相手の剣が現出しました。
     この影抜きのところで、著者は剣の握り方について両手をくっつけて持つことを説いています。現代の剣道では、右手と左手を離して持つとされていますが、そうすることでてこの原理が効き、腕だけで剣を操ろうとしてしまいます。両手をくっつけて持つと剣がコントロールしにくいのですが、その分体幹部で剣をコントロールするようになり、そのことによって影抜きのような超絶的な技が使えるようになるということです。
     これを読んで思い出したのが、大学で射撃部だった友人から聞いた標準の合わせ方です。立った状態でライフルを構えた際に標準を合わせるには、手ではなく足の指先で微妙な調整をするそうです。手で調節するとどうしてもブレが大きくなってしまうそうで、上半身はきっちり固定し、体の遠い部分(足の指先)で調節した方が微妙な調節が可能になる、という話に「へぇ~」と思いましたが、今考えると、手や腕を固めておいて体の遠い部分(影抜きの場合は体幹部)でコントロールするという点で共通しているように思いました。
     また、『誰でも早く走れる骨ストレッチ』(http://booklog.jp/users/tomiyadaisuke/archives/1/4062170515)の著者・松村卓先生が提唱されている骨ストレッチも、末端を押さえて制御することで体幹部を動かして緩める、という点では同じ原理と言えそうです。
     剣の握りをバットのようにひっつけて持つことで体幹を使うようにする、という説明はわかったのですが、ただ、本書には、じゃあ体幹のどこをどうやれば影抜きができるかについてはほとんど書かれていません。その点が少し残念ではありました。

     著者が今取り組んでいるのが「屏風座り」で、講演会でもほとんどの技を屏風座りの形でかけていました。
     ただこの屏風座り、かなり難易度が高いと思いました。特に私の場合、超絶的に体が固いので、足首や股関節の柔軟性も必要になってくると思われるこれは、一見して「無理!」と思いました。
     とりあえず、足腰の柔軟性を高めてからチャレンジしたいと思ってます。

     他にも、介護に応用できる体術など、面白い技が沢山載っています。ただ、本書は技の解説を中心とした専門的な本なので、著者の身体技法をあまり知らない人には、少し敷居が高いかも知れません。そういう方は、著者の別の本か、多田容子『自分を生かす古武術の心得』などを読んでから本書を読まれるとスムーズに理解できるのではないかと思います。

  • 帯表
    これこそが、単なる反復稽古で身につくものとは明らかに違う「術と呼べるほどのものへの道」なのだ。

  • 門外漢には荷が重い内容だった。
    さながら秘伝の書と言った風情があり、なにを言ってるのだろうとついつい思ってしまう。
    いいライターつけてよと思いつつ、また、youtubeがあって良かったなとも思う。

  • 詰まんねえ。
    読んでてイライラする。
    恐らくそれは、甲野先生やその武術に対してではなく、書かれる文章と本についてだ。

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著者プロフィール

1949年、東京生まれ。
20代はじめに「人間にとっての自然とは何か」を探究するために武の道へ。
1978年、松聲館道場を設立。
以来、日本古来の武術を伝書と技の両面から独自に研究し、2000年頃から、その成果がスポーツや音楽、介護、ロボット工学などの分野からも関心を持たれるようになり、海外からも指導を依頼されている。
2007年から3年間、神戸女学院大学で客員教授も務めた。
2009年、独立数学者の森田真生氏と「この日の学校」を開講。
現在、夜間飛行からメールマガジン『風の先・風の跡』を発行している。
おもな著書に、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫)、『できない理由は、その頑張りと努力にあった』(聞き手・平尾文氏/PHP研究所)、『ヒモトレ革命』(小関勲氏共著/日貿出版社)、『古の武術に学ぶ無意識のちから』(前野隆司氏共著/ワニブックス)などがある。

「2020年 『巧拙無二 近代職人の道徳と美意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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