100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

著者 :
  • 講談社
4.23
  • (1961)
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本棚登録 : 10744
感想 : 1379
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  • Amazon.co.jp ・本 (31ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061272743

作品紹介・あらすじ

これはひょっとすると大人のための絵本かもしれないが、真に大人のための絵本ならば、子供もまた楽しむことができよう。それが絵本というものの本質であるはずだ。そして『100万回生きたねこ』は、絵本の本質をとらえている。――週刊朝日書評より
このとらねこ一代記が、何を風刺しているかなどと考えなくても、すごいバイタリティーをもって生き、かつ死んだ話をおもしろいと思ってみればよいと思う。上級から大人まで開いてみて、それぞれに受けとめられるふしぎなストーリーでもある。飼い主へのつながりが無視され、前半と後半が途切れているようで、みていくとつながってくるふしぎな構成である。――日本経済新聞「こどもの本」書評より

日本図書館協会選定図書/全国学校図書館協議会選定図書

感想・レビュー・書評

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  • H30.9.2 読了。

    ・死を恐れない自分が大好きな虎ネコが、愛する者が出来てから愛する者と生きることを選んだ。どちらかというと大人向けの絵本。

  • 人生において、「泣きたくなる」ときの想いというのは、時に、全ての優先事項を投げ出したくなる程の、かけがえのない大切なものなのかもしれない。

    泣くことって、時に、堪えたり、我慢したりすることもできるけれど、そうした事を考える余裕もないくらい、気付いたら号泣していたときの、心の中って、どんな感じなのだろう?

    もっとアイロニーの効いた作品かと思っていたが、そんなことは全くなくて、「生きる」ことの意味と、「死」が訪れることの意味を教えてくれた、人生賛歌にも思えた、愛の物語でした。


    私の好きなシーン

    「おれは、100万回も……。」
    と いいかけて, ねこは,
    「そばに いても いいかい。」
    と, 白いねこに たずねました。

  • 実はちゃんと読んだことありませんでした。
    さすが100刷を超える不朽の名作。

    100万回の生を生き、100万回の死を経てきたねこは飼い主の誰も彼も嫌いで、受ける愛情にも興味を示さず、好きなのは自分のことばかり。
    他のねこ達からもちやほやされ、傲慢で王様気取り。

    そこで出会った白いねこ。
    他の取りまきねこ達と違い、どんなにオラオラ風を吹かせてもそっけないそぶり。
    そこでふと心からの本音を素のことばで伝える。
    「そばに いても いいかい。」

    真の愛情を知ったねこ。
    白いねこが亡くなったとき流した涙の痛々しさが胸をつく。
    心を入替え、素直であればこそ本当の喜び、悲しみがあるということ。

  • この本はブクログや姉に贈るにあたって前情報が頭にありました。
    姉にはもちろん新品を贈ったが、金欠なので私は行きつけとなったコミュニティの図書館で読む(笑)
    余談だが、今はカーリル https://calil.jp/ というサイトがあって事前に蔵書があるか確認できるのです。おや、書評やまとめも作成できるとは。ブクログに負けず劣らずですね。

    読んでみるとなかなかに切ない。
    100万回生きそしてあっさりと死んでいくとらねこ。何度も繰り返された生死。しかもそれは退屈な。

    100万と1回目(?)にしてただ一匹の猫としての生を受けます。
    ずーっと何をするにも「大嫌い」だった彼は自分のことが大好きになりました。
    しがらみもなく、また男として100万回をくぐり抜けた勲章を手にしたからでしょうか。
    マドンナのしろねこに語って聞かせます。でもクールビューティのしろねこはなんだか退屈そう。
    それからとらねことしろねこは結ばれます。
    そして突然の別れからとらねこは愛を見つけます。自分以外のものへの愛です。
    釈迦は輪廻転生を繰り返し、悟りを開きました。悟りを開くと二度と転生することはありませんでした。
    転生を繰り返した囚人ねこは、他者を愛することで、もう生まれ変わる輪廻から出ることとなりました。愛という悟り、いや大切な気づきを得たのですから。

    この絵本で著者は「慈愛」のメッセージを読者へ伝えたかったのではないでしょうか。
    子供が、自分以外の他者を認めはじめた時に、愛を持って接せるように。大人が他者に無頓着にならないように。

    ねこのように、他者へ、愛を伝えたくなりますね。

    • 5552さん
      夜型読書人さん、こんばんは。

      去年のクリスマスくらいにこの本を読んでから半年余り。
      懐かしいなあ、と思いながらレビューを拝見させてい...
      夜型読書人さん、こんばんは。

      去年のクリスマスくらいにこの本を読んでから半年余り。
      懐かしいなあ、と思いながらレビューを拝見させていただきました。

      未知の本のレビューを読むのも楽しいのですが、読んだことのある本を思い出しながら他の方の見解を知るのもまた格別です(^-^)

      夜型読書人さんのレビューの
      ‘子供が、自分以外の他者を認めた時に、愛を持って接せるように。大人が他者に無頓着にならないように’という言葉にはハッとさせられました。

      ついつい無頓着になりがちですから。

      コメント書きながら読みかえしてみたんですが、やはり素敵な、自分にとって大事なお話なんだなと思いました。

      それでは、お邪魔しました(^-^)/

      2018/05/13
    • 夜型さん
      こんにちは
      5552さんのコメントに感謝いたします。
      そうですね、読んでいてうーんと考えてしまいました。
      とても子供向けとは思えない文学性を...
      こんにちは
      5552さんのコメントに感謝いたします。
      そうですね、読んでいてうーんと考えてしまいました。
      とても子供向けとは思えない文学性を持った作品なのですもの。
      私の見解にそのように言っていただけて嬉しいです。
      またいつでもいらしてください。
      2018/05/13
  • 有料(30分200円くらい)で子供が遊べるアトラクションパーク内にて

    子供は遊具に夢中なので
    待ちつつ、絵本コーナーで再読

    タイトル通り、何度も死んでは
    飼い主が泣いて、猫はまた別の飼い主のもとで生きている(転生?)話

    生きかえることが、自動的ではなく
    猫自身の意思で決めていること
    がわかる。

    最後の決断は、覚えていたのに
    なんだか読み終えて気持ちが急に
    ソワソワしてしまった。

    大切な人を見つけて生きている自分の今、今を生きているのか?
    同じ決断ができるか?
    次の人生はないと思えるか?

    もう子供と遊びつつ、全力で積み木を
    ただただテーブルの上に並べ
    なんだかわからない迷路のようなモノを作りながらソワソワしていた。

    すぐにアトラクションの利用時間の
    期限が来てしまった。

    すぐに時間がきてしまうし
    「今」しかない。

    数ページの本なのに、考えさせられることが大きい。
    休憩時間に、気軽に手にとる本ではなかった。

    またどこかで出会ったら読もう。

  • ラストの一文は、どうみてもバッドエンドなのに、このストーリーの場合は幸せで満たされている。
    飼い主や、飼われる環境が大嫌い、自分も好きではないとらねこは、100万回も転生を繰り返す。あるときとらねこは、誰のねこでもないのらねこになり、自由を手にし、はじめて自分が大好きになる。ヒーローとなったとらねこは、自分に見向きもしない美しい白ねこに言い寄ります。しらーっとしてる白ねこですが、やがて結ばれ本当の幸せを見つけます。
    とらねこはきっと100万人の飼い主に感謝する気持ちも芽生えたでしょう。
    好きなセリフ
    そばにいてもいいかい
    ねこは、白ねこと たくさんの子ねこを、自分よりもすきなくらいでした

    何気に手に取った、いつか読みたいとは思ってた本でした。こんなに深いとは。今のタイミング、必然だったのかも。自分より大事な者が出来る人生は尊い。一回で終わる人生、今を大切に生きる。
    子供というより大人向け、染みる。声に出して読むと泣けてしまう。

  • 読書サイトで「100万回生きたねこ」を読んだ方が感想UP。この絵本わが家にあったな?と妻に聞き手に取る。初めて絵本を見て+読んでの感想。主人公のねこは、人間嫌い。人間に飼われていた時は100万回死んで生き返った。しかし、人間から離れ、最愛のねこの妻が死んでしまった時には決して生き返らなかった。どう解釈するべきか。。。多分、自分が選んだ人生が最高の満足を得たのだろう。これ以上の最高の人生はなく、悔いもないと。それだけ充実した人生だったんだと。人生、自分も悔いを残さないように愛妻とカタルシスを続けよう!

  • Eテレでやっている『ヨーコさんの‘言葉’』が結構好きでテレビをつけてやっていたりするとよく聞いていたりする。聞くとザワザワしていた心がシンとしてフラットに戻れる気がするからだ。
    そのヨーコさんのいわずとしれた代表作がこの絵本。
    高校生の時買って、数年後弟に借りパクされてから(職場に持ってって共有スペースに置いておいたら誰か持ってっちゃったらしい)数十年。
    他のブクログユーザーさんのレビューを読んだら、どうしてもまた読みたくなってしまい買ってしまいました。

    今日届いたので早速読んでみました。
    前と変わらないシンプルな装丁なので懐かしさで一杯になる。
    前は「ちょっと絵柄がワイルドすぎて好みではない」と思っていたヨーコさんの絵がとんでもなく素敵にみえる。

    昔読んだ本で、宮台真司さん?が「あれって囚人服だよね」と書いていたのを思いだし、この本の意味がちょっとわかった気がする。勘違いかもだけど。

    誰も愛さないことは罪。
    生まれ変わるのは罰。

    自分も他人も愛せないからまた‘生まれて’‘死んで’しまうのだ。

    ヨーコさんのこの絵本には仏教的思想がベースにある、というのも聞いたことがある。

    仏教に明るくないのでよく分かんないんですが。

    おはなしの内容ですが、まず何度も繰り返される「猫は○○なんか、大嫌いでした」の言葉に胸が切なくなる。なんで大嫌いだったんだろう。死んだら泣いてくれるのに。‘誰か’のものである猫生なんていらない、と思っていたんだろうか。
    理由はないのだろうか。

    百万回目にようやく‘誰のものでもない自分’になり自分を愛することを知る。

    自分に自信がある立派な猫なのでモテモテになるが、‘自分‘が一番好きなので他猫を愛することができない。

    「おれは100万回もしんだんだぜ。いまさらおっかしくて」

    そこに現れたのが白いねこ。
    とらねこの自慢に見向きもしない。

    その白ねこの態度がまた天然?小悪魔(笑)

    必要最小限の言葉と行動で自分大好きっこのとらねこの心を奪ってしまう。

    とらねこの「そばにいてもいいかい」は最強のプロポーズの言葉ですね。素直で押し付けがましくなく本当に心から出た言葉って感じがする。

    そしてラスト。
    白ねこが死んで100万回も泣いたとらねこは後を追うように死んでしまい、‘もう生まれなく’なってしまう。

    とらねこは‘罪’を許されたのだ。

    百万回も生きたのに、本当に「生きた」のは最後の一回だけだったんでしょうね。

    輪廻転生とか信じてないんですが、この絵本のおはなしにはグッとくるものがあります。

    今度は死ぬまで手元に置こう(笑)

    • 5552さん
      こんばんは、読書 猫さん。
      コメントありがとうございました。
      この絵本、いい本なんですよ~。
      大泣きしました(TДT)
      お姉さまにプ...
      こんばんは、読書 猫さん。
      コメントありがとうございました。
      この絵本、いい本なんですよ~。
      大泣きしました(TДT)
      お姉さまにプレゼントされたとのこと。
      喜ばれたでしょう?
      私は逆に持ってかれましたが...(^^;
      でも良い本なので弟の職場の人に読まれたかもしれないのは嬉しいことです。

      読書 猫さんの解釈にはなるほどと思いました。
      輪廻地獄、怖そうです。
      ‘死’を解放ととらえるのですね。

      レビューには書きませんでしたが、とらねこは白ねこを愛してなかったら、‘永遠に’生と死を繰り返したのでしょうか。「一億回も生きたんだぜ。いまさらおっかしくて」とか言いながら。
      どちらが幸せでしょうか。

      あ、読書 猫さんはお読みになってないんでしたね。私の拙いレビューの情報だけ(他のレビュアーさんのレビューもお読みになってるかもしれませんが)というのは作者のヨーコさんにあまりにも悪いので、本屋で立ち読みでもいかがですか(^-^)
      本が読めるって幸せなことですよね。
      読めないときはほんとに読めないですし。

      またお越しくださいね~。
      2017/12/23
    • えほんのむしさん
      5552さん、こんばんは。
      コメントありがとうございました!
      なかなか勇気が出ずコメントができなかったのですが、この機会に残していこうと...
      5552さん、こんばんは。
      コメントありがとうございました!
      なかなか勇気が出ずコメントができなかったのですが、この機会に残していこうと思います。

      誰も愛さないことは罪。
      生まれ変わるのは罰。

      この言葉にとても衝撃を受けました。
      私も小学生の時に「ドリフの囚人服みたい」と思ってはいたものの、レビューにも書きましたが鈍過ぎて全く理解できませんでした。
      それが二行で書けてしまうとは…
      読書感想文を書くのが苦痛でしかないような人ですから、5552さんのように書けたらどんなにいいかと思います。
      とっても羨ましいです!
      めずらしくスムーズに書けた夏目漱石の『こころ』の感想文は、先生に「えほんのむしは変わった考え方をするね、面白かったよ」と言われる始末です(笑)
      逆に一般的な意見がどうなのか聞いておけばよかったと今でも思います。
      (当時の自分がどんな感想を書いたのか忘れましたが)
      こんな変わり者でもよろしければ、今後もよろしくお願いします<(_ _)>
      2018/02/02
    • 5552さん
      えほんのむしさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます!
      誉められ慣れてないのでびっくりしてます。

      『100万回生きた猫...
      えほんのむしさん、こんばんは。

      コメントありがとうございます!
      誉められ慣れてないのでびっくりしてます。

      『100万回生きた猫』
      わたしも初めて読んだときは、「思ったより感動しないなあ」でした(^-^;
      しばらくして宮台さんの発言を知り、「へー、そんな意味があったんだ~」と。
      その後十年以上の時が立ちブクログをはじめました。
      そして、えほんのむしさんのこの本のレビューをポチしてくれた方がいて、新着レビューに上がっていたんです。
      読んでいた本だったので興味をもって読ませていただき、どうしても読みたくなって楽天ブックスで注文。クリスマスイブの前の日に届きました。
      すぐに読んで書いたレビューです。

      今まで忘れていたけど(笑)えほんのむしさんのレビューの投稿日からみてたぶんそうだとおもいます。
      夜中に感動しながら他の方のレビューもポチポチ押しました。
      遅ればせながらお礼を。
      レビューを書いてくれてありがとうございました。

      文章はコンプレックスがあって、高校生の頃文通相手に「5552ちゃんの書いてることはよく分からない」とぼやかれました(^-^;
      今でも「これちゃんと人に見せられる文なのか?伝わっているのか?」と不安に思いながら投稿しています。
      タブレットに「清書」されて載るとそれなりに見られるような気がしてくる(笑)ので、その誘惑に勝てないでいます。

      そうそう、わたしも小学校の頃作文で先生に「ユニークな作文ですね!」と感想を書かれましたよ(^-^)
      「私」と「テレビ」と「ビデオデッキ(DVD プレーヤーのようなもの)」が最近のアニメ事情を語り合うというものでした(^-^;
      作文っていうか、妄想...?(笑)
      喜んでもらえたから良かった、と思いましたが(ポジティブな小学生時代の私)
      えほんのむしさんの作文への先生の感想もたぶん、誉めているんですよ。
      「一般的」な感想はたぶん見慣れてらっしゃると思うので。
      私は自分のレビューが「一般的」すぎる感想だ!とちょっと悩んでいるくらいなので羨ましいです。

      長文になってごめんなさい。

      こちらこそよろしくお願いしますm(_ _)m


      2018/02/02
  • ねこはいろんなところで生きてました。あるときは王さまのねこで戦争に。あるときは、船乗りに。あるときはサーカスに。どろぼうもおばあさんもこどもも好きではなかった。何回でも死ぬのも平気だった。でも、白いねこに出会って、家族になって、白いねこが死んだら、悲しくて泣きました。
    感情がなかった、生きているのに死んだも同然のねこが、家族を持てたことで、人生(猫生?)が輝いたお話だった。そばにいる身近な人を大切にしたいなと思った。

  • 勝手に始めた「人気の絵本の特徴を見つけよう」の試み3冊目。
    こちらも絵本コーナーに行けば必ず平積みされていると言っても過言ではない超名作。
    だけどあらすじはすっかり忘れており、今回再読して、そういえば最後こういう結末だったわ!と懐かしい気持ちに。
     
    簡潔にまとめると、死んでは生き返るを繰り返してきた主人公のネコが、白ネコに一目惚れし、一途に求愛し、やがて家族となり、最期は彼女の死と共に自分も隣で永眠するというお話。

    再読して感じたのは、
    ・単純に人生やり直せるの羨ましい
    ・白ネコへの一途なアタック微笑ましい
    ・愛の力は偉大

    子供の時にどう感じたかをはっきり覚えていないことがかなり悔やまれるが、幼少期の自分には、猫がいろんな人生送るという部分が魅力的に映っていたんじゃないかな?と思う。
    大人としては、ラストの一途な愛とか、家族愛みたいなものの大切さを伝えたいという意図も大きそうだが、私はこのラストの展開完全に忘れてたしなぁ…。
    ストーリー展開は起承転結が割とはっきりしていて、猫の色々な人生というワクワク感、愛の力と感動のラストという要素もあり、男女関係なく楽しめる絵本だなと感じた。

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著者プロフィール

1938年、北京生まれ。絵本作家。ベストセラー『100万回生きたねこ』のほか『おじさんのかさ』、『ねえ とうさん』(日本絵本賞/小学館児童出版文化賞)など多数の絵本をのこした。
主なエッセイ集に、『私はそうは思わない』、『ふつうがえらい』、『シズコさん』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『死ぬ気まんまん』などがある。
2010年11月逝去。

「2021年 『佐野洋子とっておき作品集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野洋子の作品

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