モッキンポット師の後始末 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061312586

感想・レビュー・書評

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  • 聖パウロ学生寮で生活をすることになった小松という青年が、悪友の土田、日野とともにさまざまなアルバイトに手を出しては失敗し、その尻ぬぐいに寮長であるモッキンポット神父が奔走するユーモア小説です。

    三人の学生たちに振りまわされるモッキンポット師は、コテコテの関西弁をしゃべるアクの強いキャラクターですが、彼のひろく深い慈愛のまなざしのもとで、三人の学生の自由気ままな振る舞いが成り立っており、そんな彼にキリスト教の信仰に裏打ちされた強さをかいま見るようにも感じました。

    ただ古い作品だけに、ユーモア・センスが現代の読者の感覚からズレてしまっているように感じられたのもたしかです。エンターテインメント性の強い作品は、やはり賞味期限が短いところが弱点なのかもしれません。

  • 井上ひさしの連作小説『モッキンポット師の後始末』を読みました。
    『東慶寺花だより』に続き、井上ひさしの作品です。

    -----story-------------
    食うために突飛なアイディアをひねり出しては珍バイトを始めるが、必ず一騒動起すカトリック学生寮の“不良”学生3人組。
    いつもその尻ぬぐいをさせられ、苦りきる指導神父モッキンポット師──ドジで間抜けな人間に愛着する著者が、お人好し神父と悪ヂエ学生の行状を軽快に描く笑いとユーモア溢れる快作。
    -----------------------

    1971年(昭和46年)から1972年(昭和47年)に、講談社発行の月刊小説誌『小説現代』に発表されたモッキンポット師シリーズの5篇を収録した作品です。

     ■一 モッキンポット師の後始末
     ■二 聖パウロ学生寮の没落
     ■三 聖ピーター銀行の破産
     ■四 逢初一号館の奇蹟
     ■五 モッキンポット師の三度笠
     ■あとがきにかえて──
     ■解説 松田修
     ■年譜

    昭和30年頃の東京を舞台に貧乏学生の主人公・小松と寮友・土田、日野の不良学生3人組が巻き起こす騒動… 草野球向けの野球臨時要員派遣業を結成したり、アメリカからの救済衣料を着服したり、捨てられてるパンの耳からパン粉製造販売したり、犬の訓練業に手を出したり、大衆演劇の舞台に立ったり、、、

    発想豊かなで犯罪まがいの珍バイトを次々と考え出し、それぞれ最初は成功するものの、慢心等から失敗することの繰り返し、それを関西弁を喋るモッキンポット神父が後始末するという展開… しかし、モッキンポット師の善意は空回りし、何度も裏切られ、最後は旅回り一座の舞台に立った事を咎められ本国送還されてしまいます。

    井上ひさしの半生がベースの半自伝的ユーモア小説でしたね… 登場人物が生き生きと描かれているところが印象的でした、、、

    読みやすく軽快な文章でしたが、流石に時代が違い過ぎるせいか、物語に入り込めませんでしたねー ちょっと物足りなさを感じました。

  • 借り物。同じことの繰り返しですが、最後は上手く締めたなって感じです。

著者プロフィール

(いのうえ・ひさし)
一九三四年山形県東置賜郡小松町(現・川西町)に生まれる。一九六四年、NHKの連続人形劇『ひょっこりひょうたん島』の台本を執筆(共作)。六九年、劇団テアトル・エコーに書き下ろした『日本人のへそ』で演劇界デビュー。翌七〇年、長編書き下ろし『ブンとフン』で小説家デビュー。以後、芝居と小説の両輪で数々の傑作を生み出した。小説に『手鎖心中』、『吉里吉里人』、主な戯曲に『藪原検校』、『化粧』、『頭痛肩こり樋口一葉』、『父と暮せば』、『ムサシ』、〈東京裁判三部作〉(『夢の裂け目』、『夢の泪』、『夢の痴』)など。二〇一〇年四月九日、七五歳で死去。

「2023年 『芝居の面白さ、教えます 日本編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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