獣林寺妖変 (講談社文庫 あ 5-3)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061317673

感想・レビュー・書評

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  • 『娯楽』★★★☆☆ 6
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★☆☆ 9
    『意外』★★★☆☆ 6
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★★ 5
    【尖鋭】★★★★★ 15
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》80 A-

  • 初めて読む作家さん。重厚感があって引き込まれた 。歌舞伎や能など芸事の世界を描いた作品が主だが、あまりそのような世界のことに明るくない自分でも読みやすく、すんなり入っていけた。なるほど男色描写がこういう風に入っているのか。読めて満足。個人的に一番よかったのは「殺し蜜狂い蜜」。二人の青年の不思議な関係性、どちらの言うことが真実なのか。謎を解明しようとすればするほど深みにはまっていってしまう感じが良かった。

  • 昭和46年版

  • 耽美を読みたいと思ったときに、私は読むべき作家を、赤江瀑を知っている、ということの優越感。巻末のファンレターとして辻村弘子さんがおっしゃっていることも同じだと思う。

    獣林寺妖変は歌舞伎、
    ニジンスキーの手はバレエ、
    禽獣の門は能、
    殺し蜜狂い蜜は現代詩と蜜採取を、

    突き詰める、また自らの手によって突き詰められる男たちの濃縮された世界。いやあ。ご馳走様です。

  • 著者の1971年発表の処女短編集で、表題作や小節現代新人賞を受賞した「ニジンスキーの手」他計4編が収録されています。(なお角川文庫の「ニジンスキーの手」は題名は異なりますが同じ内容ですので、これから購入される方はご注意ください。)
    収録作品はいずれも歌舞伎、バレエ、能といった世界を舞台に人間の狂気を官能的に描いており、独特な世界観を強く感じさせます。(同性愛ネタがやたら多いのがちょっと気になりましたが 笑)
    どの作品も哀しくも美しい(ボキャブラリィが貧相ですいません。。。)結末が特に印象的ですが、個人的なベストは、一番映像的なイメージが鮮明であり、また登場人物の思いが切なく、自然と感情移入してしまうような表題作です。

  • いや、初版を手に入れたのでつい。3版だとちょいとカバーの色が違うらしい。とまれこれを読んでから血天井めぐりなぞしてしまったのであった。

  • 著者デビュー作を含む短編集。
    この本自体は初めて読んだが、
    実は『ニジンスキーの手』(角川文庫)と内容(収録作)は同一だそうな。
    道理で既視感が。
    表題作は若き歌舞伎役者たちの狂おしい血のカノン。
    芸事に一途にのめり込み過ぎる人と、
    その求道者ぶりを「命を削ってしまいそうだ」と
    不安げに見守る人との関係を描くことに力を入れている――ように思えるのだけど、
    とにもかくにも、何かが過剰に迸る初期作品。
    情念がギチギチでパッツンパッツンに怒張。
    適当かどうかわからないけど、譬えるなら、枕に羽毛を詰めようとして、
    程よいところでやめればフワッと仕上がるにもかかわらず、
    ギュウギュウに充填してパンッパンな出来上がり、みたいな感じ。
    なので、大方、安眠には適さないし、顔を埋めれば簡単に窒息しそうな趣なのです。
    いや、はち切れんばかりの枕に顔は埋められないですね(笑)って、
    それはどうでもいいか。
    医師の一人称で綴られた「殺し蜜狂い蜜」が一番読みやすく、好み。

  • 匂いたつ闇色の情念と狂気。

  • 闇へ堕ちたい、と幻影と阿片が囁く。月に煌めいたロマン。

  • 340
    関ヶ原合戦のおり千数百名の血を吸って落城した伏見桃山城。その床板を使った洛北・獣林寺の血天井を学術調査中、ルミノール鑑定にひときわ青く燃えたって発見された、新しい血の斑痕……歌舞伎の魔に挑み、燃え朽ちていった魂の彷徨を描く表題作の他、阿片的魅力の代表作三篇を収めた伝奇ロマン集。
    獣林寺妖変・ニジンスキーの手・禽獣の門・殺し蜜狂い蜜

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著者プロフィール

1933年下関生。日本大学芸術学部中退。70年「ニジンスキーの手」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。74年『オイディプスの刃』で角川小説賞、84年『海峡』『八雲が殺した』で泉鏡花文学賞。2012年没。

「2019年 『オイディプスの刃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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