- Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061323865
作品紹介・あらすじ
それは、たった100年ほどまえのこと…。絶滅してしまったエゾオオカミと人間の歴史をシマフクロウがしずかに語ります。
感想・レビュー・書評
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生態系のバランスについて学べ、人間が介入してしまうことで崩れることに気づかせてくれる絵本。
語り手のフクロウの切り込み方の迫力がすごい。
全滅した後にエゾシカはまた自然に増えていったのに、エゾオオカミはなぜ全滅したまま増えないの?と子どもから疑問が。私もそこだけ疑問です。
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「オオカミがシカを食べることも、シカがオオカミに食べられることも、悪いことではないのだ」
旭山動物園における動物たち。園長の信念。エゾオオカミ物語は、現代社会にたくさんの問題提起をしている名著です。(7分)#絵本 #絵本が好きな人と繋がりたい #エゾオオカミ物語 #あべ弘士 #講談社 -
絶滅の途をたどったエゾオオカミの悲劇を描いた絵本。
かつて北海道の地で生態系の輪を保ちながら自然の一部として存在していたエゾオオカミ。
人間が開拓によって介在したことから悪者扱いされ
それは結果的に絶滅へと繋がってしまう・・・。
人間のエゴを直接的に描き 言いたいことをダイレクトに盛り込んだ仕上がりだが、“絵本”としてはどうか。
何を善とし悪とするかを読み手に考えさせる作りでないのが残念。
観念を押し付けらる読後感。 -
"肉食→カッコイイ!草食→肉食に食べられてかわいそう"から一歩進んで自然のバランスについて考えてくれたらいいな。
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この地球上で毎日100種類以上の生き物が絶滅していっているという。
私達はそのほとんどを知らずに生きている。
そして、その中には人間が絶滅に追い込んだ生き物もあるだろう。
北海道に生息していたエゾオオカミも絶滅した生物のひとつだ。
ふくろうおじさんがモモンガ達に語りかける。
オオカミたちがどうしていなくなったのかを。
それはたった100年まえのことだった。
食料であるエゾシカの数が大雪で減り、オオカミは餌を求めて牧場の馬を襲った。
オオカミは人間に駆除されたが、後にエゾシカの数は増えていった。
今度はエゾジカが人間に疎まれるようになった。
そしてふくろうはこう言った。
「そうしたのは、ほんとうは”だれ”なんじゃろう?」と。
自然は絶妙なバランスの上に成り立っている。
それは何者かのちょっとした行動であっという間に崩れる。
去っていった生き物は、二度と戻らない。
人間だけが自然から離れて生きているのだろうか。
いや、誰もが自然から離れては生きていけないはずだ。
私達人間でさえも。 -
エゾオオカミがなぜ絶滅したか。
フクロウにより語られます。
最後にはフクロウより大人も考えさせられる台詞が・・・
この絵本との出会い。
道の駅『絵本の里 けんぶち』で出会いました。
旭山動物園のオオカミの壁に書かれていたエゾオオカミの物語。
とてもいい話だな~っと漠然と思っていました。
その絵本版がこれです。
もっと長い物語になっていて、すばらしい!
この出会いに買っておかなければと思い購入。
その夜、みんなで一緒に読みました。
この絵本で私が考えさせられたこと
人はなんて勝手な生き物なのか?
自己利益のためなら、ある動物を絶滅させてもよい。
確かに、家畜を守るためにオオカミを殺したのでしょう。
でも、果たしてそれしか選択肢がなかったのか?
仮に、家畜をオオカミに食べられてもいいだけ飼育してみては?
または、オオカミが進入できないように知恵比べをしたのか?
まだ、人間側の努力を私は知りません。(勉強不足です。)
オオカミを絶滅させたことによって崩れる食物連鎖。
自然の崩壊の始まりです。
私にできること
この絵本を見ていただきたいとブログで発言すること。
賢い方、将来賢くなる方、この絵本をきっかけにして、少しでも絶滅していくものを減らしてもらいたい。
こころのどこかに、このようなことが起こったことを心に留めていただきたいと思います。
このエゾオオカミを他のものに例えて考えてみてください。
絶滅させてよいものは?
子供の質問(絵本を読んだ次の日に)
なんでエゾオオカミを一匹もいなくなるまで殺したんだろう?
私の応答
悲しいことだね。開拓者の目からは悪者に見えたんだね。
としか答えれませんでした。
どうして開拓者は絶滅させたんだろうね?
ブログより -
さむい、さむい、冬の夜。
基調は濃くて深い群青色。
そんな空に月と星が浮かんでいる。
月の光に誘われて集まってきたモモンガたちに、
ふくろうは物語を語る。
「さてと、今夜はだっれの話をしようかのお。
そうじゃ、オオカミのことは、まだであったかな。」
きっと、ふくろうの昔語りは恒例になっているのだろう。
ふくろうとモモンガたちがいる木の枝の上には雪が積もっている。
ふくろうの目はほとんど開いていない。
「しばれたのお。」がとても実感がこもる、冴え冴えとした月の夜。
ふくろうが語るのは、むかし、北海道の大地にいたたくさんのエゾオオカミのこと。
群青の背景に、黒い体、白い雪が積もったような輪郭、
左半面は黒く、右半面は灰色でしっかりと目を見開いたオオカミ。
これは、表紙から裏表紙までぶち抜いて描かれている絵でもある。
冬から春にかけて、オオカミがどのように生きてきたかが語られる。
「おかあさんのおっぱいをのんで、おとうさんの口からやわらかくなった肉をもらって大きくなる。」
そうか、両親そろって子育てをしていたんだな。
5、6頭の子供たちがころころともつれ合っていて、
母親の子どもを見つめるまなざしがやさしい。
えもののエゾジカは、協力し合ってみんなで狩りをした。
オオカミは黒の体に灰色の毛、エゾジカは濃い赤茶色。
対照的なコントラストで描かれている。
オオカミがシカを食べることも、
シカがオオカミに食べられることも、悪いことではないのだ。
そのことは、オオカミもしかもよくわかってのことだ。
このあたりのことは、先住民も理解していて、
命をもらうことに対して敬意を払って狩りをしていたということを
思い出しながら読んでいた。
ページを開くと、まさにアイヌの人のことが出てきた。
オオカミとアイヌは、「たがいの息づかいをかんじながら、ともに生きてきた」のである。
アイヌもオオカミも、互いに怖いという気持ち、尊敬の気持ちを持っていたのだ。
アイヌとオオカミのことが語られているページは、緑の濃い山々が描かれていた。
オオカミの近くに人々の住まいのある絵が描かれていた。
「ところがじゃ・・・。」
ふくろうの黄色い目がかっと見開かれ、モモンガたちを見つめる。
ちょうど真ん中の見開きのページ。
ここから、転調する。
びくっとした。
雪が何日も降り続き大地は真っ白になり、シカは食べるものがなりたくさん死んだ。
えものがなくなって困り果てたオオカミは・・・。
今私たちがエゾオオカミに会えないのは、なぜか。
内地から来た人間たちが何をやったのか。
黒と赤のコントラストがそれを物語っている。
そして、シカは再び戻ってきたが、オオカミは戻ってこない。
このシカの赤茶色。
シカはこんなに赤かっただろうか。
オオカミから流れていた血の色のように見えるのは私だけだろうか。
ふくろうは再び目を開く。
見つめているのは、モモンガたちではない。
こちらである。
このふくろうの問いを私たちはしっかりと考えなければならない。 -
ふくろうが語る自然の歴史と人間のエゴで動物を殺戮してきた結果が、現在の自然のバランスを崩している状況を作り出していると指摘
している。
世界中で絶滅危惧にある動物のほとんどが、人間のために犠牲になっていることを伝えようとしていることが感じられる。
人間と動物が共存をしていくにはどうしたらよいのか、考えさせられる一冊です。
子供と一緒に話をしてみると、良い本と思います。 -
鹿に困ってるヒト オオカミが居なくなったのはなぜ?
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あべ弘士先生は北海道が舞台、自然が舞台のことが多いのでしょうか。
ほんとうに勉強になる絵本ですね!!
タンチョウを救った伊藤さんは、同じことを2度と繰り返さないために、タンチョウを救ったのでしょうか。救わなければオオカミとエゾジカのように、いずれは人間にかえってきたのでしょうか。
ほんとうに考えさせられますね。