空の絵本 (講談社の創作絵本)

  • 講談社
3.99
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本棚登録 : 767
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・本 (36ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061324879

作品紹介・あらすじ

詩人・長田弘が生みだした美しいことばの粒。かけがえのない一日一日の鮮やかさ。絵本作家・荒井良二がかみしめ、味わって、一枚一枚の絵に描ききった珠玉の一冊。

感想・レビュー・書評

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  • ページをめくると、表紙の青空から一転、雨粒が森に落ちてきます。
    その雨がだんだん強くなり…。

    自然のスペクタルを存分に味わえる絵本。
    クレッシェンド(だんだん強く)からトランクィッロ(穏やか)に。
    まるでドラムの音ひとつから、オーケストラの音楽が始まるように。
    クラシックの音楽家はこんな風に自然からインスピレーションを得ていたのかな。
    古代の人はこんな風に自然が織りなす劇場を洞窟から眺めていたのかな。

    台風や嵐に興奮しちゃうお子さんは特に夢中になりそう。

    音楽用語は付け焼き刃の知ったかぶりです。

  • 梅雨だというのにここ数日は、カラッカラッの晴れ。
    ちよっと、空の絵本を開けてみたくなった。

    だん だだん だんだん 雨はつよくなり
    から始まり、空の色が変わってゆく様子が絵だけでよくわかる。
    青から灰色に横なぐりの雨は、銀色。雷の金色。
    そして、明るくなり緑の色は、鮮やかで。
    空もきれいな空色。
    しずくが、水晶のようにキラキラ。
    やがて、美しい夕焼けから白い月が、そっと顔を出し、だんだん夜空が広がってくる。
    星たちのきらめき、またたき。

    とてもわかりやすい絵で、空の様子、移り変わりがよくわかる。

  • 詩人の長田弘さんと、絵本作家の荒井良二さんの創作絵本、二作目です。

    本当は、一作目の「森の絵本」から読みたかったのですが、図書館になかったため、この作品から。

    荒井良二さんの絵を見るのは初めてで、一見、大胆でラフな感じに見えますが、空の移り変わってゆく様子に合わせて、激しさや繊細さや美しさといった、情景の目まぐるしい変化を丁寧に描いており、そこに、長田さんの言葉遊びに富んだ詩が一緒になって、正に、その言葉どおりに荒井さんの絵が変わっていくのを見ることで、ひとつの壮大な物語を感じられました。

    また、雨が上がった後の、目の覚めるような明るい空に変わるページをめくって見たとき、あまりの雰囲気の違いに、思わずはっとさせられたのですが、それは、私自身の気持ちまで明るくさせてくれる、荒井さんの絵の魔力のようなものを感じ、とても印象的でした。

    他にも、山の稜線がすっきり見えるのと対照的に、細かい色を散りばめた夕方の空や、鳥たちがかえってくる薄暮の細かい描写や、大きな月の下にうさぎたちが佇む夢に溢れた可愛らしい描写等、ページをめくる度に新たな驚きと喜びを発見できる、素敵な絵本です。

    ひとつ欲を言えば、もうひとまわり大きいサイズで絵を楽しみたかったのですが、このサイズで、子どもたちに気軽に読んで欲しい気持ちも分かるので、そこはあまり気にしていません。コンパクトで持ち運びにも良さそうですし。

  • 茜色の夜明けの空、湿り気をいっぱいに含んだ夏空に浮かぶ重そうな雲、たなびくうす雲に見え隠れする名月、いろいろな情感といっしょに空の風景は心の中にある。

    物語のはじめから最後まで、力強く、躍動感あふれた絵が続きます。嵐が始まり、雨がやみ、夕暮れの静かな時を迎え、やがて静かな月夜に移りゆく風景。長田さんのリズムのある文章とともに、深く語らいかける。

    嵐の風の音、雨上りの森の匂い、夜空に冴えわたる月の光、星達がまたたく音も聞こえてくるようです。

    表紙の青い空から、裏表紙の月夜の空まで、自然の中に生き生きとした空の変化が、音や色、匂いや冷たい雫、五感いっぱいに広がってきます。

  • 「だんだんだんだんだん」

    (4分)

    「空の絵本」「森の絵本」「水の絵本」の荒井良二さん、長田弘さんの三部作。自然の空の生きる音が感じられ、心にだんだん響いてくる。生きているのだ。命は叩かれて動くのだ。

  • 『森の絵本』『水の絵本』に続く、詩人<長田弘サン>&画家<荒井良二サン>のコンビによる第三弾。 〝「あっ、雨」...だんだん雨はつよくなり...ふきぶり、よこなぐり、葉の色が流れ、風の色が渦巻いて...いつしか遠くなって静かになって「あっ、やんだ」。空気が透きとおって、空いろは空色に、光は金色に、水のいろは銀色に...山々の形が空にくっきり浮かんで...〟空の下で育まれる自然の情景が、哀調ある詩(つらなる言葉)と、迫力の絵筆で一枚一枚描かれた、絵画展の中にいるような絵本。

  • 光の描き方や夜空の絵が良かった。

  • 私は空を見るのが大好きです。
    特に青空と白い雲。
    辛い時、悲しい時には特に空を眺めたくなります。
    大きくて広い空を眺めていると、ちっぽけなことに悩んでいる自分を客観的に見つめることができ、「大丈夫、大丈夫」と元気をもらえる気がします。

    この絵本の表紙が大好きな青空だったので借りましたが、読んでみると雨が降り始めたところからスタート。
    大雨、雷、風、光、夜空・・・空の様々な表情を見ることができます。

    2011年、出版。
    長田さんは福島、荒井さんは山形生まれとのことでお二人のふるさとへの熱い思いが絵本になっているような気がしました。
    たくさんの人々がこの絵本で元気をもらえますように・・・

    同じコンビの『森の絵本』もぜひ読みたくなりました。

    • 8minaさん
      はぴさん、こんにちは。
      青い空と白い雲。雲が元気な夏ですね。
      私も小さいころ、屋根に上ってぼんやり雲を眺めるのが好きでした。春の暖かな日...
      はぴさん、こんにちは。
      青い空と白い雲。雲が元気な夏ですね。
      私も小さいころ、屋根に上ってぼんやり雲を眺めるのが好きでした。春の暖かな日は背中の瓦が温かく、猫のよう。
      この本から伝わる感じがとても好きです。
      2014/07/26
    • はぴさん
      8minaさん、こんにちは。
      この表紙みたいな空がよく見られる時期ですね^^
      8minaさんの小さいころの思い出・・・とっても素敵です♪...
      8minaさん、こんにちは。
      この表紙みたいな空がよく見られる時期ですね^^
      8minaさんの小さいころの思い出・・・とっても素敵です♪
      私も小さいころ、寝転んで雲を眺めた思い出があります。
      雲の形が変わっていくのが不思議で面白くて、ずっと眺めていた記憶があります。
      空をぼんやり眺める時間をまたゆっくり取りたいなと思いました。
      2014/07/26
  • 面白い文章だなって思ったら長田さんは詩人なんだ。

    雨が降り出す空から始まり、激しい雨、雨がやみ、だんだん晴れてきて、日がくれて、夜の空になって、おやすみ… そんな様子を「だん、だだん、だんだん」リズミカルに書き上げたシンプルな絵本。
    荒井さんの力強い絵が長田さんの文を盛り上げる。

  • 原画展を偶然見に行きましたが、荒井さんの自然の描写はのびのびと広大で見ていて気持ちのいいものでした。
    長田弘さんの文字のリズムも心地よかったです。

    草木のしずくが零れ落ちる表現が印象的。

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著者プロフィール

長田弘(おさだ・ひろし)
1939年、福島県福島市生まれ。早稲田大学第一文学部独文専修卒業。詩人。65年、詩集『われら新鮮な旅人』でデビュー。98年『記憶のつくり方』で桑原武夫学芸賞、2009年『幸いなるかな本を読む人』で詩歌文学館賞、10年『世界はうつくしいと』で三好達治賞、14年『奇跡―ミラクル―』で毎日芸術賞をそれぞれ受賞。また、詩のみならずエッセイ、評論、翻訳、児童文学等の分野においても幅広く活躍し、1982年エッセイ集『私の二十世紀書店』で毎日出版文化賞、2000年『森の絵本』で講談社出版文化賞を受賞。15年5月3日、逝去。

「2022年 『すべてきみに宛てた手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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