虚無への供物 (講談社文庫 な 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (666ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061360044

感想・レビュー・書評

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  • 随所に挟まる中井英夫ワールドの小ネタが…いいですね…。
    三大奇書っていう肩書に関しては(うーん…???)と思ったけど、幻想小説なんてみんな奇書っぽいかと思ったらそりゃそうだな…とも思った。

  • "日本推理小説三大奇書"
    その肩書きがきっかけ。それ以上でも以下でもない。

    読んでいて面白かった。
    分厚いけど苦にならなかった。

    でもそこまで"奇書"とは思わなかったかな。「当時は」画期的だったのかもしれないが令和を生きる私にとってはそこまで目新しいものではなかった。

    それでも時代背景以外は古さを感じなかったのはすごいと思った。

  • 2023/2/11読了。
    僕はミステリや探偵小説をあまり読まないので、マニア向けの内輪ネタが頻出するこの作品がミステリとして面白いのか優れているのか、よくわからない。僕は本書をある種の「戦後東京小説」として読んだ。
    本書の巻末に付されている解説によると、この作品は「アンチ・ミステリ」の意図を持って書かれたものだという。ミステリの形を借りて別の何かが表されたものだとすると、その「何か」は、確かに優れたものであるに違いない。ミステリをあまり読まないこの僕に、かなりの勢いで読了させてしまったのだから。
    読了して思ったのは、この作品は戦後の東京を舞台にしたものではあるけれども、現代をある一点において正確に射抜いたものでもあるということだ。
    氷沼家の不幸と崩壊をまるで消費するかのように謎解きに淫する登場人物たちの振る舞いや、広島原爆や洞爺丸事件や聖母の園養老院火災の馬鹿げたレベルの死者数が、東日本大震災やコロナパンデミックやロシアのウクライナ侵攻やトルコ・シリア大地震に翻弄されるこの平成から令和にかけての一億総SNS時代を、どこか一点で正確に射抜いているように思えたのだ(もちろんこの時代に生きる僕ら自身も、読者のつもりでいるけれども、実は登場人物だ)。その一点に名前をつけようとするならば、『虚無への供物』というのは有力な候補の一つとなるのではないか。
    そういう作品を一般的には「古典」と呼ぶ。本書もそう呼んでいいと思う。

  • 再読。初読は36年前。何も憶えていない。なので初読と同じだ。言葉使いが古いので最初は読みづらいが、慣れるとスラスラだ。
    読み終わったが、何だかなあ。この様な趣向を楽しめない質なので、持て囃されているのが解せない。初読時も「何だこれ?」という思いだったのだろな、と思う(憶えていないけど)。壮大な冗談に付き合わされた気持ち。

  • 日本三大奇書のひとつと知り、読んだ。厚みのある本だった。登場人物たちが事件の推理をするが結局真相は分からず、次の事件が起きる。事件が起きる前に動きだそうとしたり、存在するのかしないのか分からない人が居たり…読みながら混乱した。
    最後まで読んで「あれ?結局何だったんだろう?」と思ってしまう。

  • アンチ推理小説の推理小説。大長編。呪われていると噂のある氷沼家の関係者が密室殺人で殺されていく。アリョーシャを含めた登場人物たちは妄想めいた荒唐無稽な推理を展開しつつ、犯人を探っていく。

    _________

     最初のマッチの絵柄について。モハメドアリが1942年生まれで、時代設定1954年だからモハメド・アリ12歳なんだが。そんな年でもう活躍していたのか?

     人が死んでるのにみんなで探偵ごっこして楽しむ不謹慎さ

     スタインベックのエデンの東が映画化して公開されたのは1955年の3月か。

     登場人物たちの心情がまるで理解できない。共感するのが無理なよくわからん気持ちに対する説明が多い。

     牟礼田、カッコつけて賢そうに何かを言うが、まったく意味のわからないことしか言わない。一番ムカつくし気持ち悪い。

     暗合があるというが、それが暗合なのかが全然わからない。腑に落ちない。

     作中の牟礼田の小説と、現実との区別がよくわからなくなる。

     えっ、アイヌは? 風呂場で聞いた声は? いったいなんだったの?

     この小説を一言でまとめると作中にも登場する「気違いお茶会」であると思う。狂人の論理で話が進み、推理する方も、犯人も狂ったことを言い続けている、みんな気が狂っている、というのがすごくしっくりくる小説

     617ページ後半の蒼司の言葉が小説のテーマか。

     ていうか、最後まで牟礼田は何言っているかわからんし、最悪だな。

     読む労力に対して得られるものがまるで何もない本。超つまらない。

  • いつの世でも変わらない人間の愚かしさ、傲慢さ、危うさが上手く表された一冊。難しい本かと気構えていたが、とても読みやすくサクサク読めた。どうかこの本を思い出す事件、事故が少しでもこの世から減りますように。

  • 再読したい。
    でも、他に読みたい本がいっぱい。
    そんなのばかり。

  • 三大奇書という前提と表紙イラストの怪しさに期待してページを捲ると意外にもキャッチーなキャラクターが多数登場し、他の二冊の様な極端なダルさも感じることなく読み終えました。

    トリックがスゲーとかいう物ではないが、アニメにしても映えるような登場人物や当時の風俗や情景等が興味深い。

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著者プロフィール

中井英夫(なかい ひでお)
1922~1993年。小説家。また短歌雑誌の編集者として寺山修司、塚本邦雄らを見出した。代表作は日本推理小説の三大奇書の一つとも称される『虚無への供物』、ほかに『とらんぷ譚』『黒衣の短歌史』など。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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