ソクラテス最期の弁明 (講談社文庫 こ 1-3)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (313ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061360471

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  • 1976年出版。
    昭和の若者たち。
    高校3年で車を乗り回し、時に酒を飲み、ダンスに興じる。
    しかし闘争心は失われ、代わりに受験戦争と言う戦いに疲弊している。
    華やかなようで、なんだか疲れている。
    これは今の高校生も同じなのかもしれないですね。
    でも今よりもお金が潤沢にある感じがするよ。

  • 滑稽で反体制的小粋なヤング悪漢
      「双眼鏡が焦点を結ぶと、そこに乳房があった」の書き出しで始まる。
     第一作目の「アルキメデスは手を汚さない」が、一九七三年に第十九回江戸川乱歩賞を受賞した際、小峰は「向こう見ずで滑稽で反体制的で、それでいて自分のやりたいことに関しては辛抱強くて、小器用で小粋ですらある拗ね者のヤング悪漢、そんな竃代悪漢小説〃を書いてみたい」と述べているが、その後、ギリシャ哲学省の名を題名にとりいれ、高校生を主人公にしたシリーズを次々と発表。「パスカルの鼻は長かった」(奈艮)、「ディオゲネスは午前三時に笑う」 (大阪、福井) 「プラトンは赤いガウンがお好き」 (堂島)と、奈阪神を舞台にした作品が多い。

    北新地を舞台に深まる謎

     東大を目指す秀才、桐原は梅田の予備校に通っている。 桐原は挟い階段を五段まで昇った。登りつめた踊り場の窓から見下ろすと東西に薄汚れた屋根がtんでいた。曽根崎新地の通称キタのバー街である。飾り立てられたのは正面だけで背後と屋根は長屋なみだなあと思いながら、桑の巣はどのあたりかと目を走らせた」
      「バー街をゆっくりと歩きながら趣向を凝らした看板に目を走らせたが、十メートルと歩かないうちに、数百軒といわれる店のなかから『桑の巣」を探す無謀さに気ついてときおり講師たちと行く、裏通りの「歌劇』へ人った」
     小峰は教員を経て、新聞記者をしていたが、時代感覚の鋭さ、若い世代の心をつかむ術は、その時代につちかったものだろう。これらの描写は以前動めていた毎日新聞ビル付近の眺めではないだろうか。
     さて、「ソクラテス・:」は、須磨海岸、夙川、六甲スカイホテルなどを舞台にくりひろげられる。
     男女一組を乗せたボートが転覆する。女性は水死。救助された男は、何と高校三年生の桐原。女性はバー桑の巣のママ。事件は過失死として処理されるが、このボートを双眼鏡で眺めていた大学生、朝倉は、事故に疑惑を感じる。が、その矢先、朝倉は、高速道路で自動車事故にあう。

    新鮮な高校生群像

     恋愛、セックス、受験などを通した高校生群像を活写した「ソクラテス・・・」は新鮮な活力に溢れている。氏の作甲に描かれる大人達は、大むね道化役であるのに、塾の経営者で、瓦全共闘の笹垣だけは生き生きと描かれている。「灰とダイヤモンド」のように最後に死んでいく笹垣から、小峰の思い入れが伝わってくるようだ。
     構成も内容もひとひねりして、思わず本に引きこまれてしまう。推理ファン、高校生にとって見逃せない作品だ。

  • (メモ:高等部1年のときに読了。)

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