ムーミン谷の冬 (講談社文庫)

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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061380967

感想・レビュー・書評

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  • ムーミン谷の厳しい冬の描かれ方にこちらまで凍えそうになりました。
    心細さと寒さで、私なら心が折れてしまうところです。
    ムーミンは冬という季節を通してまた成長したようです。
    時に厳しいおしゃまさんですが、それは見放していたわけではなく、実は見守っていたんですね。
    ムーミンが初めて雪を見て触れた時の穏やかなシーンがよかったです。

    春が来て、どんな音にも起きなかったママがムーミンのくしゃみで一番に起きるというのが素敵でした!
    冬のムーミン谷にトリップしていた私はママの前向きさと優しさと愛にとても安心しました。(笑)ムーミンママは春の象徴のようですね。

    ミィはやはり強くて元気な女の子でシリーズを読むたびに惚れ直します(笑)
    みんなにちょっとめんどくさいと思われてたヘムレンさん、あれは一応理解されたのでしょうか?めそめそとサロメちゃんと楽しく旅をしてくれたらいいなと思います。
    サロメちゃんかわいい!!

  • 『楽しいムーミン一家』に引き続き読みました。

    ムーミンは冬は冬眠するのです。お腹に松葉をたくさん溜めこんで。
    ところがこの年、パパもママも仲間もみんな寝ているのにムーミンだけ目覚めてしまうのです。
    生まれて初めて冬を体験するのです。
    そのワクワク感ともう一方の心細さなど、あぁ私も子どもの頃には、いろんなことにこういう感覚をもったものだよなぁと懐かしい気持ちがこみ上げてきました。

    雪にすっぽり覆われた谷、それが春に向かって変わっていく様、なんとも言えず良かったです。穏やかな時間を過ごすことができました。

    子どもが読んでももちろんいいし、
    でも、もしかしたら、むかし子どもだった人が読むともっといいかもしれませんよ。

  • 初めて読んだ時に冬の景色の描写に目から鱗が落ちる思いがした。

    ここ3年ほどで雪山に入ることを覚えて、昨日今日と山を歩いた。
    風に吹かれた雪が作った模様や質の違う雪が層を作るのを見て、
    軽い吹雪の中稜線を歩いて、僕はこの本で読んだ景色を思い出した。

    雪のある冬を知らない人はこの本を読んでから
    雪がたっぷりある場所に行くとより一層雪景色を楽しめると思う。

  • 冬眠中のムーミン達、春の訪れはまだまだ先。
    そんな冬のある日、ムーミンは目が覚めてしまって初めて冬の世界を見ることに‥。

    なんて素敵な物語だろう。
    ムーミンは初めての冬に驚きながらも少しずつ冬を好きになっていく。
    春が来てみんなが目覚めてしまったら、この時間は終わってしまう。ちょっとだけもったいないな…なんて感じている。

    そんな甘くてちょっぴり切ない気持ちが優しく優しく語られる。そして私まで春をむかえたような気持ちになってしまった。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そして私まで春をむかえたよう」
      ひと夏ならぬ、ひと冬越して成長するムーミン。
      「そして私まで春をむかえたよう」
      ひと夏ならぬ、ひと冬越して成長するムーミン。
      2014/04/28
    • takanatsuさん
      nyancomaruさん、コメントありがとうございます。
      「ひと夏ならぬ、ひと冬越して成長するムーミン。」
      そう。本当に成長ですよね。
      ...
      nyancomaruさん、コメントありがとうございます。
      「ひと夏ならぬ、ひと冬越して成長するムーミン。」
      そう。本当に成長ですよね。
      パパとママが一緒だったらきっとこういう冒険は出来なかったんじゃないかなと思います。
      でも、今回はパパとママは冬眠中なので(笑)。
      2014/04/30
  • ムーミントロールが雪が空から降ってくるものだと気付く場面は世界が1つではないことを教えてくれると思う。

  • ムーミンが冬に目を冷ましてしまいます。雪に覆われたムーミン谷を舞台に温かく美しいお話。

    ムーミンが冬を冒険し、ちょっぴり成長し春を迎えます。

  • 北欧という言葉に「雪と氷に閉ざされた大地」というイメージを持つのは KiKi だけかしら??  フィンランドの童話であるにも関わらず、そんな冬には主役を冬眠させちゃう(もっともそこにこそリアリティを感じたりもするけれど)このシリーズ。  そんな中で普通だったら冬眠しているはずの季節に、なぜかパッチリと目を覚ましてしまったムーミンを描いているのがこの巻です。  さすがに北欧の作家さんが描く冬の物語であるだけに、その冬の描写が何と言っても素晴らしい!!  雪の美しさ、厳しさ、静けさが描かれています。  そして春の訪れに伴い氷が割れる音が谷中に響く様なんかは、のめり込むように読んでしまいました。

    ムーミン・シリーズにお馴染みのキャラの大半(スナフキン、パパ、スニフ、スノークのおじょうさん等々)はほとんど出てこないから、彼らのファンの人たちにとってはちょっと物足らない物語になってしまうのかもしれないけれど、彼らを全員登場させないことによってムーミンが直面する孤独さとその孤独さを克服していく姿には感銘を覚えます。

    自分がよく知ってるつもりだった世界が冬の間にはすっかり様子を変え、馴染みのない多くの生き物がそんな冬のムーミン谷で生きているというお話の中に、今まで全然気に掛けたこともなかった他者の存在を認めるというお話には深いものがあるなぁと感じ入りました。

    (全文はブログにて)

  • ムーミン谷シリーズを一気に買って
    一番はじめに読み終わったのが
    何故かこれで。
    昔、青い鳥文庫で読んだけど
    今読むとまた全然違うなぁと。
    アニメは何回も観たので
    情景は簡単に想像できるけど
    話してることは
    シュールだし、リアリティーに溢れてて良かった。
    この本では、ムーミンママが凄く好きになった。
    あんなに大きな愛情に包まれてみたいものだと
    ムーミンが羨ましく思えた。

  • ムーミントロールは冬眠する生き物。なのにムーミンは目覚めてしまい、外はぼんやりとした灰色の世界。世界は死んでしまったのだろうか?僕のお日さまは戻ってこないのだろうか?神秘的な冬の生と死、それから孤独と成長。すごくしんしんとした本。ムーミンに助言するおしゃまさんの台詞や、不安げなムーミンの素直な言葉にハッとすることが多かった。相容れない世界=冬にムーミンは少しずつ実感して、試行錯誤して、向き合うようになる。とってもニュートラルなおしゃまさんのスタンスやちびのミィのたまにいじわるだけどガツンと納得させられる主張、悪い人物じゃないのに気の合わないヘムレンさん・・・。さびしい冬の世界でも、多彩な人物のとムーミンは向き合う。やがて季節は巡り、一匹のムーミントロールが一回り大きくなる。今回はムーミンママの愛情に泣かされた!!!これはムーミンが甘えん坊なのも道理。ラストシーンの余韻も心地いい傑作。

  •  ムーミンは秋口から春先まで冬眠する生き物で、それはムーミンだけで泣くムーミン谷の生き物はほとんど長い冬を松をたらふく食べて眠って過ごすのだけど、突然ムーミンが起きて初めての冬に戸惑う、というもの。


     北欧の話なので、てっきり冬は重要視されるかと思いきや、実はこの間でしか描かれない。おしゃまさんと少しの生き物だけがムーミン谷で活動しており、またリスに偶然起こされたミィも活動しだす。この話で重要なのは目があったものすべてを凍らせ死なせてしまう氷姫にリスが殺されてしまうくだりだ。ミィはリスの尻尾をマフに欲しがり、ムーミンは死を認めたがらない。そんなふたりにおしゃまさんは死んだら死んだ。リスは土になって、その上に木が生えてまた新しいリスが跳ね回る。と促す。そしてリスの葬式をする。


     その後、ヘムレンさんのスキーのくだりやストーブの中のご先祖様の話もあるが、やはりミィがかっこいい、やがて春が来るのだが、初めての冬の間も一人でスキーやスケートにいそしんだ彼女はすばらしい。彼女はひとりで楽しむことを知っていて、自分がなにを考えようと、どんなに春が好きだろうと人に話す必要を感じずにひとりで春を楽しむ。大好きだ。あこがれる。


     ムーミンはそんなミィをときどき気に入らないのだけど、ある学者は彼女をもう一人のムーミン(主人公)と呼ぶ。

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著者プロフィール

1914年、ヘルシンキ生まれ。画家・作家。父が彫刻家、母が画家という芸術家一家に育つ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。66年、国際アンデルセン賞作家賞、84年にフィンランド国民文学賞を受賞。主な作品に、「ムーミン童話」シリーズ(全9巻)、『彫刻家の娘』『少女ソフィアの夏』(以上講談社)など。

「2023年 『MOOMIN ポストカードブック 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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