- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061381117
感想・レビュー・書評
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休みたいとか、のんびりしたいとか、ついつい考えてしまうけれど、仕事しなくて良ければ幸せかと言うとそうじゃない。
それはムーミンパパも同じで、ムーミン谷の安定した生活の中で自分の仕事を見失い気力をなくしていた。
パパは父親として家族を守りたいのだ。
そしてすねたパパのために、ママはムーミントロールとちびのミイを連れてパパの島に引っ越すことに決めたのだった。
この物語は今まで読んだシリーズの中で1番詳しくムーミンパパとムーミンママの気持ちが描かれていたように思う。
2人ともとってもチャーミング。
子ども達ももちろん魅力的。
ムーミントロールはやっぱり夢見る夢子さんで、ミイはそれをニヤニヤ眺めて楽しんでいる。
暮らし慣れたムーミン谷を出て新しい生活を始める4人を見ていると、家族と暮らすということについてもっと自由に考えていいんだなと思う。
ムーミンパパは家族を守らなきゃと意気込んでいるけれど、本当はみんなが家族を守っている。
ムーミンママは家でみんなを待っていなきゃと思っているけれど、本当はもっと自由でいていい。
父親だから、母親だから、子どもだからという役割ではなく、ムーミンパパとして、ムーミンママとして、ムーミントロールとして、ちびのミイとして(ミイは常にミイだけど)、自由に暮らし始める姿はとても力強くて嬉しくなる。
肩がふわりと軽くなる、そんな物語。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
家族の崩壊と再生w
どこの国でも(ムーミンの世界でも)父親と言うのは変わりないものだ。 -
この本を読むと気持ちが凹む。
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これはかなり内面的な話。『楽しいムーミン一家』や『ムーミン谷の夏まつり』みたいに出来事が語られるんじゃなく、ムーミン一家(養女のミイ含む)の心理描写がほとんど。ムーミンパパの空振りっぷりがアイタタタ…
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ムーミンパパはこの島で、他人とは違う何事かを成し遂げないと、愛されないと信じている。
そのために、自分の本性と関りの無いことをしようとしては失敗し、本当に愛してくれる人を、ひしゃげた自信を慰めるために利用していた。
ムーミンママは、夫の機嫌をとるために自分を押し殺し続けたあげくに消耗して、子どもたちのことも忘れて、自分の身を守ることしかできなくなった。
ムーミントロールはいつも通りぼんくらのおぼっちゃんだ。そして両親が問題から目を背け続けるのをやめるよう願ってる。
ムーミン一家はそれぞれが自分を見失ったためにばらばらになった。でも自分を思い出して回復して、また家族になる。 -
草木はモランを避ける、のであり
島がムーミン一家を認める、のである。
すべてが生命を持っていると、いや意志がある、とムーミンの世界の住人は考える。それは太古の人間と同じ思考じゃないかな -
他のムーミンシリーズに比べると少し趣の異なる内容。
シリアスな展開です。 -
いわゆる一つの破滅からの出発?寒々しい場面が多いのになぜか淡々とした彼らが心をゆさぶる。
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何とも寂しい気持ちになる話。
父親たるもの何かせねばと焦り空回りしてしまうパパ。やることがなくなり、ホームシックになるママ。憧れのものに近付きたいが相手にもされないムーミン。ひとりしっかり自立するミイ。安寧の地を離れ、孤島へと移る一家の姿は何を暗示しているのか。考えるとちょいと寂しくなるのでした。 -
本編はムーミンパパが主役。パパは一家を連れてムーミン谷から海をわたり小島の灯台にお引っ越し。ムーミン一家が島に辿り着いたとき、灯台の明かりは消えていました。燈台守は何処にいってしまったのでしょうか!? そして無愛想な漁師、一家を追いかけてきた全てを凍らせてしまう恐ろしいモラン、月の光を浴びながら浜辺で美しく踊るうみうま。
ムーミン一家の新生活はいかに!!
いままでのシリーズに比べてファンタジー色は薄く、シリアスな物語。私自身が今年2011年の日本にダブらせてしまったこともあるが家族や自然との繋がりを考えさせられました。
☆お気に入りの文章☆
みんなは、島のゆううつとか海の孤独などはかなぐりすて《中略》みんな、自分が力いっぱい生きているところを、見せたかったのでしょうね。