いいデザイナーは、見ためのよさから考えない (星海社新書)

  • 星海社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061385627

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  • ・かつてプロダクト・デザイナーの端くれだった私が、当時常々感じていたことを代弁してくれています。

    ・この本は、かつてプロダクト・デザイナーの端くれだった私が、当時常々感じていたことを代弁してくれています。デザインは、消費者の感性に働きかけたり、行動を変容させたり、時には社会の嗜好にすら影響を与える力を持っているわけですが、大事なことは「デザインは、物事がどうあるべきか」ということを熟慮することであり「デザインは、物事をシンプルに、わかりやすく、使いやすく、安全にするための創造的なヒント」であるということです。世の中には様々な思考体系がありますが、デザイン思考は、今までにない強力な突破口になると思います。

    ・デザインという仕事の難しさを知っている方の中には、その通りだと認めながらも、常識?になりつつある考え方だと指摘される、ご感想・レビューもありますが、この本の読者は、デザイン思考を取り入れたいと考えている方や、将来的「問題解決までのプロセス」をコンサルタントではなく、デザイナーに依頼する可能性がある人たちである、と考えると、良いガイドブックになっているのではないかと感じました。

    ・『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』というタイトルは、有馬 トモユキさんが考えたものなのか、編集者の方が提案されたものなのか、分かりませんが、このタイトルは、「いいデザインには、人々の生活を快適にし、瑞々しい体験を与える力がある」と考え、「いいデザイナーであり続けたい」と思っている、多くのデザイナーが、クライアントに伝えたい、「いいデザインは、見ためのよさだけでは測れない」との気持ちを代弁していますよね。

    ・「デザインとは、見ためや機能から問題を解決する手段であるということです。」という言葉は、佐藤可士和さんの「アートディレクターは、企業や経営者を問診し問題を発見して解決していく人」という言葉に通じるものがあります。

    ・Chapter 3は、「あなたのプレゼンは なぜ複雑なのか」というタイトルです。7月末に、大切なプレゼンを控えている私にとっては、本当にタイムリーというか、ありがたい内容でした。当たり前ですが、プレゼンの目的は、「限られた時間で伝えたいことを簡素に理解してもらうこと」そのためには、まず、自分自身が“伝えたいこと”を理解すること、そして、出来る限り簡素に表現すること、そのためには、“見ため”という手段を用いて相手の心を動かすということ……

    ・有馬トモユキさんは、「“自分の考えを他人に伝えたい”という欲求が先ずあって、けれど伝えることがうまくいかない。その時、問題を解決するのがデザインというう手段です。」と書いています。ですから、プレゼンの体裁を整えようとする前に、まずは伝えたいことを整理してみましょう。と促しています。そう言われてみると当たり前のことですが、私たちは四六時中パソコンの前に座っているので、つい、いきなりパワーポイントに書き込み始めてしまいがちです。

    ・有馬トモユキさんは、デジタル時代の方ですが、スマートフォンのUIをデザインする際などに「ポストイット」に手描きでスケッチする「ペーパープロトタイピング」という手法を紹介しています。最終的なプロトタイプは、プログラムでつくるのでしょうけれども、プロセスは、ポストイットに手で描く方が早くて、それぞれの画面も簡単に貼り換えられるので、操作の流れを修正するのも簡単なのでしょうね。

    ・私は、QFD(Quality Function Deployment)を学んでいるところなんですが、デザイン思考も、ある意味、顧客の要望と、それを叶えるためのスペックとの関係を分析してバランスをとる手法と言えると思います。短いブームに沸き立つようなデザインも否定しませんが、本質的なデザインは、使い手と共に成長し、存続するようなものなのだと思います。

  • 著者のデザインに対する向き合い方や、どのような経緯を経て作品やアウトプットがされたかが述べられている。
    これは著者だけの方法論で終わらずに、一般化する為のヒントが記され、著者もそれを望んでいる。
    読んだ人には実に有益な読書体験になり得ると感じた。

  • デザインは論理的に作り、直感的に評価されるという言い回しに納得。
    デザインが伝えたいメッセージや理由が込められているのは分かったけど、具体例が少なかったので雰囲気だけ使わりました。

  • ちょっと違うかな?と思うトコロもあるけど。☆4

  • デザイン・広告論を書く書き手も年下が増えてきてつらい。WEBやゲームの世界からグラフィックデザインや広告に転じてきた筆者はやはり新しい世代ならではの軽やかさを持つが、グラフィック・エディトリアルといったレガシーメディアにも強い。確固たる自分があるからだろう。

著者プロフィール

有馬トモユキ デザイナー
1985年長崎県生まれ。青山学院大学経営学部卒。複数社を経て、日本デザインセンターに合流。グラフィック、Web、UI等複数の領域におけるデザインとコンサルティングに従事している。その傍ら、TATSDESIGN名義で商業コンテンツ作品とそのプロモーションに関する活動を実施。音楽レーベル「GEOGRAPHIC」クリエイティブディレクター、タイポグラフィ教育機関「朗文堂新宿私塾」講師、SFレーベル「DAISYWORLD」主催。主な仕事に、「ハヤカワSFシリーズJコレクション」装丁デザイン、TVアニメ『アルドノア・ゼロ』アートワーク等。タイポグラフィを軸としつつ、対象に深くアプローチするデザインを得意とする。車好き。

「2015年 『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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