- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061385887
感想・レビュー・書評
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インドと聞けば女性がひどい目にあっているというイメージ以外あんまりないのだが、それについてもちゃんと言及している。いわゆる「インドビンボー旅」とかそういうオモシロ苦労本とは一線を画している。
それから児童労働者について、ただ単に優しくするだけでは何の解決にもならない、複雑な事情も書いている。【こうした子供たちはつらい労働生活のなかで他人を「階級」の物差しでしか測れなくなっていて、彼らと「親しくなる」ということは半分、「なんだ俺らと同じ低い身分の人間か」といって彼らから馬鹿にされることを意味する】とか切ないが納得できる。
性的嫌がらせについては、【インドではまだ保守的な男女関係が主流なものですから、彼らは外国人女性が自由に旅行する姿を見たとたん、ああ、これは「女性は家でつつましく」というインドの伝統をこわす悪徳のかたまりだ、こんな悪い女に対して男は何をしてもかまわないのだ、というふうに考えてしまうのです】とある。アングレーズ、外国人達のふるまいにうんざりしながらも、その人々に依存しなければ生きていけない。そうなると、いろんな感情が或る日突然爆発して、思考停止の状態に陥る。日本にとっての西洋人コンプレックスのようなものだろうか。
それから、【わたしたち日本人を含む外国人旅行者のほとんどは、やっぱりグローバルな経済格差を都合よく利用してインドを訪れているのです。にもかかわらずわたしたちは、本来は貧しいインド人のために存在しているところの格安レートで自分たちも買い物したり、各種サービスを受けたりすることを主張し、それがかなわないと「サギだ」「インド人は性格が悪い」といって怒ったりします。】という、痛い所もちゃんと書かれてある。
あとイムラーン君と、イムラーン君を見抜けず恋に落ちた日本人女性が味わい深い。
そのイムラーン君に無礼なことをされて著者もキレるのだが、これもとてもいいエピソードだ。【イムラーン君がいつか日本人女性と結婚して国際的に観光業を展開するという夢を抱いているのも知っていました。彼がかつて日本人女性ハントに明け暮れていたのも、半分はこの目標があってのことでした】ただ、どんな無礼なことを著者にしたのかは書いていない。気になる。ハントされた側にとっては黒歴史だから、この日本人女性もインドのいい思い出として綺麗な映像に脳内を編集し直しているだろう。めでたしだ。
僕もベトナムで夜のバーで飲んでいたら、インド人女性が話しかけて来て、英語をもっと話せたら確実にお持ち帰りできる感じで、とにかく海外のその国にとっての外国人女性というのはもう入れ食いだというのがわかった。英語をうまく話せないことをどれほど悔やんだか。そのあと日本人女性が二人来て、話が盛り上がって、クラブハウスに一緒に行ったら、背の低い方の女が大麻の臭いをかぎわけていた。「あ、この臭い大麻~」「え」「いや、私は吸ったことないけれど」「……」となりの背の高い方は黙っていた。名前は、マナミとマナコです、と思いっきりとってつけたような偽名を使っていた。僕は本名をどうどうと名乗っていた。「本名なんだ」と反応して、自分が偽名使ってることをばらしていた。そのまま二人が使っているホテルの部屋まで案内された。僕の泊まっているホテルより星が一つ多いところだった。その後いったいどうなったのかはこの著者と同じように、多くは記すまい。日本人女性に限らず、海外では、ある枷が外れるので、スキー場での出会いと同じようなものが起こる。独身男性には、海外旅行で出会う日本人留学生や遊び盛りの日本人女性をすすめる。ただし20代半ばであることが大事である。相手は偽名やごまかし、なかったことにまですると思うので、大変に便利である。30代だと色々問題をかかえて海外に来ている。気を付けるべきだ。海外旅行や留学生には、まずどんな人種と寝たかを僕は聞くようにしている。大麻の女は、「私は外国人としか付き合ったことがない」とかそれに近いことを僕に言っていた。なぜそんなことを言ったのかを、僕は知りたかった。
最後に、インド人の、動物に対する感覚の不思議さは興味深かった。インドの人々は動物と共存している。猛毒の8メートルクラスの大蛇が出て来ても「立派な蛇だなあ」と警官を含めて観ているだけ。「ほっといていいのか?」と著者が訴えたらみんなから「は?」とリアクションされたエピソードは笑った。詳細をみるコメント0件をすべて表示